競泳・成田実生(16) 海外遠征で“涙の理由”…金メダリストが指摘“背泳ぎの呼吸”[2023/04/18 15:26]
今月行われた、世界水泳代表をかけた日本選手権。成田実生選手(16)は、すさまじい活躍を見せました。
200メートル個人メドレーと、400メートル個人メドレーで優勝。突如現れた、競泳界のニューヒロイン。一体、どんな選手なのでしょうか?松岡修造さんが話を聞きました。
■海外遠征…成田選手“涙”の理由「悔しい時とか…」
松岡さん:「皆『成田さん!』と、ものすごくフィーバーしている。この感覚って、どう捉えているんですか?」
成田選手:「こうやって取材してもらっているんですけど、まだ実感はない。小さい頃は、世界水泳とかテレビで見た記憶がなくて」
松岡さん:「ちょっと、見てもらっていいですか!成田さんが0歳の頃から、世界水泳を一生懸命伝えてるのに!(笑)」
笑顔が印象的な成田選手。しかし、1月の海外遠征では、涙を流す場面もありました。
成田選手:「せっかく遠征メンバーに選ばれたのに、『泳ぎたくないな』って思っちゃった。本当に悔しい時とか、『あー』って思っちゃう時は涙が出てきちゃう」
■得意の平泳ぎ…スピード「出さないというか出せない」
まだまだ、幼さが残る16歳。シニアの大会も出始めたばかりなのに、なぜここまで強いのでしょうか?
個人メドレーはバタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形の4種目。成田選手は、そのすべてに穴がないと言われています。
松岡さん:「その中で、一番自分の武器だと思っているのは?」
成田選手:「背泳ぎが得意」
実は、去年の日本選手権でも、その実力は証明済み。個人メドレーではなく、200メートル背泳ぎで、優勝を飾ったのです。
しかし、ちょっと不思議なことがあります。
400メートル個人メドレーを見てみます。まずは、バタフライ。1位とのタイム差は1.51。次は、成田選手が得意の背泳ぎです。しかし、1位とのタイム差は2.20に差が広がっています。
背泳ぎが得意なのに、どうしてなのでしょうか?
松岡さん:「『背泳ぎは、私の番よ!』という感じですよね。背泳ぎで、どんどんスピードを出せばいいのに、あまり出さないじゃないですか」
成田選手:「出さないというか、出せない。もうちょっといきたかったけど、いけなかった」
■金メダリストが分析「呼吸におけるテンポの違い」
「力を出したくても、個人メドレーになると出せない」とは、一体どういうことでしょうか?
その理由を、リオ五輪400メートル個人メドレーで世界を制した萩野公介さんに聞いてみると、意外な答えが返ってきました。
萩野さん:「呼吸が関係している。バタフライって両手運動なんですが、背泳ぎは片手運動。呼吸のタイミングがずれる。バタフライだと『フー』って一回に大きく息を吸うんですけど、背泳ぎはどっちらかというと、一回に大きく呼吸をするよりも『フッフッフッ』というように、呼吸でテンポがずれて、ストロークの回転が上がらない。そういうところがあるのかな」
多くの選手は、腕の動きに合わせて呼吸をします。そして、その呼吸の仕方は、ストロークに大きく影響するといいます。
では改めて、成田選手の泳ぎです。まずは、1種目目のバタフライ。腕の動きに合わせて「フーーー、フーーー」と呼吸をしています。
続いて、2種目目の背泳ぎ。「フッフッフッ」と呼吸をしています。
背泳ぎが伸び悩む原因。萩野さんによると、それは「呼吸における、テンポの違い」だったのです。
松岡さん:「ものすごく、伸びしろがある」
成田選手:「改善できるところが、まだまだある」
松岡さん:「実生さんにしかできない個人メドレーって考えたら、どんな個人メドレーの選手になりたい?」
成田選手:「何でも泳げる選手。4種目とも速い選手になりたい。オリンピックで戦ってみたいし、メダルを取った選手は、皆キラキラしていて憧れる。世界水泳へ向けて準備をしたいなと思います」
(「報道ステーション」2023年4月17日放送分より)