【W杯】セルビア代表コーチ・喜熨斗勝史さん 欧州代表コーチとして“日本人史上初”[2022/11/22 15:14]
今回のワールドカップで、セルビア代表のストイコビッチ監督(57)を支えるセルビア代表のコーチはなんと…日本人の喜熨斗勝史さん(58)です。
ヨーロッパの代表チームのコーチとして、日本人がワールドカップに立つのは、今回が初めてとなります。
■日本人で史上初!「宇宙に行ったみたい」
セルビア代表コーチ・喜熨斗さん。ヨーロッパの代表チームのコーチとしてワールドカップの舞台に立つのは、日本人史上初です。
松岡修造さん:「ワールドカップってどんなものですか?」
喜熨斗さん:「自分がコーチとして参加できるというのは、本当に宇宙に行ったみたいな」
松岡さん:「おめでとうございます」
喜熨斗さん:「ありがとうございます。人生って一度しかないって思っているんですけど。こういうことが起きるんだなっていうのは、本当に自分でもびっくりしています」
■“付き合い14年”ストイコビッチ監督から要請
喜熨斗さんが指導するセルビア代表は、激戦区のヨーロッパ予選を無敗で突破した強豪です。
そんなチームで、なぜ日本人がコーチを務めているのか?その理由は、セルビア代表のストイコビッチ監督にあります。
ワールドカップでベストイレブンに選ばれたこともある、まさにスーパースター。Jリーグ・名古屋グランパスでも選手、監督として活躍しました。
そのストイコビッチ監督を支えてきたのが喜熨斗さんです。
付き合いは実に14年、セルビアでも共に戦ってほしいと要請してきたのです。
■“ハードワーク”で信頼を…「成長し続ける姿見せる」
しかし、異国での指導は決して順風満帆ではありませんでした。
喜熨斗さん:「やっぱり日本人が来るので、それこそ本当にシェパードとかドーベルマンとかいう集団の中に柴犬が入っていて、付いてこいっていう感じだから。彼らと話をすると、もう小学生の時から教室に入った時点で、誰が味方で、誰が敵で、誰が自分のことを助けてくれて、誰が足を引っ張るのか、とかいうのを見極めなければいけない所で育ってきたみたいなことはよく言われた」
セルビアは長く内戦と分立を繰り返してきた国。それゆえの難しさもあったといいます。では、そんな環境で一体どうやって信頼を得たのでしょうか?
喜熨斗さん:「とにかくハードワークをする。そのハードワークっていうのは走り回るだけのことではなく、自分の夢を実現するために“難しい道を選ぶ”こと、そして“続けていく”こと、“諦めない”こと。そういうことがハードワークだって。一生懸命やるハードワークってあるけど、難しい仕事をやるっていうのもハードワークじゃないですか」
松岡さん:「本当だったら嫌だなって思うところを、すごく踏ん張ってやっていた?」
喜熨斗さん:「そういうのを惜しまずにやって、失敗をして学んで、また失敗をして学んで成長し続けるということをコーチとして見せていくというのが大事なのかなっていうふうに思います」
■去年のW杯欧州予選で“信頼を勝ち得た姿”
一生懸命に仕事をするだけがハードワークではない。難しいチャレンジをするのも、ハードワーク。その姿勢は、喜熨斗さんの経歴によく表れています。
プロにも、代表にもなれなかった選手時代。それならと、教員を務めながら東京大学大学院でサッカーの理論を学びました。
そして、Jリーグのコーチを経て、セルビアで異例の挑戦でした。
そんなハードワークが報われたのは去年11月、ワールドカップヨーロッパ予選の最終戦でした。
相手は、クリスティアーノ・ロナウド擁するポルトガルです。勝ち点では並んでいたものの、得失点で劣っていたため勝利が絶対条件でした。
試合は1対1のまま、後半に入っていきます。このまま引き分けではワールドカップに出場できない。
まもなくアディショナルタイム、その時でした。劇的なゴールで、逆転でのワールドカップ出場を決めたのです。
歓喜の輪の中には、選手と熱く抱き合う喜熨斗さん。チームの信頼を勝ち得た姿が、そこにはありました。
■喜熨斗さん「頑張らないと夢は実現しない」
松岡さん:「僕よりも年齢は上ですよね」
喜熨斗さん:「もう58です」
松岡さん:「めちゃくちゃ戦っていますよね?」
喜熨斗さん:「まあ本当にそこは戦わないと、戦うというか頑張らないと、夢は実現しないと思っていて。年齢って実年齢じゃなくて気持ちじゃないですか。色々なことに感動するとか、諦めないとか、人のことをリスペクトするとか、そういう気持ちを持っていれば、多分いつまでも青春でいられる」
(「報道ステーション」2022年11月21日放送分より)