1月に妊娠を発表した大坂なおみ選手(25)。松岡修造さんが、彼女に話を聞きました。
■大坂選手“ポジティブで意欲に満ちた言葉”
その表情は、もうすぐ母になる喜びにあふれていました。
松岡さん:「まず、おめでとうございます」
大坂選手:「ありがとう。自分の体の中に誰かがいるなんて。赤ちゃんがおなかを蹴ると幸せです。私にとって、赤ちゃんは奇跡です」
久しぶりのインタビュー。どうしても気になっていた不安をあえて、ぶつけてみました。
松岡さん:「最初に、なおみさんがご懐妊だと聞いた時に、すごくうれしかったんです。でも、『テニスには戻ってこないかも』とも思った」
大坂選手:「私は、真逆に考えました」
松岡さん:「真逆?」
大坂選手:「妊娠を知った時に、『出産の後、絶対もっと良い選手になれるわと思いました。さらに努力して、頂点に立ちたいと思いました。来年1月、全豪オープンに出場する予定です」
松岡さん:「全豪オープンに!?」
大坂選手:「はい!」
松岡さん:「ちょっと、早すぎなのでは?」
大坂選手:「全然、早くないわ。出産が6月か7月なので、8月から1月まで6カ月ありますよ」
大坂選手が語ってくれたのは、ポジティブで意欲に満ちた言葉でした。
■大坂選手「もっと自分を褒めていいのでは…」
おととし6月、SNSに投稿された大坂選手の告白は、世界中に衝撃を与えました。
松岡さん:「ずっと苦しかったと言っていましたよね。つらかったですか?」
大坂選手:「うつの状態になった頃は、すごく怖かったです。テニスをいったんお休みする必要があるなと思いました」
大坂選手にとって、それまでの3年間はジェットコースターのような日々でした。2018年、20歳という若さで日本選手としてシングルスでグランドスラム優勝を果たし、翌年には、世界ランク1位に躍り出ます。
時には、人種差別に抗議するメッセージを発信。常に、世界中から注目を浴び続けました。
松岡さん:「なおみさんにはパワーがあると感じました。テニスだけでなく、自分の話すことに。なおみさんの言葉で、人や世界を変えられる。なおみさんは、どう感じていた?」
大坂選手:「ストレスを感じていました。当時は自分が子どもだと思っていましたし、自分が成し遂げたいことの最中で、自分を見失いました。正直、自分が若い時には、グランドスラムで1回優勝すればいいと思っていました。すべてのことが短期間に起こったので、消化する時間が必要でした」
常に勝ち続け、注目されてきたことが、大坂選手を苦しめていたのです。
試合も欠場が続き、今年1月には妊娠を発表。しかし、テニスと離れたこの期間こそが、今まで気付けなかったことを知るキッカケになっていました。
大坂選手:「私は、多くのことを成し遂げてきました。もっと自分を褒めていいんじゃないか。人は、もっと自分を褒めてあげるべきです。私は勝気な性格です。挑戦も大好きです。しかし、昨年、挑戦がとても怖いと思いました」
松岡さん:「なぜ、そう思ったのですか?」
大坂選手:「私が完璧主義者だからでしょうね。例えば、グランドスラム優勝はすごいことだけど、自分にとっては普通のことで。そうすると、3回戦で負けると、すごく落ち込む。他の人だと良いのに、自分だとダメ。それに対処しないといけない。自分以上のものにはなれない。素の自分でいいんだと思うことは、大きな力をもたらします。自分は、世界で唯一無二の存在で特別です」
■“人生の第2セット”では…何を目指す?
勝てない自分も、ありのままの自分と受け入れる。自分と向き合えた大坂選手には今、“再び芽生えた思い”がありました。
大坂選手:「また、テニスがしたいです」
松岡さん:「テニス人生の第1セットでグランドスラム4回優勝。第2セットでは何を目指す?」
大坂選手:「8回」
松岡さん:「8回グランドスラム優勝?あと、8回グランドスラム優勝?ウィンブルドンも?」
大坂選手:「全仏と五輪も。パリ五輪で金メダルを目指します。復帰するのが楽しみです」
松岡さん:「お子さんと共に戦うわけですね」
大坂選手:「とても幸せな気持ちになると思います」
(「報道ステーション」2023年4月3日放送分より)
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