フィギュアスケート・坂本花織 世界女王から“意外な”進化…取り組んだ「呼吸」[2022/10/18 16:15]
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先月、フィギュアスケート世界女王として新シーズンを迎えた坂本花織さん(22)。現在、取り組んでいるのは、ちょっと意外なことでした。
坂本花織さん:「今、すごく大事にしているのが『呼吸』」「どうしても、息を止めてしまう癖があって」
松岡修造さん:「呼吸下手フィギュアスケーター、初めて聞きました」
■“苦手分野”克服へ…「フェミニン」磨く
今年7月。新プログラムの振り付け指導を受けるため、カナダにやってきた坂本さん。振付師のマリー フランス・デュブレイユさんから、念入りに指導されていたのが、「呼吸」でした。
マリーさん:「体の中にスペース作って、伸ばして吸って」「吸って、吐いて」
一体なぜ、呼吸を大事にしているのでしょうか?
坂本さん:「苦手分野を克服したい」「柔らかい動きや女性らしさ。フェミニン」「今まで見せてない自分を兼ね合わせて、今シーズンはいきたい」
■「胸張り吸う」可動域を広げ“表現に幅”
これまでの坂本さんといえば、アップテンポな曲調で魅せるダイナミックさに、全身を力強く使ったパワフルな演技が持ち味。一番象徴的なプログラムが、「マトリックス」です。
しかし、今シーズンは、落ち着いた演技で魅せる柔らかさ。フェミニンな動きが特徴。この動きに大きく影響を与えるのが、呼吸だというのです。
坂本さん:「息を止めると、動きが固くなる。大きく息をすることで、動きが滑らかで、女性らしくなる」
松岡さん:「動きでいうと、胸を張る時に吸う感じですか?」
坂本さん:「本当に深呼吸と一緒。体を曲げている時は吐いて、で、胸張る時に吸うと、可動域が増える。表現の幅がちょっとずつ増えているのかな」
■どこで呼吸するか…リンク離れても徹底
ポイントは、体を曲げる時に、息を吐き、胸を張る時に吸うこと。体の可動域を広げ、柔らかく動かすことができます。
とはいえ、坂本さんは呼吸が苦手。そこで…。
坂本さん:「呼吸のポイントを決めてしまえばいいので。振り付けの時に決めてしまった」
松岡さん:「4分の演技の中で、どこで呼吸するか決めなさいって言うんですか?」
坂本さん:「はい」
振り付けのどこで呼吸をするか。細かく決める工夫をしていたのです。それを、リンクを離れても徹底しました。
■「型に縛られず自分の戦い方できる競技」
今月、日本のファンの前で「フェミニン花織」を披露する舞台がありました。坂本さんの新たな姿に、会場からは大きな拍手が起こりました。
近年、ジャンプの高難度化が進んでいるフィギュアスケート。坂本さんは独自の進化で戦っていきます。
松岡さん:「新しい花織さんが生まれてるんですよ、体から」
坂本さん:「自分のスタイルに合ったやり方で、皆、点数を稼いでいる。フィギュアは型に縛られず、自分の戦い方でできる競技。その中で、世界中の人と戦えるのが、すごい楽しいし。フィギュアのいいところ」
■見つけた“伸びしろ”…アメリカ大会出場へ
松岡さん:「型に縛られず、自分の戦い方できるということ。演技の印象が変わっている。呼吸1つでこれだけ大きく変えられると、僕はフィギュアの奥深さというものを感じました。次のオリンピックを見据えた時に、呼吸という伸びしろを見つけられた。これは大きなことですね」
大越健介キャスター:「呼吸って、普通、当たり前にしていることだから。それを意識付けして、磨きをかける。なかなか難しいんじゃないかと、思うのですが」
松岡さん:「その呼吸法によって、自分の演技も体の使い方も変わるんです。心の捉え方がより落ち着いていったり、自分を見つめることができる。アメリカ大会に出場する坂本さん、大事なのは、呼吸ですよ!」
(「報道ステーション」2022年10月17日放送分より)