【W杯】20年前に日本中が熱狂した“あのゴール”…あの日、あの時、あの場所にいた3人[2022/11/17 14:40]

 日本代表がワールドカップで決めた20のゴールのうち、ある一つのゴールに注目しました。日本中が熱狂した“あれ”です。

■20年経っても…心熱くする“あのゴール”

 サポーター:「『あれ』で勢いは付いた」「(あのゴールは)サッカーが好きになるきっかけ」

 そのゴールに心をつかまれたのは、サポーターだけではありません。日本サッカー界のレジェンドも、その一人です。

 三浦知良選手:「すごく印象に残っていますね。鈴木選手のゴール」

 時は今から20年前、日韓共催のワールドカップまでさか上ります。日本の大事な初戦、悲願の初勝利が期待されるなか、先制はベルギー。やはり世界には勝てないのか…。

 しかし、その2分後。決めたのは、鈴木隆行選手、代表歴わずか1年のストライカーでした。

 20年経った今もなお、このゴールが人々の心を熱くするのは、なぜなのか…。今回、「あの日」「あの時」「あの場所」にいた、3人の選手に話を聞きました。

■小野選手「諦めずボールに食らい付いた」

 1人目は、当時の日本代表・小野伸二選手。鈴木選手に対し、ロングパスを出した選手です。

 パスシーンを振り返ってみると、前線には鈴木選手以外に中田英寿選手、柳沢敦選手とパスの選択肢は3つ、小野選手はなぜ、鈴木選手を選んだのでしょうか?

 小野選手:「一番最初にゴールに結び付くパスは第1選択。鈴木がディフェンスの裏に走って行く姿が見えた。自分の出せるボールとして、一番良いポジションはそこくらいしかなかった」

 小野選手は、「鈴木隆行選手の“あれ”が決まった理由」をこう話します。

 小野選手:「諦めず、そのボールに食らい付いた」

■デ・フリーガー選手「ディフェンスひるまず走り続けた」

 2人目は、当時のベルギー代表ゴールキーパー、デ・フリーガーさん。突進してくる鈴木選手と対峙し、何を感じたのでしょうか?

 デ・フリーガーさん:「最初は危険ではないと感じたよ。センターバックとサイドバック、2人も彼のそばにいたからね」

 デ・フリーガーさんは、「鈴木隆行選手の“あれ”が決まった理由」をこう話します。

 デ・フリーガーさん:「2人のディフェンスにひるまず走り続けた」

■鈴木選手「くじけない」「諦めない」「全力で」

 そして3人目は、鈴木選手、本人です。現在は、サッカースクールで子どもたちを指導する毎日。鈴木さんには、サッカーを始めたころから変わらぬ信念があります。

 鈴木さん:「自分にボールがつながらないかもしれないけど、とにかくボールを追い掛ける。小学生の時から思っていた」

 鹿島アントラーズでプロの道を歩み始めた鈴木さん。泥臭く、アグレッシブに走り回る、決して「華やかな選手」ではなかったかもしれませんが、気持ちを前面に押し出す選手でした。

 そんなプレースタイルにこだわり続けてきたのは、あるストライカーのゴールに胸を打たれたからです。

 その選手は、中山雅史選手。1997年、Jリーグチャンピオンシップで生まれたゴールでした。まだ、若かった鈴木さんは、この瞬間をスタンドで見ていました。

 鈴木さん:「中山さんがキーパーにバックパスが行った時、追い掛けて行って、一生懸命、最後まで何回も何回も繰り返して追っている人が、ああいう得点を決められるんだって思った。こうじゃないとだめだな、自分は。それが後々の自分のプレーにも影響を及ぼしたし、ワールドカップのゴールにもつながった」

 鈴木さんが「鈴木隆行選手の“あれ”が決まった理由」をこう話します。

 鈴木さん:「くじけない。諦めない」「ディフェンスがミスするかもしれないから、全力で追い掛けていく。でも、ベルギー戦まで1回もディフェンスがミスしてゴールを取れたことはなかった」

 「鈴木隆行選手の“あれ”」は、諦めない気持ちの積み重ねが生んだゴールだったのです。

 ネットを揺らした直後、鈴木選手はベンチに控えている、あの選手のもとへ…。

 鈴木選手:「中山さんしか見えなかった」

(「報道ステーション」2022年11月16日放送分より)

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