今季大ブレイク!阪神・湯浅京己 幾度の挫折も乗り越えた「不屈のストレート」[2022/07/17 17:00]

【担当記者が選ぶオールスターイチオシ選手〜阪神編〜】
マイナビオールスターゲーム2022(7月26日(火)第1戦・27日(水)第2戦)
セ・リーグ中継ぎ投手部門は、開幕当初では誰もが想像しない選手が選ばれた。
それが、阪神の若きリリーバー・湯浅京己23歳。

湯浅は、今季プロ4年目にして初の開幕1軍を勝ち取ると、「勝利の方程式」の一角として、ここまで34試合に登板、セ・リーグトップの24ホールドを記録。(7月16日現在)
6月には嬉しいプロ初勝利も手にした。
絶賛売出し中で充実のシーズンを過ごす若虎。しかし、ここまでの野球人生を振り返ると、
決して平たんなものではなかった。

高校は、福島県の名門・聖光学院に入学。入学直後から腰痛に襲われ、一度はマネージャー転向まで経験した。2年秋に選手として復帰すると、同年10月に内野手から投手に転向。1年間の離脱を取り返すべく、練習に明け暮れると、3年春の県大会決勝では先発として登板するまでになった。
しかし、選手として迎える最初で最後の夏の甲子園。必死の努力の末待っていたのは、『ベンチ外』。
仲間が、憧れの地でプレーする中、スタンドで最後のアウトを見守り、不完全燃焼のまま高校野球は幕を閉じた。

卒業後、湯浅が進路に選んだのは「独立リーグ」の世界。
「野球だけに集中したい」とBCリーグ富山サンダーバースからプロ入りを目指した。
そこで出会ったのが、現ヤクルト投手コーチの伊藤智仁氏。
フォーム改造に取り掛かると、つきっきりの指導の甲斐もあり、球速を6キロ伸ばし、最速151キロを計測。プロ注目の選手まで成長した。
そして、高校卒業からわずか1年後の2018年、阪神から6位でドラフト指名を受け、プロの門を叩くこととなった。奇しくも、人生最大の挫折を経験した『憧れの地』が本拠地となる。
入団会見では「藤川球児選手のような魔球と呼ばれるくらいのストレートを投げられるピッチャーになりたい」
かつて甲子園を沸かせた伝説のリリーバー藤川球児氏の“わかっていても打てない”『火の玉ストレート』に憧れ、自身の目標として宣言した。

期待に胸を膨らませ挑んだルーキーイヤーの2019年、
疲労骨折による腰椎分離症を2度発症。さらに翌年にも再発し、プロ入り後も怪我との戦いを強いられる事になり、思うような成績を納めることができなかった。
転機が訪れたのは、今年の春。初の1軍キャンプに抜擢されると、同キャンプに
帯同していた憧れの藤川球児SAから直接指導を受けた。湯浅のブルペン投球を真後ろから見守り、言葉を交わした藤川氏は、自身のYouTubeチャンネルで「湯浅は良かった。シーズンもハマれば行く」と高評価。開幕1軍を後押しした。

今シーズン、ようやく掴んだチャンス。簡単には離さなかった。
34試合の登板はチームトップ。「8回の男」として定着。昨年守護神として活躍したスアレスになぞらえ、ファンからは「ユアレス」との愛称もついた。

聖光学院監督・斎藤智也監督は、
「今年は春先から腰の調子がいいと聞いていたので中継ぎでチャンスがあるかなと思っていたが、「8回の男」になっているのですごいなと。阪神が勝っていると「湯浅出るかなって」中継を見る楽しみが増えた。」と教え子の飛躍に驚きつつも、喜びの声を寄せた。

湯浅はオールスター選出について、
「真っ直ぐで狙って三振が取れるように頑張りたいです」と今回の初選出に気合十分!
記憶に蘇るのは、2006年のオールスター第1戦の最終回。
阪神・藤川球児と西武・カブレラの対決。マウンドの藤川は、打席のカブレラに対し『ストレート』を宣言。2人の真剣勝負に観客は魅了された。結局藤川は、カブレラ・小笠原に対し全10球オール直球の連続三振に切って取った。あの戦いから16年。憧れの藤川が立った舞台で、同じくストレートでの対戦を熱望。
湯浅は球界のスターが集まる夢の舞台でどんな勝負を見せてくれるのか?

<プロフィール>
湯浅京己(23歳)
生年月日:1999年7月17日
身長183cm 体重81kg
聖光学院→BCリーグ・富山→阪神(2018年ドラフト6位)
好きな言葉は「雲外蒼天」(努力をして試練を乗り越えればその先に青い空が待っている)

【マイナビオールスターゲーム2022】
第1戦:7月26日(火)よる7時00分〜
第2戦:7月27日(水)よる6時30分〜
テレビ朝日系列地上波にて生中継(※一部地域を除く)

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