Jリーグ30年 高レベルのリーグへ…ジーコ、大迫勇也に聞く「成長に必要なことは?」[2023/05/10 16:07]

Jリーグが開幕したのが、1993年5月15日。来週で節目の30周年を迎えます。

ここから日本サッカー発展のためJリーグに必要なことは何か、2人に話を聞きました。1人目は、元ブラジル代表でサッカーの神様、ジーコ氏(70)。そして2人目が、ヴィッセル神戸の大迫勇也選手(32)です。

2人の取材を通じて、Jリーグのこれまでとこれからに迫ります。

■ジーコ氏「Jリーグで一番成長したのは監督」

ジーコ氏:「Jリーグがこの年齢まで達したことがとてもうれしいです。最近ではイングランド・プレミアリーグで三笘選手が際立って活躍していますよね。あなたもそうです、ドイツで素晴らしい活躍をしました。それは日本サッカーがどれだけ発展したのかを示すものです」

今から30年前、Jリーグ開幕戦。鹿島アントラーズの司令塔として、名古屋グランパス相手にいきなりハットトリックを決めるなど、日本に衝撃を与えたジーコ氏。世界的レジェンドがJリーグ開幕の2年も前から、日本サッカーの発展に尽力してきました。

内田篤人さん:「当時の日本サッカーの印象はどうでした?」

ジーコ氏:「多くの日本人は会社で働いた後に練習をしていました。彼らにプロフェッショナルという意識はありませんでした」

内田さん:「(鹿島関係者は)サッカー以外のことも怒ってくれて、僕たちを育ててくれたとおっしゃってたんですけども」

ジーコ氏:「プロフェッショナルを知らない者を可愛がったところで仕方がないんです。私が伝えたかったのはプロとしての厳しい世界を見せることでした」

その後、代表監督を務めるなど30年以上日本サッカーに携わってきたジーコ氏ですが、今のJリーグについてはどう思っているのでしょうか?

ジーコ氏:「これまでのJリーグで一番成長したのは監督かもしれません。その多くはJリーグの初期に活躍した選手たちで。日本代表の森保監督と当時何度も対戦していますが、選手として素晴らしい人物でした。その経験を監督になった今もなお発揮し続けています」

Jリーグ初期を支えた選手がプロとしての在り方を学び、今度は指導者として日本サッカー発展に貢献しているのです。

■Jリーグの成長に必要なことは「競争」

そしてもう一人、今シーズン得点ランキングトップに立つ、ヴィッセル神戸・大迫選手にも話を聞きました。

2009年に鹿島アントラーズでプロデビューすると、2014年に世界屈指のドイツ・ブンデスリーガへ渡り7年間プレー。そして、2021年に再びJリーグの舞台に戻ってきました。

海外を経験した大迫選手だからこそ、Jリーグの成長に必要だと感じることは…?

内田さん:「世界のトップ10に入るにはJリーグはどうなったらいい?」

大迫選手:「ヨーロッパから外国人をいっぱい連れてくるのが一番早いんじゃないですか」

内田さん:「フォワードだよね、考え方が」

大迫選手:「絶対そうだと思いますよ。厳しい環境でやるしかないと思う」

内田さん:「それによって出られない若手選手も出てくる」

大迫選手:「そこまでの選手って思わないと。追い込まれた環境を、僕らも海外で経験した」

内田さん:「『海外で成功するには何が必要ですか?』ってよく言われるんだけど、根性だと答えてる。どう思いますか?」

大迫選手:「反骨心。悔しい思いとかする、ベンチ外にパッとなったり。ああいう時に次の日の練習とか『頑張らないと』って。自分にプレッシャーかけながら練習して、みんなのイメージを変えていかないと」

内田さん:「Jリーグもそれぐらいの競争が欲しい?」

大迫選手:「欲しいですね。あったらめっちゃ強くなるし、レベルが上がってくると思います」

一方のジーコ氏は、競争が必要としたうえで、こんな提言をしました。

ジーコ氏:「多くの若い選手が、ヨーロッパでプレーして自分の価値を上げることが重要だと思っていますが、重要なのは、まずは日本で名を上げることです。その後、海外での自分の場所を探せばいいんです」

■2人にとって「Jリーグとは」?

Jリーグをより高いレべルのプロリーグへ。さらなる成長を願う2人にとって「Jリーグとは」何なのでしょうか?

大迫選手:「『Jリーガーになりたい』と言ってたので、自分の中では一つの夢だったんですかね。エスコートキッズと手つないでコートに入ると、子どもたちが緊張している。それを見るとうれしい。こうやって憧れてくれるのかなって感じる。僕にとっても夢でしたし、子どもたちにとっても夢の場所になってほしいですね」

ジーコ氏:「Jリーグは…どんどん成長していく息子のようです」

内田さん:「Jリーグの成長を見るのは楽しいですか?」

ジーコ氏:「ずっと見守ってきましたから。W杯ごとに成長する日本の姿を見られてうれしいです。今後30年でW杯決勝戦の舞台に、日本が立つことを期待しています」

(「報道ステーション」2023年5月9日放送分より)

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