フィギュアスケート・坂本花織 ジャンプ直前に一工夫…世界女王が目指すさらなる進化[2023/10/26 17:41]

フィギュアスケートの坂本花織選手(23)は世界選手権2連覇中の絶対女王ですが、意外にもグランプリファイナルでは優勝したことがありません。そこに向けて、まだまだ進化しています。

■加点を引き出すジャンプで…2年連続世界女王に

先月行われた海外初戦で、貫禄の滑りを見せたのは、坂本花織選手でした。

2位の選手と、30点差以上つけての優勝。一体、この強さはどこにあるのでしょうか?

坂本選手:「ジャンプが一番の得点源なので、自分の取り柄であるジャンプを評価してくれることは一番うれしい」

内田篤人さん:「ジャンプの何が良いんですか?質なんですか?高さとか、どういうところを見たら違いが分かりますか?」

坂本選手:「飛距離が長いです」

内田さん:「それは何でそんなに出るんですか?」

坂本選手:「ジャンプの前に、結構スピードを出して跳ぶので」

内田さん:「助走の部分で?」

坂本選手:「助走の部分で結構スピード出して跳ぶので、スピードがある分、跳び上がれば流れに乗って飛距離をかせげる」

例えば、得意のダブルアクセルでは、他の選手よりも1メートルほど長い飛距離を出すことができるのです。

飛距離は、大きな「加点」につながります。

世界選手権で金メダルを獲ったときのジャッジシート。銀メダリストとジャンプの加点を比べてみると、その差は一目瞭然です。

この加点を大きく引き出すジャンプで、2年連続世界女王に輝きました。

■「ちょいリスク」 ジャンプ直前に一工夫

しかし、23歳で迎える今シーズン、自身の成長に対して焦りも感じています。

坂本選手:「もうピークをめちゃめちゃ越えていて、大体15から18歳がピークなんですよ」

内田さん:「15から18!?それは何でですか?骨格的なものなんですか?」

坂本選手:「体型変化の前で、キャリアのピークが来てしまうのがよくあること。だから今を受け入れるしかないと思って」

内田さん:「これからさらに高得点を取るためには、どういったところを磨き上げますか?」

坂本選手:「ジャンプの直前。振り付けをギリギリまでやってジャンプを跳ぶというのが、フリーにはたくさん組み込まれてて。それを今年はめちゃくちゃやっています」

例えば、あるシーンでは、ジャンプの直前、曲に合わせて、手をあげてステップ。別のジャンプの前でも、手をあげてステップ。実は、これらがさらなる加点につながります。

一見、簡単そうに見えるこの動き。なぜ、これまでは取り入れてこなかったのでしょうか?

坂本選手:「簡単なことでも転んでしまうリスクがある」

内田さん:「『跳ぶぞ跳ぶぞ』の準備が大事なんですね。ちょっとの変化でも難しいんですか?」

坂本選手:「難しいですね。助走のカーブが変わるとジャンプに影響するので、ジャンプの軸もぶれやすくなる」

内田さん:「ハイリスク?」

坂本選手:「ちょいリスク」

■オフシーズンの間、試行錯誤を重ねた坂本選手

ジャンプの成功を左右する「助走」。

ここでわずかな動きを入れるだけでも、ジャンプ失敗のリスクが上がるのです。

このリスクについて、世界選手権銀メダリストの町田樹さんは、こう話しました。

町田さん:「疲れた状態でステップなどを入れると、身体のバランスを崩す可能性がある。そうなってくるとジャンプの成否に関わる。坂本選手は『より工夫をする』という、差別化を図ろうと努力していると思います」

さらなる成長のため、オフシーズンの間、試行錯誤を重ねました。

坂本選手:「自分のできる限界までいかないと高得点を取るのは難しい。『このタイミングならいける』『この角度ならいける』かもって、ちょっとずつクリアしていけているのかなって思っています」

■できないことをできるように…「やりがいと楽しさ」

迎える新たなシーズンは、自身の伸びしろと向き合うシーズンです。

内田さん:「何でそこまでして(ジャンプの前に動きを)取り入れようとするんですか?」

坂本選手:「点数がもらえるからっていうのもあるし、自分がそっちの方がやりがいがあって楽しいのはあります。あえてできないことをできるようにして、点数も伸びていけばシーズンを通してずっと楽しい」

内田さん:「僕はそれを見て、感じれば良いですね」

坂本選手:「お願いします!」

内田さん:「一生懸命応援させていただきます」

(「報道ステーション」2023年10月24日放送分より)

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