佐々木朗希の“フォーク” 秘密は「ラインに乗せる」 松坂大輔「武器になる」[2023/03/03 15:10]
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大谷翔平選手、ダルビッシュ有投手と共に、先発の柱として活躍が期待される佐々木朗希投手(21)。三振を量産するピッチングの秘密を松坂大輔さんが聞いてきました。
■佐々木投手「弱気なほう」「試合前は緊張・不安が…」
インタビュー前。
佐々木投手:「きのうはドラゴンズですか?」
松坂さん:「きのうはドラゴンズで」
佐々木投手:「高橋宏斗のインスタで見ました。ボールはよかったですか?見ていないですか?」
松坂さん:「ボールは、シート打撃で投げているのをちょっと見て。他のピッチャーと比べると、確かに慣れるのも早いかもしれない」
準備が整ったところで、いよいよインタビューへ。
松坂さん:「野球以外の時は普段何をして過ごしてるとかってありますか?休日とか」
佐々木投手:「僕、趣味なくて。プロ入ってからコロナ禍もあったので、あまり出歩くこともなかった。家にいるか、治療するかとか。あまり野球から離れないというか、リフレッシュ系のことは一切しないです」
松坂さん:「佐々木投手は自分のことを強気な投手だと思いますか?弱気な投手だと思いますか?」
佐々木投手:「僕は、弱気なほうかなと思います」
松坂さん:「ほんとですか?」
佐々木投手:「はい」
松坂さん:「マウンドに立っている姿を見ても、あまり感じないんですけど」
佐々木投手:「特に試合前は、緊張や不安がすごく大きい。見た目には出ないですけど、心の中は動揺しています」
■“フォーク” リリース直後同じ軌道のため…見極め難しい
自身をそう分析する佐々木投手ですが、ひとたびマウンドに立てば、三振、三振。圧巻だったのは、完全試合を達成した試合で樹立した13者連続奪三振の日本新記録です。
昨シーズン奪った三振の数は173個(パ・リーグ2位)。球種別でその割合を見てみると、ストレート57個、フォーク106個、スライダー10個と、フォークでの三振が最も多く、松坂さんはこのフォークこそ、国際大会で有効な球種だと考えているのです。
松坂さん:「(フォークは)どんなイメージで投げている?」
佐々木投手:「自分で見えるストレートの軌道があるんですけど、フォークの握りでボールをそのラインに乗せるだけ」
「ラインに乗せる」とは、一体どういうことなのでしょうか?ストレートの映像と、フォークの映像、2つを重ねてみると、同じリリースポイントを意識することで、途中までボールは同じラインを描いています。
バッターは手元にボールが来るまで球種が分からないので、見極めるのが難しくなるのです。
■WBC公認球の感触は? 「たくさん投げて感覚を身につけた」
松坂さん:「去年の強化試合で、投げているところを見させてもらったんですけど、WBC公認球の感触ってどうですか?」
佐々木投手:「去年の強化試合の時はまだ馴染んでなくて。なかなかそのラインに乗らずに、投げた瞬間から浮いてしまって、高めでもあまり落ちずに。あとは右バッターの高めや左バッターの外側に抜けてしまうことが多かった」
去年11月の強化試合、WBC公認球での初登板。滑りやすいボールでフォークを投げると、高めに抜けてしまっていました。
この試合のフォークとストレートの投球を重ねてみると、リリース直後から別々の軌道を描いていました。
松坂さん:「投げながら探っていた?」
佐々木投手:「そうですね、特にその時は試合だったので『どうにかまとめないといけない』という気持ちでやっていた。オフシーズンに時間があったので、握りとかも色々試しながら、どうにか投げられるように練習して。一番は慣れだと思うので、たくさん投げて感覚を身につけました」
松坂さん:「今どのくらいの状態ですか?試合に臨むにあたって」
佐々木投手:「そこに関しては順調にきていると思う」
松坂さん:「不安なく」
佐々木投手:「できているかなと思います」
■WBCへの準備整う 松坂さん「フォークは武器になる」
そして、先週行われたソフトバンクとの強化試合。先発した佐々木投手に対するは、柳田悠岐選手です。
その初球、低めにコントロールされたフォークで空振り。2球目もフォークを投げ、これで2ストライク。最後は162キロのストレートで空振り三振に打ち取りました。
この時のフォークとストレートの映像を重ねてみると、同じラインに乗ってから変化しています。
去年の強化試合からおよそ3カ月。WBCへの準備は整いました。
佐々木投手:「(WBCで)どれくらい通用するか分からない。メジャーリーグの試合とか見ると、スプリット・フォーク系(速く落ちる球種)は少なく、チェンジアップ(遅く落ちる球種)のほうが多いイメージがある。自分の思い通りのフォークを投げることができたら有効になってくるかなとは思っています」
松坂さん:「フォークは間違いなく武器になると思います」
■佐々木投手「どんな立場でもチームの戦力になりたい」
WBC開幕まであと1週間。世界一をかけたこの舞台に、佐々木投手は特別な思いがありました。
2019年に書かれた佐々木投手直筆のアンケート。目標は「世界一」。
当時17歳、強い思いを持って挑んだ「U18ワールドカップ」。9月6日の韓国戦で先発するもマメがつぶれてしまい、登板はわずか1イニングのみ、チームは5位で大会を終えました。
佐々木投手:「本当にもどかしい。もちろん優勝したい気持ちで入って、チームが頑張っている中で、自分が戦力になれなかったことはすごく悔しかった。もどかしい、そういう気持ちがありました。舞台は全然違うけど、今度は高校生ではなくてトップチームで日の丸を背負うので、重みは全く違う。今年は、どんな立場でもチームの戦力になりたいなと思っています」
(「報道ステーション」2023年3月2日放送分より)