【W杯】森保監督「世界の中で勝っていけることを選手たちが見せてくれた」大会を終え[2022/12/07 13:55]

サッカーFIFAワールドカップ2022、日本代表はPK戦の末、クロアチアに敗れ、ベスト16で大会を終えました。
試合から一夜明け、日本代表の森保一監督が取材に答えました。

Q:クロアチア戦を振り返って
森保:朝起きたときは負けた原因を自分でも探って、何がもっと試合前から試合中に出来てたんだろうっていうことは考えました。ちょっとモヤモヤしたところはありましたけど。でも起きて時間がたって、今は選手もスタッフも本当にこれまで最高の努力をしてくれましたし、試合でも今の自分たちのベストをぶつけようっていうことで毎試合やってきた中、選手たちが最後まで戦い抜いてくれたということで。
負けて、監督としては努力した選手・スタッフそして期待してくださっている皆さんの期待に応えられず、結果を出させてあげることができず本当に申し訳ないという思いですけど、自分自身はすごく清々しい思いでいさせてもらってます。

Q:今大会を振り返って
森保:やはりサッカーの中でももちろん一番最高・最大のイベントですし、スポーツ全般を見てもワールドカップは世界で参加国が210カ国、そこからの本大会ということで、本当に世界最大のスポーツの中で世界最高のクオリティの中で楽しめる大会、そして見てくださっているサポーターの皆さん、そしてその国を応援してる皆さん、すべてが楽しめる大会なのではないのかなというふうに思ってます。
我々にとっては、そして監督としての私のとっては、サッカーに携わる者としてワールドカップ基準という世界最高峰の基準を教えてくれる大会だと改めて思ってます。

Q:日本のサッカーがここまでやれると示せたと思うが手ごたえは
森保:おっしゃる通りです。もちろんまだ横綱相撲できるような力ではないと思いますけど、世界のトップ・トップ(プレイヤー)、ワールドカップの優勝経験をしているような国とでも互角に渡り合っていける、そして我々も勝つことができるという、世界の中で勝っていけるということを選手たちが見せてくれたと思いますし、示してくれたというふうに思います。世界と戦っていくうえでまだまだ我々が学ばなければいけないところは多くありますが、追いつき、見上げるだけではなくて、「世界を追い越す」を本当に考えさせてくれた、感じさせてくれたのは選手たちの最高のパフォーマンスだったかなというふうに思います。

Q:ベスト8までの差とは
森保:試合に勝つための準備としては本当に細部まで準備してきたつもりですけど、本当に最後のPKの部分であったりも含めて、より色んな情報をより広くより深く持ったうえで対応力を高め、相手を上回っていくということが大切かなというふうに思います。
ベスト16の壁は本当に挑めば挑むほど厚さも高さも感じさせられるところがありますけど、今回選手たちが見せてくれたパフォーマンスは、我々がその壁を越えるということを願い続ければ、そして日本代表を応援してくださっているサポーターの皆さん、国民の皆さんが応援し続けて、願い続けて、信じ続けてくだされば、必ずいつの日か越えられるというふうに思ってますし、自然に越えていけるかなというくらいの力はついてきてるというふうに思ってます。ベスト16の壁はもちろんですけど、その先のもっともっと高い、最高の壁−最高の景色を見られるようにっていうことを目指しながらやっていけば、自然と越えられるかなというふうに思ってます。
目標は大切ですけど、選手たちが日ごろから戦っている舞台は既に世界の舞台で、チャンピオンズリーグで勝っていくというチームでプレーをしたいと、実際にそういうチームでプレーをしているということ、その日常がより厳しい世界で力を培っていれば、自然とこの代表で集まってきてくれたときに日本は世界に勝っていけるという力を示すことができるかなと、結果を掴み取ることができるかなというふうに思っています。

