ジャパンオープンテニスで大変なことが起きました。それは、望月慎太郎選手(20)の快進撃です。会場は日に日にお客さんが増え、海外の選手や記者からは「なんだこの選手は」という驚きの声が上がりました。
■“自分より大きい・球が速い人は普通”と思える
22日まで行われていた「ジャパンオープン」で、望月慎太郎選手の名は世界にとどろきました。
これまでトップツアー未勝利。世界ランキング215位の20歳が、世界ランキング10位の超格上を破る大金星。
続く準々決勝も、格上を撃破し、ベスト4入りを果たしたのです。
22日、急きょ話を聞くことができました。
松岡修造さん:「すごくうれしいのは世界のトップに行ける。これから世界の中に入っても全然怖くないだろうし」
望月選手:「最近は(身長)2メートル超えてない選手だったら『あんまり大きくないな』っていうふうに思ってきてます」
松岡さん:「2メートル、あ、そう。たいしたことないぞと」
望月選手:「『意外とないんだな』って思っちゃいますし。自分よりも大きい人・球が速い人は普通って思えてることが、1番そこに対しての不安はないので…」
■望月慎太郎選手とはどんな人物?
望月選手は、日本のテニス界ではかなり前から期待されていた選手でしたが、「一体誰なんだ?」と思った人も多いと思いますので、少し紹介します。
望月選手は神奈川県の川崎市出身で、3歳の時にテニスを始めました。
12歳の時にアメリカに渡り、世界的なアスリート養成機関「IMGアカデミー」へ。錦織圭選手も育った場所です。
そして4年前の2019年、16歳の時に日本人初の快挙を成し遂げました。ジュニアの4大大会、ウィンブルドンで優勝しました。
さらに、ジュニアの世界ランキング1位になるなど、輝かしい実績の一方、身長は176センチとテニス選手としては決して大きくない、むしろ小柄な方ともいえます。
では、なんで強いのでしょうか?実は、大きな武器があると言います。
■“ネットプレー”決める確率は…異次元の84%
松岡さん:「何が一番の武器だと思ってます?」
望月選手:「周りより自分が絶対強いと思うのは“ネットプレー”」
松岡さん:「ネットプレー!?ちょっと待ってください、背の低い人はしないじゃないですか。なぜネットプレー?」
望月選手:「やっぱりパワーもないですし、これから一生パワープレーできるタイプではないので。自分からポイントを取っていかないとチャンスはないと思っている」
望月選手が言う“ネットプレー”とは、ネット際で相手のボールを打ち返す、大柄な選手が得意とするプレーです。
というのも、“ネットプレー”をすると、相手は横を抜こうとしたり、後ろに高いボールを打とうとしてきます。そうなると、背が高かったり、腕が長い方が有利になります。
ただ、望月選手は決して体が大きいわけではありません。
でも、見てみると、今年、望月選手がネットに出た時に決める確率はなんと84%と、異次元の確率なのです。
一体、どうしてこんなことができるのでしょうか?
■“先入観”を利用するネットプレー
松岡さんは、「先入観ブレーク」が異次元の確率につながるのではないかと話します。
先入観を1番ブレークしたシーンは、望月選手が打ったセカンドサーブの時です。通常、セカンドサーブというのは「ダブルフォルト」を恐れて慎重にコートに入れにいきます。その分、相手に強打される可能性が高く、そんな状況でネットにいったら、たちまち横を抜かれてしまいます。
なので、相手にとってみたら、セカンドサーブでネットについてくるわけがないという先入観が生まれます。そこを、望月選手は「先入観ブレーク」していくということなのです。
このことについて、望月選手に話を聞いたところ、こういう答えが返ってきました。
■最終目標は…「グランドスラム優勝」
望月選手:「(相手も)大事な時はやっぱり硬くなるし、自分のことで精一杯になることは絶対多いと思う。分かられていても絶対自分が迷わず思い切っていけば相手はビビる。そこの隙は自分が勝負していけば、できるっていうところは感じます」
これまでのテニス界にない、唯一無二の武器を持っている望月選手。
さあ、これからどこまで上っていくのでしょうか。
望月選手:「もちろん最終的な目標としてはグランドスラム優勝、(世界ランキング)トップ10に入りたいっていうのは今1番あるので」
松岡さん:「錦織選手と比較されることもあると思うんですけど…」
望月選手:「そういうふうに比べてもらうだけで、自分がこういう世界に入ってきているんだなという実感はあります。やっぱり錦織選手は昔からすごかった選手なので。僕の意見としては、全く比べる必要ないと思ってますし、同じ日本人、それしか一緒のことはないと思うので。最終的に超えていけたらうれしい。そこは自分なりに時間がかかってでも努力して、いつかつかみ取りたいですね」
(「報道ステーション」2023年10月23日放送分より)
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