波に乗る世界王者の極意 なぜ風が読める? セーリング岡田奎樹・吉岡美帆ペア

[2024/01/23 20:33]

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半年後に開催されるパリオリンピック。全長4.7メートルの船を操るセーリング、470級の岡田奎樹選手と吉岡美帆選手は、去年の世界選手権で金メダルを獲得したペアです。2人には、それぞれ強みがあります。

■岡田選手「風のタイミング」を見事に予測

「クルー」と呼ばれるポジションの吉岡選手。身長は女子選手としては大きい、177センチ。体全体を使って、傾く船のバランスをとります。

そして、もう一人が、船の後方で舵をきる「スキッパー」の岡田選手。エンジンを積んでないからこそ、風と波が重要になるこの競技。岡田選手は「風を読む」スペシャリストです。そのすごさを実際に見せてもらいました。

松岡修造さん
「どうやって(風を)見ているんですか?」
岡田選手
「あと1分くらいしたら、船に風がたどり着くので、もう少し待ちますか」

1分後、この船に風がたどり着く?風速計で測ってみました。

松岡さん
「これ今2.5メートルとかですね」
岡田選手
「はい」
松岡さん
「じゃあ、あの来る時、来るよって言ってください」

そして、約1分後…。

岡田選手
「もうちょっとで入りまーす」
松岡さん
「来る?」
岡田選手
「はい。これが一番強いところです。一番強くなりました」
松岡さん
「はい、はい、今7メートル超えました」
岡田選手
「7.2メートルくらいですね。こんな感じで風が強いところ探していって」

風が強くなるタイミングをばっちり当ててみせました。これには見方があるといいます。

岡田選手
「風がないところは波がないので。鏡のようになる。光を反射するんです。反射量が多いので、まぶしく感じる。風が強いところは、まぶしく感じない。だがら黒く見える」
岡田選手
「一般的にも風の強さに関しては、多くの人が読みやすく大差がない。遠くに行けば遠くに行くほど波の向きが見えづらくなってくる。色だけ見える状態。風の向きをどうやって読むのが、かなりレベルの差になる」
「大ボスが一番奥にあって、手前に子分たちがいる」

何が見えているのか、絵に書いてもらうと、大きな風から小さな風まで、複雑な向きを読み取っていたのです。

■結成後…苦労してきたこと「最初は読み切れなかった」

世界トップクラスの技術を磨いてきた岡田選手と吉岡選手。2人がペアを組み始めたのは、3年前の東京オリンピックが終わってからです。

結成後、苦労してきたことがありました。

松岡さん
「船上は風もあるし、動いてるし、ほとんど声なんて聞こえなくなってくる。どうやってコミュニケーションを取っていますか?」
吉岡選手
「擬音語が多いですね」
松岡さん
「擬音語?」
吉岡選手
「グッととか、そ〜っととか」

確かに、岡田選手の表現は独特。常に状況が変わり続ける海の上では、より短い言葉で伝える必要があるのです。

吉岡選手
「ペアによって言葉の使い方が違うので、その言葉は何を意味してるのか、最初理解するのが難しかったです」
松岡さん
「『グ〜っとやって』と言われたら?」
吉岡選手
「長く力強く起こす」
松岡さん
「『そーっと』は?」
吉岡選手
「そんなに力を入れずに、ゆっくり起こす」
松岡さん
「『ゆっくり動いて』って言ったらいいんじゃないですか?」
岡田選手
「『ゆっくり』と違って、『そーっと』は船を揺らさないようにするために『そーっとして』って意味合いが強いので」
松岡さん
「そこまで読み切れていました?」
吉岡選手
「最初は読み切れなかったです」
松岡さん
「ですよね!」

■吉岡選手…岡田選手は「私に気づきをくれた人」

一方で、岡田選手もコミュニケーションの難しさを感じていました。

岡田選手
「(吉岡選手は)そんなに口数が多いタイプの人ではない。海の上だと、ちょっと足りない」
吉岡選手
「心ではしゃべっているんですけど、口に出していない…」
松岡さん
「出してください!」

吉岡選手は、寡黙にコツコツとやる性格。積極的に自分の意見を口にすることが少なかったのです。しかし、それを乗り越えられたのは、お互いの良さを認め合えたからでした。

岡田選手
「ペア間の絆の強さは作ることができないだろうなという予想で始まっていた。僕がこうしたいああしたいって、全部一緒にやってくれる」
「バラバラに見えて、全然バラバラじゃない」
松岡さん
「性格は違うけど、船に乗った時には1つになっている」
吉岡選手
「年齢は下なんですけど、ヨット歴も長いですし、私の知らないこともたくさん知ってて。私に気づきをくれた人です」
「ガツガツ行かなきゃいけないとか。気持ちの面でもプッシュしてくれる存在」

(「報道ステーション」2024年1月22日放送分より)

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