駒澤大 “大学駅伝3冠”への挑戦…キーマンは“絶対的エース”と“怪物ルーキー”[2022/11/05 12:38]

6日に全日本大学駅伝が行われます。

全日本大学駅伝、出雲駅伝、箱根駅伝を合わせて、「大学三大駅伝」といいます。1つのシーズンで、この3つを制す3冠は、過去に4校しか達成していません。

その3冠を目指すのが、先月の出雲駅伝を制した駒澤大学です。そのキーマンに話を聞きました。

■監督の“熱い声掛け” 駅伝シーズンの風物詩

今年も駅伝シーズンが到来。初戦の出雲駅伝を制したのが、駒澤大学です。

9年ぶりの優勝で、大学駅伝三冠への挑戦権を手にしました。チームを率いるのが、大八木弘明監督です。

大八木監督:「(Q.出雲駅伝を振り返って、どんな1勝?)出雲に勝たないと、3冠が取れない。今回の出雲はどうしても勝ちたかった。勝ててホッとしております」

そんな大八木監督といえば、選手への熱い声掛けは、もはや駅伝シーズンの風物詩となっています。

大八木監督:「本気でいかないと、区間賞取れないぞ!」「前と37秒!その前は22秒!!」

■出雲で“設定タイム” ゴールと誤差わずか13秒

実は、意外な一面が陸上部の寮にあるというので、訪問してみました。

壁一面ずらっと資料が並んでいます。すべて監督が記録してきたデータだというのです。そのデータは練習で細かくチェックしたものです。

大八木監督:「上げるなよ」

日々のタイムから、選手の調子を見極めています。こうして、長年の経験と蓄積されたデータを元に、レース直前、各選手にそれぞれ設定タイムを伝えます。

実際に、出雲では監督のタイムを目指し、選手たちが力走。全員が区間2位以内という、見事なタスキリレーを披露しました。

ゴールタイムは2時間8分32秒。レース前に立てた大八木監督の目標設定タイムは2時間8分45秒。なんと、誤差はわずか13秒。長い駅伝で驚異的な正確さです。

大八木監督:「(Q.檄を飛ばす熱い監督ってイメージと、数字の細かいデータっていうところが少し…)結構、私はギャップがあるんじゃないですかね。現場の私と机に座っている私じゃ、全然違うと思います」

■“絶対的エース”も期待する“怪物ルーキー”

そんな大八木監督に選手も…。

駒澤大学・田澤廉選手(4年):「確かに、テレビだけ見ていたら、データとかどうでも良さそうですもんね」「(Q.そうは言っていないですよ、誰も)一人ひとり提示されたタイムを切ることができていたら、今回の出雲みたいに優勝できます」

そう語るのは、駒澤大学の大エース・田澤廉選手です。

2年前、初出場の箱根駅伝では、3区で7人をごぼう抜き。1年生から頭角を現すと、今年、10000メートルで学生としては、史上4人目となる世界選手権に出場。駒澤大学のみならず、世代を代表するランナーです。

しかし、今年の駒澤大学は、田澤選手だけではないといいます。

田澤選手:「スピード面で見たら、自分に勝っちゃうんじゃないか。自分が1年生の時と比べると、全然、圭汰のほうが強いです。当たり前か、タイム速いですもんね」

■出雲で鮮烈デビュー「田澤選手を超えたい」

駒澤大学、期待の怪物ルーキー・佐藤圭汰選手(1年)。高校時代、田澤選手を上回る走りで、高校新記録を連発しました。

初駅伝となった出雲でも、東京オリンピックに出場した順天堂大学の三浦龍司選手を抑え、区間賞を獲得。鮮烈な駅伝デビューを飾った佐藤選手。実は、こんな思いを持って、駒澤大学に入学していたのです。

佐藤選手:「世界を目指している田澤さんを目指して、自分も駒澤に入った。田澤さんと一緒に練習したいという思いがあったので。『田澤さんと一緒に練習したい』と監督に言って」

実際に練習を見てみると、田澤選手の走るペースに、佐藤選手だけが必死に付いていきます。

佐藤選手:「しっかり付いていけば、強くなるのは絶対。田澤さんに追い付きたいし、超えていきたい」

■正確な設定タイム 監督と選手 “信頼の数字”

駒澤の絶対的エースと未来を担う怪物ルーキー。立場は違えど、見ている景色は一緒です。

佐藤選手:「(Q.全日本大学駅伝では、どんな走りを見せたい?)3冠という目標を立てていて、全日本でも優勝して、箱根に良い流れをつなげたい」

田澤選手:「個人としては、区間賞はもちろんで。一番は3冠を達成して、4年間の恩返しをしたい」

細かくて正確な設定タイムについて、選手たちは「本当に正確だから、一人ひとりを見てくれているんだなと感じるし、何よりもモチベーションになる」と話ししていて、監督と選手の“信頼の数字”だと感じました。

(「報道ステーション」2022年11月4日放送分より)

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