松岡修造がメジャーリーガーに直撃「どうしてWBCに?」…現地記者が語るMLBの“狙い”[2023/02/21 16:14]

今回のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)、日本代表は過去最高のメンバーがそろいました。さらに、日本以外の国も、過去最高のメンバーがそろいました。

なぜ、多くのメジャーリーガーが出場を表明したのか。松岡修造さんが、選手たちの本気に迫りました。

■選手に直撃「どうしてメジャーリーガーみんな出場?」

過去最高のメンバーがそろった、今回のWBC。

アメリカ代表は、MVPを3度受賞、現役最高選手の呼び声高い、マイク・トラウト(31)。ドミニカ共和国は、昨季のサイ・ヤング賞投手、サンディ・アルカンタラ(27)に加え、おととし、大谷翔平とホームラン王を争った、ブラディミール・ゲレーロ・ジュニア(23)が代表に選ばれています。

また、ベネズエラからは、首位打者3回、MVPも獲得したホセ・アルトゥーベ(32)。総勢180人を超える超一流のメジャーリーガーが、WBCに参加。5回目にして、かつてない注目を集めています。

WBCが盛り上がっているということで、「どうして、メジャーリーガーがみんな出場するのか?」。松岡修造さんが、選手に聞いてみました。

アメリカ代表 ウィル・スミス(27):「(Q.WBCについて、あなたはどう思いますか)子どもの時から、WBCを見て育ちました。参加できるのは、本当にうれしいです」

ベネズエラ代表 ルイス・レンヒーフォ(25):「ベネズエラ代表の一員として、日本のショウヘイと勝負したいです」「(Q.もしショウヘイと対戦したら?)一発打ってやる!冗談です(笑)」

■トラウト「代表のユニホームに身が引き締まる思い」

続いて、元アメリカ代表、エンゼルスのフィル・ネビン監督に松岡さんが、「今回のアメリカ代表は、本当にとても本気だと思います。あなたは、どう感じていますか?」という質問をしたところ、次のような答えが返ってきました。

ネビン監督:「私も本気だと思います。ドミニカ共和国もベネズエラもキューバも、(WBCを)とても重要視しています。日本代表もそうです。本当に、すべてのチームが、とても本気になっていると思います」

特に、本気度の違いが見えるのがアメリカ代表。これまでの大会といえば、メジャーリーガーが参戦すると言っても、全盛期を過ぎた大ベテランや、実績のない若手が中心でした。

しかし、今回は、トップ選手が次々と参加を表明。WBCが世界一を決める大会と、選手に認知されてきたのです。

トラウト:「WBCの舞台で輝きたい。代表の打診を受けた時、前回大会の優勝を思い出しました。大会の雰囲気や、SNSで国内が盛り上がったのを知っているので、あの仲間に入りたいと思いました。またとない機会で、本当に楽しみ。アメリカ代表のユニホームに身が引き締まる思いです」

■MLBの狙いと“保険”…大会直前で“出場ストップ”も

一方で、WBCを主催するMLBには、別の狙いがあると現地記者はいいます。

LAタイムズ D・ヘルナンデス記者:「ビジネス的な理由でしょう。アメリカでは、アメリカンフットボールが圧倒的に人気があります。バスケットボールも、野球より人気が高いです。20年、30年もすれば、サッカーも野球人気を抜くと思います。この国の人は、WBCに興味がありません。もっと多くのスター選手が出場すれば、関心も上がると考えたのでしょう」

アメリカで問題となっている野球人気の低迷。そこでMLBは、各チームと話し合い、WBCに多くのスター選手を出場させることで、MLB自体の人気を上昇させたい。そんな狙いもあるといいます。

しかし、シーズン期間ではない3月の大会を開催するのは、チームにとってリスクもあります。

D・ヘルナンデス記者:「結局は、どのチームもWBCでもうけたいのですが、もし投手にけがをされたら、お金を失う。それを一番恐れています。そこで保険ができたわけですが、結局はお金なんです。ここはアメリカですから。お金こそが、神様なのです」

WBCに出場するメジャーリーガーは、けがをした時のために保険に入ります。保険会社の審査に通らないと、出場できません。(※チームによっては特例で出場できる場合もあります)

今大会、アメリカ代表入りしていたクレイトン・カーショー(34)は、過去の故障歴が影響し、大会直前で出場にストップがかかりました。

クレイトン・カーショー:「努力が実らず、とても残念だ。体はどこも悪くないのに、出場が許されなかった。これが最後の機会かもしれないので、代表になりたかった」

■選手たちの思い…今大会の成功が野球の“未来”に影響

依然、WBCには多くの課題はあるものの、出場する選手たちはそれぞれに使命を感じて大会に臨みます。

カナダ代表 フレディ・フリーマン(33):「両親はカナダ人です。10歳の時に亡くなった母のためにプレーします」「(Q.お母さんへの思いが強いのですね)(カナダ代表は)僕にとっては、大きな意味があります」

続いて、こちらの選手は…。

フリオ・ウリアス(26):「見せてあげるよ。漫画の『キャプテン翼』です」「(Q.キャプテン翼だ!でも、翼君は野球選手じゃないけど)僕は、サッカーが大好きなんだ」

「キャプテン翼」が大好きというのは、メキシコ代表フリオ・ウリアスです。

フリオ・ウリアス:「メキシコにサッカー以外のスポーツもあると知ってもらいたいから、WBCに出たい。野球のレベルが高いことを知ってもらうためには、いいプレーをすることが大事です」

WBCは、サッカーワールドカップのように世界的なイベントになれるのか。今大会の成功が、野球の未来を変えるかもしれません。

アメリカの野球ファン:「(Q.WBCはアメリカのファンにとって、どのくらい大きなイベント?)(WBCで)世界中の国々が、野球を通してつながれるのは、とても素晴らしい」「(Q.本当に?)子どもたちの野球に対する関心が高まっています」「(Q.子どもたちに?とても大事な事ですね)とても大事です。野球のレガシーを次世代に伝えることになりますからね」

(「報道ステーション」2023年2月20日放送分より)

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