江村美咲 “楽しむフェンシング”で大きく飛躍 日本女子初 「サーブル」世界1位に[2023/04/28 16:36]

今月から来年のパリ五輪に向け、出場権をかけた戦いが始まったフェンシング。現在、世界ランキング1位、日本初の世界一に輝いた江村美咲選手(24)に、内田篤人さんが話を伺いました。

■「サーブル」選んだ理由は“景品目的”

江村選手は現在、世界ランキング1位を誇るフェンシング界の新星です。

去年の世界選手権の女子サーブル決勝。日本女子史上、初めてとなる金メダルを獲得しました。

内田篤人さん:「うれしかったですか?」

江村選手:「はい。まだ誰もとっていなかったので、その最初は自分がいいなという気持ちがあった。信じられないけど、うれしかったです」

3つの種目に分かれるフェンシング。まず脚光を浴びたのが、「フルーレ」です。胴体のみ有効。2008年の北京オリンピックで太田雄貴さんが日本初の銀メダルを獲得した、人気種目です。

一方、全身が有効面となる「エペ」は、東京オリンピックで男子団体が史上初の金メダルに輝きました。

そして、上半身全体が有効となる「サーブル」。突きだけでなく斬りの攻撃もあり、よりダイナミックで試合展開の速さが特徴です。

ただ、日本では競技人口が少なく、これまで唯一世界大会のメダルに届いていない種目でした。

内田さん:「サーブルを選んだのは、何でですか?」

江村選手:「大会の景品目的で、キャラクターのパズルだった」

内田さん:「そのパズルが欲しくて、サーブルにしたんですか?」

江村選手:「はい。(サーブルに)出たら優勝して。パズルももらって。『サーブル楽しいかも』って」

内田さん:「すごいきっかけですね」

■飛躍するきっかけ“コーチとの出会い”

身長170センチの江村選手の武器は、長い手足を生かし、一気に相手の懐をつく「ロングアタック」です。

さらに去年、江村選手が飛躍するきっかけがありました。本場・フランスから日本代表コーチに就任したジェロームさんとの出会いです。

ジェロームさん:「彼女のプレースタイルは大きく変わった。フェンシングに遊び心を取り入れるように教えた」

江村選手:「フランススタイルは柔らかく、細かく、繊細に。粘って粘って最後に思い切りいく。戦い方、考え方、試合へ挑む心持ちとか。まだ、こんなに知らないことがあったんだと気付きました」

■“楽しむフェンシング”で世界一に!

新たな攻撃スタイルで臨んだ世界選手権決勝。相手は当時、世界ランキング1位のアンナ・バシュタ選手。過去5戦、全敗を喫している強敵です。 

15点先取のゲーム。2点をリードされる苦しい展開に。

江村選手:「危険な状況なんですけど。『強いな…じゃあ何しよう?』みたいな。すごく楽しい気持ちが、不思議な感じでした」

ピンチを楽しんだ江村。ステップを途中で止め、相手のリズムを崩していきます。

続いて、得意のロングアタック!さらに、相手を斬ってポイント。多彩な攻撃で逆転に成功。コーチと作り上げた「楽しむフェンシング」で、世界一に上り詰めたのです。

内田さん:「自分が成長できたというのは?」

江村選手:「日本のサーブルはメダルなんていうレベルじゃない。全然勝てなかったけど、ジェロームコーチが来てから、世界ランキングも上がって、世界からの見方も変わって。パリ五輪に向けて、もっと成長できるなと思えています」

(「報道ステーション」2023年4月26日放送分より)

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