今年プロ18年目を迎えるFC東京・長友佑都選手(38)は、今もサッカー日本代表に選ばれ続けるまさに“鉄人”です。同じサイドバックで共に世界で戦った内田篤人さん(36)と初対談を行いました。
■なぜ戦える?38歳・鉄人の熱量
長友佑都選手
「篤人とのインタビューは特別というか、ちゃんとやりたいと思ってた。俺はプライドを持ってる。“左の長友”“右の内田”で戦ってきたというプライドを持っているし」
内田篤人さん
「もちろん」
長友佑都選手
「右と左で比べられたりしたけど。色んなことを経験して、確固たるものを作ってきた」
共に2008年に代表デビューし、左右のサイドバックとして活躍。ヨーロッパチャンピオンズリーグでは史上初の日本人対決を実現させ、ベスト8の大舞台でしのぎを削りました。
日本人サイドバックの一時代を築いた2人。その一方で2014年。当時“史上最強”と言われたザックジャパンが臨んだ、ブラジルワールドカップ。長友と内田は全試合にフル出場するも、1勝もできずにグループステージ敗退に終わりました。
長友佑都選手
「ブラジルワールドカップの苦しみ、ああいう時の方が印象強い。なんか根深く残っている。ブラジルワールドカップ結構、心折れたよ。篤人はあのメンバーのなかで、お世辞じゃなくて一番いいプレーしてたよ。淡々と」
内田篤人さん
「ありがとうございます」
長友佑都選手
「俺はその時に、これが本当の強いというか、どこでも同じようにプレーできる。篤人はそういうプレイヤー。練習試合だろうが、ワールドカップだろうが変わらない。『同じサッカーでしょ』みたいな。これが強さなんだと思ってさ。マジで篤人のこと尊敬した、あの時」
内田篤人さん
「ありがとうございます。しっかり使いましょう、ここは(笑)。同世代もいなくなってきたじゃないですか。岡ちゃん(岡崎慎司)も引退して、本田さん(本田圭佑)も自由に生きてます」
長友佑都選手
「めちゃくちゃ自由に生きてるもんな」
内田篤人さん
「同学年3人は連絡取るんですか」
長友佑都選手
「取る取る。圭祐はモーニングで会ったりする。時間お互いないから、朝の8時から1時間だけ会おうみたいな。朝から『世界をどう変えていくんだ』みたいな(笑)。もう目ギラギラさせてさ、2人とも」
内田篤人さん
「おもしろいですね」
長友佑都選手
「そういう関係で岡とも圭祐とも、お互い刺激し合えるのはうれしい」
内田篤人さん
「懐かしいですね」
それぞれが新たな道へと進むなか、長友選手は今月15日のJリーグ開幕戦でフル出場し、勝利に貢献。日本サッカーの第一線を走り続けています。
内田篤人さん
「長友さん、プロ18年目」
長友佑都選手
「そんな経ったんやな」
内田篤人さん
「サッカーの流行りというか、戦術的なことも変わってくるし、監督も変われば、使われるメンバーも変わるなかで、ずっと居続けるのは流石」
長友佑都選手
「サッカーは変わってる。サイドバックに求められることも変わってる。ただ結局“長友とはなんや”って話やんか。ガチャガチャ行って、年取ってもガンガンプレーしての長友だと思うのよ。そこは見失いたくない」
内田篤人さん
「長友さんの良さとか、長友さんを見に来ているファンが『ちょっと違うな』となるのは確かに違いますよね」
長友佑都選手
「だから俺、尖りたいなと思ってて。なんかベテランになるとチームのことがどうとか、丸くなってチーム全体のことを考えないといけない風潮がある。何言ってるんだと。尖ってなんぼだろと。ベテランだから尖るんだと。尖って尖り続けた先に、それを後輩たちが見て『あの人すごいな』『ここまでストイックにやるんだ』『ここまで強い気持ち、情熱を持ってやれるんだ』みたいなところが、後輩たちの心に響くと思って」
内田篤人さん
「俺が若い時に長友さんに会いたかった。幸せだよ、FC東京の若い選手は」
長友佑都選手
「そうなんかな。尖ろうよ、篤人。尖らな。だから今年、尖りまくると思う。若い時の長友を見ている感じになって、たぶん篤人、解説しながら引いてると思うよ」
内田篤人さん
「はははは(笑)10代の選手いますねって」
長友佑都選手
「『あいつ何歳だ。長友だよな?』って。それくらい行きたい」
■“最強”森保ジャパンを支える“最年長”
ここまでアジア最終予選6試合で22ゴール。5勝1分けでグループ首位を独走している森保ジャパン。8大会連続のワールドカップ出場が目前に迫っています。
内田篤人さん
「あと1勝ですよ、ワールドカップ出場まで」
長友佑都選手
「次、勝てば決まりでしょ?3試合消化試合って最終予選だよ」
内田篤人さん
「なかなかないですよね」
長友佑都選手
「意味分からないレベルだよ。俺は4大会、全部苦しかった。最終予選」
内田篤人さん
「ピンチとかありましたよね?俺らの時」
長友佑都選手