Q:どのような形で日本のサッカーを強くしたいか
森保:戦っていきながら成果も課題もあったというふうに思いますし、それをまたこれから検証して、サッカーファミリーと共有して今後に生かしてもらえるようにしていきたいなというふうに思います。
まずは個のレベルをどれだけ大きくできるか、どれだけ強くできるかということを選手たちには所属クラブに帰って磨いてもらい、より高いレベルのプレーができるチームを目指してもらい、個の力を上げていくことがまずは大切だと思います。そして日本の良さでもある「和を以て力となす」、和の力=組織力を発揮できれば良いかなと思います。今回、選手たちが見せてくれた団結力、一体感っていうところは本当に素晴らしいと思いますし、そこを忘れることなく個の力を磨いていってほしいなというふうに思います。
また、今回のワールドカップでは私が選ばせてもらった26人中19人がワールドカップ初経験だということ、普通であれば経験の浅い選手たちはこのプレッシャーの中、この雰囲気の中、飲み込まれ潰されてしまってなかなか力を発揮できず、次はまた頑張ろうねっていうことになると思います。が、彼らは本当に世界の厳しい舞台で揉まれてきているという中で、普段やっていることを自然に発揮すればこの舞台でも勝っていける、やれるということを示してくれたと思いますし、本当に若い人の力っていうのは無限に成長もしていけるし、素晴らしいものがあるなというふうに思いました。
(インタビュー会場にて)横にいる吉田麻也をはじめとするベテランの選手たちがチームを引っ張る、若手を引っ張る、そして後ろから支えてくれて若い選手たちの良いところを出させてあげてくれて、若い選手たちが思い切ってプレーできる環境を作ってくれたその一体感は、これからも日本の良さとして続けていってほしいなと思います。これは負けてから言うと説得力があまりないと思いますけど、先ほども言いました、初体験の若い選手が今回躍動してくれて、日本代表の過去最高のタイ記録となる戦いをしてくれました。日本の若者に「出来るんだ」って、すべての人に思ってもらえたら我々の活動の意義があるなと思います。

Q:いつからワールドカップでの勝利をイメージして指揮をとっていたか、そして日本のサッカーが今後どこに向かうべきか
森保:まずは代表の監督に就任させてもらう前から広島で監督をやっているときも、世界で戦える選手を輩出していきたい、日本代表としてプレーできる選手を輩出したいという思いをもって、常に世界っていうところは見ていました。今回、日本代表の監督として今(インタビュアーが)おっしゃられる通り、良い守備から良い攻撃にっていうこと、そして勇気を持って勇敢に戦っていくというところはロシアのワールドカップで経験をさせてもらい、常にベスト16の壁を破る、ベスト8以上の層に入っていくには何が必要かということをイメージしたうえで、皆さんにもお伝えさせてもらいましたし、選手たちにも伝えてきました。
今回このワールドカップを戦って、良い守備から良い攻撃にというところは間違いなく今後もより強化していかなければいけないところかなと思っています。もちろん自分たちがボールを握って戦うということを理想として持ち続けなければいけないですけど、やはりサッカーはボールの奪い合いから始まるということ、守備をしてボールを奪う能力をもって攻撃に転じていくということは必要なことだと思いますし、現実日本の立ち位置を考えたときに、自分たちが圧倒して勝っていくということはなかなかまだ難しい立ち位置だと思います。その時には、相手の攻撃を受けながらもそこで良い守備をして速攻を仕掛ける、あるいはボールを握っていくということは今大会を戦ったうえでも間違いではなかったかなというふうに思います。あとは本当に守備においても攻撃においても勇敢に戦う、勇気を持って戦うということ、そして今回選手たちが見せてくれた粘り強くチーム一丸となって最後まで戦うということ、これもまさに日本の良さだというふうに思いますし、選手たちには続けていってほしいなと思います。
「勇気を持って勇敢に」っていうのはプレーのイメージもありますけど、『大和魂』をWikipediaで調べたときには「勇敢」と出てくるので(笑)。勇敢と潔さが出てきますけど、でもそれも含めて日本人の心としてデータには出てこないですけど、見てくださった人が「日本人の戦いなんだ。日本人の魂がある。」っていうことを感じながら我々は戦っていきたいなというふうに思っています。
日本代表の勝利と日本のサッカーの発展のためにという志でやってきてる活動ですけど、その前に我々の活動が勝利をもって日本の国民の皆さんに喜んでいただく、そして我々の活動を見ていただき、選手たちの頑張りを見ていただき、夢や希望を持っていただく、元気や勇気やそして根気強く戦うということを感じていただき、日常の活力となるようなエールを送りたいというふうに思っていますし、大きく言うと日本の社会の中で社会貢献をして、日本の国民の皆さんにエールを届けていきたいと思っています。サッカーが日本の活力となれるようにこれからも一(いち)サッカーファミリーとして、そしてサッカーに携わる者として志し続けていきたいなと思います。

Q:ずっと応援してきた森保ジャパンが多くの人に応援されるチームになって嬉しく思います
森保:こちらこそ、ありがとうございます。皆さんの応援に本当に感謝します。先ほども言いましたけど、我々は社会貢献したいというふうに思っていますし、メディアの皆さんを通してサッカーがより多く認知されていき、生活の一部として捉えていただくこともできると思いますので、本当にこれまでの応援ありがとうございました。またこれからもよろしくお願いします。

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