W杯注目の鎌田大地選手×内田篤人氏 “4つのキーワード”でひも解く「新しい歴史を」[2022/10/20 12:48]

サッカーのワールドカップで注目してほしい選手がいます。

中村俊輔選手(44)のように、攻撃の中心になれる選手。ドイツのフランクフルトに所属する鎌田大地選手(26)です。今回、ドイツに行って、話を聞きました。

■鎌田選手「“ハセベ”と言われなくなった」

4年ぶりにドイツを訪れた内田篤人さん、まず向かったのは、フランクフルト。今、この街で一番話題の日本人を尋ねました。

店員:「こんにちは。ようこそ。お飲み物はいかが致しましょう?」
内田さん:「どうぞドイツ語で(笑)」
鎌田選手:「(笑)」
内田さん:「りんごサイダー下さい」
店員:「りんごサイダーですね。かしこまりました」
鎌田選手:「炭酸じゃない水を下さい」
店員:「炭酸抜きの水ですね。かしこまりました」
内田さん:「ふぅ〜。カマダって言われているで」
鎌田選手:「俺も、もうハセベって言われることなくなりましたから」
内田さん:「ははは(笑)最初、ハセベって言われてたの(笑)」
鎌田選手:「シンジ・カガワかハセベって言われてましたからね」
内田さん:「今ドイツで5シーズン目かな。ご自身の手応え的にはどうでしょう?」
鎌田選手:「いいスタートが切れたなって言うイメージはありますね」

■5年目のブレイク 欧州主要リーグ“日本人トップ”

鎌田選手は、昨シーズン・フランクフルトの攻撃の要として、ヨーロッパのビッグタイトル獲得に貢献。今シーズン、初めてセットプレーのキッカーを任されると…。

実況:「直接ゴールを狙っていった!素晴らしいゴールだ!」

さらに、ゴールを重ね、公式戦9ゴール。ヨーロッパ主要リーグ、日本人トップの成績です。

そして日本代表では、先月のアメリカ戦、先制ゴール。W杯直前で、スタメン候補に名乗りを上げました。

内田さん:「W杯が近付いてきましたけど」

鎌田選手:「これもよく言われたりするんですけど。今シーズンはW杯があるのを分かっていてシーズンスタートしていますけど、“W杯のために”っていうふうな気持ちで全然挑んでなくて」「自分の価値を高められる大きなチャンスがいっぱいあるシーズンで、試合数も多くて。チャンピオンリーグに出てるようなチームなんで、選手もフランクフルトで試合出るのも簡単じゃないし。チームの試合にすごい集中してますね」

■海外挑戦での挫折「求められることをしないとダメ」

今から7年前、サガン鳥栖に高卒で入団した鎌田選手は、J1デビュー戦でいきなりゴール。一躍、期待の若手として注目を集めると、弱冠20歳でフランクフルトに移籍を果たします。

しかし、1年目のシーズンは、リーグ戦出場わずか3試合にとどまりました。

鎌田選手:「もう挫折だらけでしたね。僕自身の実力が足りなかったっていうのが一番」

内田さん:「僕も最初移籍して2、3カ月は全然慣れなくて。何かひょうひょうとプレーしてると、やる気ないって思われるし。一生懸命やってるつもりなのに、戦ってないみたいに言われてたけど。そこは自分を変えることなく、ちょっと大げさに見せようかなくらいで」

鎌田選手:「マインド的には、俺は内田さんと似てる部分はあると思います。自分の良さが通用しなくて、それを変えて生き残る選手っていっぱいいると思うんですけど。俺はそれをしたら、ヨーロッパで生き残れるかもしれないですけど、上には行けないなと思ってて。普通にJリーグでもやってた時くらい、余裕でこっちでもできないと上に行けないじゃないですか。だからそれをしつつ、こっちでも求められることをしないとダメだなっていうふうに俺はずっと考えてましたね」

内田さん:「なるほどね、今のはちょっとこれから海外に行きたいと思ってる若い選手は聞いとくべきだと思うけどね」

■内田さん解説…鎌田選手の真骨頂「周りを生かすプレー」

内田さんが今回、取材して感じたというのは、「芯の強さ」です。挫折を味わってきたけど、自分の良さを貫いてきました。

鎌田選手は今シーズン、ゴールに注目がいきがちですが、本来、パスセンスがすごいです。このシーン、前線への選手にスルーパスからPK獲得します。

このパスは、味方のスピードを殺さない。かつキーパーも飛び出せない位置に出しているのが素晴らしいです。

そして、次のシーンです。相手を引き寄せて、味方が走りこんでくるタイミングでパスを出せる、「周りを生かすプレー」が鎌田選手の真骨頂です。

これまで貫いてきた周りを生かすプレーに加え、今年はゴールを決める。これからもヨーロッパで上を目指していけると思います。

■家族の存在「新しい日本の歴史を作れたら」

鎌田選手がサッカーを始めたのは3歳の時、サッカー経験者の父親の影響でした。

鎌田選手(当時12):「必ずプロになります」

夢であるプロになるために、中学から地元・愛媛を離れ、ガンバ大阪のジュニアユースに入団。高校からは京都の学校に進学し、父親と2人暮らしをしながら、プロの道を目指しました。

鎌田選手:「僕が大阪行ってからお母さんが働き始めたりだとか。まあそういうの見て、自分のせいでこうなっているんやなって。まあ小っちゃいながらにして感じて、そっからやっぱりサッカーで成功してお金を稼ぎたいっていうふうな感じになりました」

内田さん:「お母さんとかに、もう恩返ししました?」

鎌田選手:「20歳の時に両親に時計を買って。そして、初めて手紙を書いたんですよね」

内田さん:「何それ、泣いちゃう。俺、親だったら」

鎌田選手:「やれることは全部やったんで、あとはW杯に出て活躍するだとか、サッカーの部分でやるだけかなって思ってますね」

恩返しになる舞台、W杯。ドイツ、スペインといった強敵たちとの戦いが待っています。

鎌田選手:「難しいグループに入ったなと思いましたよ。でも、僕はすごいめっちゃチャンスやと思いましたけどね。だって自分たちの価値を高めようと思ったら、そういうチームに勝たないと日本人の評価って上がらないと思うし。自分自身の価値を高められるチャンスって、そういう時だと思うので。代表として皆、言ってるのはベスト8以上っていうのを言ってるんで。新しいね、日本の歴史をね、作れたらいいなと思います」

(「報道ステーション」2022年10月19日放送分より)

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