DeNA・今永昇太の武器「奪三振率」 “理想のフォーム”とは…WBCへ 松坂大輔が聞く[2023/02/20 15:08]

松坂大輔さんが注目するWBC日本代表メンバーの特集を連続企画でお伝えしていきます。

1回目は、松坂さんも共感するところがあったというサウスポーです。侍ジャパンのキーマンに迫ります。

■今永投手の武器「奪三振率」 国際試合でも発揮

鹿児島県・奄美大島。向かったのは、DeNAの2軍キャンプです。

松坂さん:「チームにとって、栗山監督にとって、非常に頼もしい存在になる」

松坂さんが推す侍のキーマン其の一、DeNA・今永昇太投手(29)です。

プロ8年目のサウスポーは、去年11勝をマーク。6月には、球団52年ぶりとなるノーヒットノーランを達成しました。

松坂さんの考える今永投手の武器。それが、「奪三振率」です。

今回着目したのは、今永投手の奪三振率の高さ。その力は、国際試合の場でも発揮されてきました。

去年11月、オーストラリアとの強化試合。先発のマウンドに上がった今永投手は、4回を投げ10奪三振。オーストラリア打線を封じました。

松坂さん:「今永投手は、国際試合で特に奪三振率が高い」
今永投手:「狙ってる時ほど、三振が取れない実感があって。欲を出さずに投げるかが、奪三振につながっている。自分の理想のフォームで良いボールを投げる」

■「理想のフォーム」のポイントは“脱力” 「鉛筆を揺らす」動きで

三振を奪うためには、「理想のフォーム」で投げる。そのポイントはどこにあるのでしょうか?

今永投手:「テイクバックからトップを作って、力を抜く。無重力みたいな時間を作る。ボールが頭の後ろにあるところから、胸辺りの体幹で力を入れる」
松坂さん:「一気に加速させる」
今永投手:「30歳になって(※今年9月で30歳)、やっと感覚が分かってきた。松坂さんも(力を抜く場所は)この辺ですか?」
松坂さん:「一緒です」

松坂さんも共感する、フォームのポイントが“脱力”です。

今永投手の持つイメージは、脱力、脱力、脱力。そして、リリースの瞬間!力を入れる。もう一度。脱力から…リリースの瞬間に力を入れる。これが今永投手のイメージです。

例えるなら、誰しも一度は経験のある「鉛筆を揺らす」動きです。

松坂さん:「指先や手首に力が入っている状態では、鉛筆は直線的に揺れる。しかし、指先と手首をリラックスさせて動かすと、鉛筆は波打つ。自分の体を意識した時の動きのイメージも、この鉛筆と同じ。うまく力が抜けてないと、腕を加速させられない」

脱力するからこそ、腕を加速させることができる。これが今永投手の理想とするフォーム。この脱力によって、バッターへ“ある印象”を与えることができるといいます。

松坂さん:「(バッターにとって)体が見える印象と、腕がパッと出てくるスピードのギャップ。バッターはなかなかタイミング取りづらい。ピッチャーは結構、それを目指しますよね」
今永投手:「目指します。(バッターが)『今、良いスイングしたはずなんだけどな』という反応がある時は、良い投げ方」

■3大会ぶり世界一奪還へ「投げた結果が三振なら」

脱力したフォームから想像するボールのスピードと、実際に投げ込まれてくるボールのスピード。フォームから受ける印象以上の速さをバッターが感じることで、三振につながっていたのです。

そして、この三振には、国際試合において重要な役割があるといいます。

松坂さん:「何が何でも三振が欲しい場面がある。前回の準決勝」

2017年のWBC、決勝進出をかけたアメリカとの大一番。同点で迎えた8回。この当たりをサード松田宣浩選手がファンブル。3塁ランナーが還り、これが決勝点。日本は敗戦を喫しました。

松坂さん:「野手を信頼していないのではなく、三振を取ることが、一番何かが起こりづらい。その中でも、三振が取れる1人が、今永投手」

3大会ぶりの世界一奪還へ。日本を代表するサウスポーは、静かに闘志を燃やしています。

今永投手:「一番リスクの低いボールを選択して、投げた結果が三振だったら良いな。世界一という言葉を常に、頭の片隅に入れて、過ごしていきたいなと思ってます」

(「報道ステーション」2023年2月17日放送分より)

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