サッカー日本代表・森保監督 広島の新スタジアムを通して語る“平和への熱い思い”[2023/08/02 14:28]

6日に原爆の日を迎える広島。その広島の平和公園の近くに、サッカースタジアムが今年12月に誕生します。

そして、日本代表の森保一監督は現役時代から25年以上、広島で生活されています。森保監督がサッカーを通じた平和に対する熱い思いを語りました。

■人一倍強い“平和への思い”を世界へ発信

森保監督:「いろんな記念碑があるんですけど、ちょっと道の向こうから、いつも祈りを捧げています」「(Q.どういう思いで?)ご冥福をお祈りすることと感謝の気持ちを伝える」

サッカー日本代表・森保一監督(54)。平和公園には、サンフレッチェ広島の監督時代からずっと訪れています。

森保監督:「原爆ドームは被爆した時の形が残っていますけど、我々が今こうやって歩いている所も原爆が投下された時には、たくさんの人たちが尊い命をなくして。いろんな人が苦しみ、悲しみを乗り越えて、未来につなげて下さっていることは感謝しないといけないと思っています。街が、生活が破壊されることがないように、という思いをいろんな人に持ってもらえるように」

出身が被爆地の長崎ということもあり、人一倍強い平和への思いを、これまで世界中へ発信してきました。

森保監督(2021年8月5日):「平和であるからこそ、スポーツの祭典ができる、スポーツができる。平和であるからこそ、自分の大好きなことができる。平和ということをかみしめて、この五輪、最後まで臨みたい」

■国際試合が開催できる「新スタジアム」

そんな森保監督が心待ちにしているのが、広島の中心地に新しくできるサッカースタジアム。12月に完成予定で、サンフレッチェ広島のホームスタジアムとなります。

広島では昔からサッカーが盛んでした。特に戦前から戦後初期は、国内屈指の強豪地区として広島の学校が何度も全国を制覇しました。

その後、プロリーグのJリーグが誕生し、森保監督がサンフレッチェ広島を3度、リーグ優勝に導きました。

森保監督:「(Q.どうでしょうか、この景色は?)素晴らしい景色ですね。ワクワクした気持ちになっています。サッカーを通して、スポーツを通して街に潤いを与える。皆さんに喜んでもらえる試合が展開されることを願っていますし、人々の集う場、いろんなイベントができる場。広島の皆さんの街の宝になると、うれしいなと思います」

スタジアムやその周辺では、試合がない日もイベントなどでたくさんの人が楽しめる場所に。さらに今回は国際基準を満たす予定で、日本代表戦などの国際試合が開催できるようになります。

そして、そのスタジアムのすぐ近くには平和公園があります。実は元々、戦後すぐに平和公園の近くにサッカー場を作る構想がありました。

その時に構想案を作ったのは、都庁や国立代々木競技場を設計した、世界的な建築家・丹下健三さんです。当時と場所は少し変わりましたが、長い年月を経て、ついに実現したのです。

■森保監督「平和を発信する素晴らしいスタジアム」

ヒロド歩美キャスター:「新スタジアム、見渡すと平和公園。距離感といい、どういう意味があると思いますか?」

森保監督:「目的はサッカーで来る方も多いと思いますが、距離も近いですし、原爆ドームを見るだけでも、歴史を知っていただくことにつながると思います。国内外問わず、たくさん集まってこられる素晴らしいものができたということは、平和を発信する、考えていただくという意味でも素晴らしい意義のあるスタジアムができることになるなと思います」

その言葉の裏には、サンフレッチェ広島の監督時代、日本で開催されたクラブW杯での、こんな出来事が関係しています。

森保監督:「(大阪で)リバープレートと対戦した時に、アルゼンチンのサポーターが(試合前に)ユニホームを着たまま平和公園にいて、大阪に移動して試合を観てくれる。日本の原爆の歴史を感じてもらい、サッカーを楽しんでくれた。世界から集まってくれるサッカーやスポーツって、すごく大きなツールだと感じました」

これまでも日本での国際大会をきっかけに、海外のサポーターや選手たちが平和公園を訪問。広島で国際試合を開催すれば、海外からの訪問者がさらに増えることが期待されます。

森保監督:「そういうスポーツに携われて、私自身はすごく幸せだなと思いますし、(日本代表では)笑顔になっていただけるように一戦一戦、勝利を目指して戦いたい。そして、選手たちのプレー、活動を通して日常生活の活力となる『元気』『勇気』『根気』を届けられたらなと思っています」

(「報道ステーション」2023年8月1日放送分より)

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