ロコ・ソラーレ「そだねー」が転機に…カーリング男子・山口剛史が学んだ“言葉掛け”[2023/02/01 16:17]

カーリング男子の「SC軽井沢クラブ」。チーム最年長の山口剛史選手(38)は、2022年の北京オリンピックに解説者として現地にいました。現在、選手として世界を目指す山口選手を取材しました。

■強さの一つ“スイープ” “重要な要素”が…

2018年の平昌(ピョンチャン)オリンピック後、新チームとなって再出発したSC軽井沢クラブ。チームを率いるのが、山口選手。2022年5月の日本選手権を制すると、同年12月の軽井沢国際も優勝。今、一番強いチームです。

その強さの一つが、氷をゴシゴシとはく“スイープ”。ストーンを狙った場所へ導くために必要とされる技術です。

どのチームにも負けない、力強いスイープ。山口選手のスイープは、音が違います。

このスイープにおいて、山口選手は“重要な要素”があるといいます。

山口選手:「一番は、コミュニケーションの部分。4人のチームワークが合った時のほうが、決定率がすごく良くなる」

山口選手:「(Q.結構、年齢差もバラバラなチームだと思います。一つになるのに、難しさはありましたか?)僕のほうが、経験があるじゃないですか。なので、こういう失敗をしてきたという例が、たくさん自分の中にある。だから『この意味なんで理解してくれないの?』というのは、最初たくさんありました」

■転機は「そだねー」 ロコ・ソラーレから影響

最年長の山口選手と最年少の山本遵選手(16)では、22歳もの差があるSC軽井沢クラブ。年齢差のあるチームをまとめるためには、コミュニケーションが必要不可欠でした。

そんな時、山口選手にとって“転機”となった出来事がありました。

山口選手:「(出場できなかった、2022年の)北京オリンピックで解説させてもらって、ロコ・ソラーレをより深く見るようになった時に、一つひとつの言葉の掛け方がとてもソフトでした。例えば、ロコ・ソラーレもよくやっているのが『そだねー』ですよね。自分が違うと思っていても、まず聞き入れて、それを受け入れて、自分の考えはこうだよと言うのって、すごく気持ちが良い。試合中の言葉づかいは、結果どうこうではなく、プレーに対して相手に気持ち好く投げてもらうスタンスで声を掛けてあげれば、チームの状態が良くなって、結果も良くなる。すごく勉強になりましたね」

解説者として全体を広く見られたことで気付いた、ロコ・ソラーレのコミュニケーション。早速チームに持ち帰り、日々の練習から意識的に取り組み始めました。

■“前向きな”声掛け “スイープ”武器に優勝

そして、2022年5月の日本選手権で、その成果が表れます。

山口選手:「よし、良いんじゃないか。今の感じで」
柳澤李空選手:「こっちまで行きたいな」
山口選手:「うん、いいと思うよ!悪くない。ここでも、悪くないと思うよ」

山口選手が前向きな声掛けで、チームを盛り立てます。

迎えた、札幌国際大学との決勝。大量得点のチャンスがやってきた第3エンドで、SC軽井沢クラブは相手のストーンを押し出し、3点を狙いに行きます。

山本選手:「バックラインアップくらい?」
柳澤選手:「バックラインくらいで」
山口選手:「OK!」
柳澤選手:「もうちょい(幅を)取っていいかな」
山口選手:「OK」

そして、ストーンが放たれました。

細かい指示からの懸命なスイープで、狙い通り相手のストーンを押し出すことに成功しました。

コミュニケーションを通じて、武器のスイープが生きた会心のショット。2つが合わさり、日本選手権優勝という結果につながったのです。

山口選手:「(Q.この先、どういうふうに進んでいきたいですか?)まずは、直近の日本選手権。日本選手権で優勝すれば、4月の世界選手権にチャレンジできる。世界のレベルの高さを早く確認したいです」

(「報道ステーション」2023年1月31日放送分より)

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