「めちゃくちゃあったじゃん。簡単な試合なんてなかった。でも、正直負ける気しない。今の代表」
長友佑都にとって5回目の最終予選。しかし出場はおろかベンチ入りすらできていません。この状況をどう思っているのでしょうか。
長友佑都選手
「正直ね、なんの焦りも心配もしてない。周りの人の方が心配した声とか、メディアで『長友どうなの』とか」
内田篤人さん
「悔しいとか焦りとか」
長友佑都選手
「と思うじゃん。分かんないけど、自分の中でもう5回目のワールドカップ行ってる」
内田篤人さん
「もう行ってる!?次のワールドカップ行った?」
長友佑都選手
「行って活躍しまくってる。こんなのテレビで言ったら『長友何言ってるんだ』って」
内田篤人さん
「いや、それが長友なんです」
すでに来年のワールドカップ出場がイメージできている長友。そこには明確な理由がありました。
長友佑都選手
「今、アジア最終予選で3バックやってる。守備の選手を置く必要ないと冷静に思ってる」
内田篤人さん
「そこは冷静なんですね」
長友佑都選手
「めちゃくちゃ冷静。薫(三笘薫)とか堂安(堂安律)もそうだし、純也(伊東純也)とか、そこはそうでしょと。ボール持てて優位に自分たちが戦えるから、攻撃的に行ってバンバン点取ってこいと」
内田篤人さん
「ボールを保持できちゃう、アジア相手だと。攻撃する時間が十分あって、イケイケの日本代表を見せられる」
アジア最終予選での日本は3バック。格下相手に攻める時間が長くなるため、三笘選手や堂安選手など攻撃的な選手が起用されてきました。一方、ワールドカップで予想されるのが4バック。この場合、格上相手に守る時間が長くなるため、守備的な選手の起用が増えると考えられます。
長友佑都選手
「ウイングにめちゃめちゃ足が速いエムバペ(フランス)とか、ヴィニシウス(ブラジル)とか来る可能性もあるわけ」
内田篤人さん
「相手にボールを持たれたら必要になるのは?」
長友佑都選手
「守備力大事じゃん」
内田篤人さん
「対人強くて、経験あってっていうことですよね」
長友佑都選手
「その時に“長友だ”と。“対人、1対1だったら長友だ”と思わせるコンディションを作っておけばいいだけだと思ってる。勝負はワールドカップだから。それを持っていける自信がある」
■5回目のW杯へ「俺を見とけ」
そんな長友選手ならではのエピソードがあります。
長友佑都選手
「絶対求められる時が来るから。森保さんにも自分で言っている。(森保監督は)ベンチ外の選手一人ひとりに前日の夜、声掛けに行くんだよ。『申し訳ない』って。だから毎回、俺のところ来る」
内田篤人さん
「長友さんは何て返すんですか?」
長友佑都選手
「『自分は絶対に使わせたいと思わせます』と。思わせてないということは、まだ実力不足だし、それは自分も分かってる。今使えないということは。というのを、はっきり森保さんに言う」
その姿勢は、代表のチームメイトにも大きな影響を与えています。
長友佑都選手
「自分はワールドカップのピッチに立つと分かってるから冷静だし、後輩たちのことを純粋に応援もできる。出られない選手とかはやっぱり落ち込んでるし、彼らも必死じゃん、メンバーに残るため。『大丈夫だ。俺を見とけ』と」
内田篤人さん
「すごいね」
長友佑都選手
「『俺の練習をまず見とけ』と。口だけで言っても響かない。だからバチバチのモチベーションで対人もやるし、声出してやる」
内田篤人さん
「スタメンで出ている選手は、チームのレベルを上に引っ張っていくじゃない。長友さんは、下からチーム全体を押し上げているイメージかもしれない。今聞いて、日本代表がなんで強いのか、長友さんがなんでこれだけ呼ばれ続けるのか、ちょっと分かった気がします。すごいインタビューになってきた。教科書に載せたいインタビューですよ」
来年6月。39歳で迎える5度目のワールドカップ。出場すればメッシ(アルゼンチン)やクリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)といったレジェンドに並びます。
内田篤人さん
「5回目だもんな。ワールドカップ」
長友佑都選手
「5回目は行くんだよ。まじで。ファンと写真撮る時“5”ってやろうと思ってる。5回行きますよって」
内田篤人さん
「背番号の5じゃん」
長友佑都選手
「背番号の5って言われるけど、それもありますけどって」
内田篤人さん
「良い番号ですね。そしたら色々…」
長友佑都選手
「そしたら、5人目の子どもできたりして。トリプル5じゃん」
内田篤人さん
「なんで長友さんそんなにおもしろいの(笑)」
※この映像にはナレーションはありません。ご了承ください。
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