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2025年9月13日 16:47

80歳以上のサッカー国際大会決定 強豪と対戦へ 日本の注目FWは“80歳の元銀行マン”

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 80歳以上限定のシニアサッカーリーグがなんと世界の強豪たちと戦うことになった。その奮闘を追った。

■初の国際大会が日本で開催

 グラウンドを全力疾走!サッカーに熱中するシニアたち!若者顔負けのプレーを見せているが、なんと全員が80歳オーバー。

 80歳以上の選手限定のサッカーリーグ「SFL80」でプレーする選手たちだ。

 この日は、チームの垣根を越え、トップ選手たちが集まり、練習試合を行っていた。というのも…。

85歳
「ワールドカップの80(歳以上)というのは今度が初めてでしょ」

 来月1日から、80歳以上の選手による、サッカーの国際大会が初めて日本で開催されるのだ。

 藤色の日本代表のユニホームに袖を通す“サムライパープル”。練習試合も「絶対に負けられない」と熱が入る。

 サッカーコートを全力で駆け抜け、仲間同士、激を飛ばす。そして、80歳オーバーとは思えないスーパープレーも飛び出した。

 正確なダイレクトパスでボールをつなぎチャンスメイク。惜しくもゴールにはならなかったが、その2分後、日本代表の司令塔、85歳の野村さんから80歳の伊藤さんへパス!そして鋭いスルーパスに、80歳の砂川さんが追いつき、シュート!見事な連係プレーでゴールを決めた。

 手元の温度計で35℃を越えたこの日、こまめに休憩をとりながらも、戦術の確認に余念がない。

 大柄な外国人選手に対抗するため、細かなパス回しを重点的に練習した。

 日本代表が目指すのは、もちろん世界一だ。

砂川さん
「まず、優勝するっていうことで」

牧村英樹さん(81)
「ぶつかった時の体幹が向こうのほうが強いでしょうから、テクニックとかスピードでどうかわしていくかですね。勝つんじゃないか」

■注目のライバル選手は“スーパーマン”?

 来月、開催される80歳以上のシニアサッカーの世界大会。どんな大会なのだろうか?

 ワールドサッカーフェスタ2025東京は、70歳以上、75歳以上、80歳以上、というカテゴリーで行われるが、80歳以上のカテゴリーは今回初めての開催となり、来月1日からの3日間で、日本代表やアメリカ代表など4チームが総当たり戦を行う。上位2チームが最終日の決勝戦で戦うことになる。

 試合は激しい戦いとなりそうだ。というのも、シニアサッカーリーグは通常、12分ハーフの前半と後半で、試合時間は合計24分だが、世界大会では、なんと30分ハーフで、通常の2.5倍の60分となる。

 さらに、オリンピックの男子サッカーでは23歳以上の選手=オーバーエイジがいるが、今大会では逆のアンダーエイジという、79歳と78歳の選手が1チーム4人まで登録可能となり、試合には同時に2人が出場できるという。

 そして、優勝を目指す日本代表の前に立ちはだかる注目のライバル選手だが、アメリカ代表の攻撃を担う、通称「スーパーマン」。キム・バーゲンサー選手(80)は身長175センチ、体重は70キロほどだが、とにかく体力があり、よく走りボールに絡むという。

 そして、これまで世界中のシニアサッカー大会に出場し経験豊富。アメリカ代表を引っ張る存在だという。

 さらに、今回の世界大会で、80代のカテゴリーを「やりたい」と言った発起人で、運動能力だけでなく、発信、実行力も備えたまさに“スーパーマン”という。

 大会は、世田谷区の駒沢オリンピック公園・第一球技場で行われる。優勝を目指す日本代表。そのキーパーソンとなる選手の一日に密着した。

■日本の注目FWは…80歳の元銀行マン

 練習試合で、絶妙なスルーパスで得点をアシストするなどピッチを縦横無尽に駆け抜け活躍していた80代のサッカー日本代表・伊藤優さん(80)。その一日は、早朝6時から始まる。

「(Q.今からどちらへ?)ラジオ体操へ行きます」

 会場の公園までは徒歩で片道15分。近所の仲間たちと行うラジオ体操は、定年後、ほぼ毎日続けているという。

 ラジオ体操を終えると…。

「気分が爽快になりました。1日が始まる」

 帰りの道中では50メートルはあろうかという階段。これをちょっぴりスピードを上げ、登り切った。

「(Q.苦ではない?)そうですね、苦ではないですね。軽い体の動かし。目を覚ます感じですね」

 普通に散歩するだけではなく、あえて階段があるコースを通る。これが伊藤さん流だ。

 そして午前8時、ラジオ体操から帰ってくると、今度は朝食の支度。

 現在、伊藤さんは、妻の和子さん(78)と2人暮らし。5年ほど前に大病を患って以来、思うように体が動かなくなった妻に代わり、朝食は伊藤さんが作るのが日課となっている。

 メニューはサラダに、ハムエッグ。これをパンと一緒に食べるのが定番だという。

「最近は、たんぱく質をとらないとダメだと言われて、極力(肉や卵を)食べる。年の割にはよく食べるって言われる」

 食事を終えると、サッカーリーグのメンバーからのメールをチェック。元々、銀行員だったという伊藤さん。パソコンの扱いは、お手の物だ。

 45分後、パソコンを閉じ小休止かと思いきや…今度はサッカーボールを片手に外出。向かったのは、徒歩10分ほどの場所にある公園だ。すると、ドリブル練習がスタート。50メートル9秒台で走る伊藤さんに、スタッフも驚きを隠せない。なかなか、ドリブルスピードについていけない。

 ドリブル練習以外にもトラップやパスの練習を30分にわたり行った伊藤さん。そして、トレーニングは、これだけにとどまらない。

 午後2時、今度は同じ公園内にある、スポーツジムへと向かった。大きめのダンベルを手にとった伊藤さん。

「(Q.何キロですか?)5キロ・5キロで10キロですね」

 このダンベルを2通りの上げ方で、それぞれ10回を2セット。これに加え…ほぼ休みなく、10台のマシンでトレーニングを行った伊藤さん。この日一日、己の体をとことんいじめ抜いた。

 とはいえ、まだまだ課題もあるそうで…。

「筋肉つけるならもっとゆっくりやるほうがいいんですねこ。じっくりゆっくりやると筋肉が余計につく」

 向上心に衰えはない。そして午後6時、夕食の時間。体を動かし続けた伊藤さんを労り、この日、妻の和子さんはビーフシチューを作った。

 生涯スポーツとして、サッカーを続ける夫に、妻・和子さんは「楽しいことやってることはいいこと。健康に気を付けて無理しないでやってください」と話す。

「これで私が健康でなかったら妻をサポートできない。ありがたい」

■伊藤さんの若さの秘訣

 今回、密着させていただいた80歳の伊藤さんに若さの秘訣を聞いた。

 まず1つ目は、「適度な休憩」だそうだ。体をいじめる時はいじめて、休む時は休む。メリハリをつけることで効率的に筋肉をつけることを心掛けているそうだ。

 そして2つ目は、「新たな出会いに照れない」だ。伊藤さんの日課は公園でのラジオ体操。公園に居合わせた人と積極的にコミュニケーションを取り、声を出すことで、ポジティブになり、若返る気がするそうだ。

(「ワイド!スクランブル サタデー」2025年9月13日放送分より)

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