ドジャースと去年、ワールドシリーズで戦ったのがニューヨーク・ヤンキースです。結果は1勝4敗と惨敗。それでも今シーズン16年ぶりの世界一奪還へ。「打倒ドジャースへ」ヤンキースが掲げる戦略を独自取材しました。
■「スカウトを日本に常駐」日本人選手の獲得目指す
長年にわたり数々のスーパースターを輩出してきた名門ヤンキース。
ゲリット・コール投手(34)
「120年を超える歴史があり、名選手を多く輩出してきたヤンキースの一員であることは誇り」
ロン・ギドリー氏(74)
「ヤンキースの目標は常に優勝。ヤンキースは優勝が絶対だから」
ワールドシリーズの優勝27回はメジャーで断トツです。しかし15年間ワールドシリーズ優勝はなく、「世界一奪還」が命題となっています。その課題の一つが日本人選手の獲得です。
かつてヤンキースといえば、松井秀喜さんをはじめ、イチローさん、黒田博樹さん、田中将大投手など、日本のスターたちが在籍してきました。
近年日本人や日本マーケットの需要がメジャーリーグで急上昇するなか、ヤンキースは獲得を狙った山本由伸投手、佐々木朗希投手はドジャースへ。2015年以降日本人の獲得はありません。
「最近はドジャースが日本人獲得に成功しているが、かつてはヤンキースも負けていなかった。今後は、より一層素晴らしい日本人選手がメジャーに挑戦すると思うので獲得したい」
マット・デイリー氏(42)
「ヤンキースではスカウトを日本に常駐させている。今後数年以内にドジャースのようにできれば、3人の日本人選手を獲得し、日本野球との関係性を継続していきたい」
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■莫大な資金を投じ…キャンプ施設を大改修■莫大な資金を投じ…キャンプ施設を大改修
実はヤンキースの重要なポジションに一人の日本人がいます。南壮一郎さん(48)は、2年前からヤンキースで日本人初の共同オーナーを務めています。
「今ヤンキースに日本人選手はいませんが、球団としてはいつでもウェルカムですし、日本に対するリスペクトが球団には深く刻み込まれています」
南オーナーは今年、キャンプに元ヤクルト選手・監督の古田敦也さん(59)を招待。日本への理解を深めるため、意見交換の場を設けました。
そして、日本人に限らず優秀な選手獲得を狙うヤンキース。「選手に選ばれる球団」への改革を進めています。
その象徴がキャンプ施設の大改修。メジャーリーガーが使用するのはわずか2カ月ほどですが、ここに莫大な資金を投じました。普段メディアが撮影できない、改修した施設内を特別に案内してくれました。
「これがヤンキースのクラブハウスです。MLBでNo.1のクラブハウスと自負しているし、選手からもそう言われている」
なんと80人の選手が同時に使える広さがあります。チームリーダー・ジャッジ選手のロッカーを筆頭に、しっかり整理整頓されています。
続いては…。
「最新の食堂。キッチンで毎日特別なメニューも作れるし、選手が必要とする専用のメニューも作れます。本当に選手に評判が良い」
その他にもコンディショニングルームには、病院並みの治療機器や設備が並び、トレーニングルームには最新機器がそろっています。ちなみに散髪ルームもあるんです。
マット・フェリー氏
「キャンプの2カ月間、ニューヨークから理容師を呼んでいます」
これは「紳士たれ」がモットーのヤンキースならではです。
■日本人が活躍する未来 「ドジャースだけでなくヤンキースを」
身だしなみといえば今年、50年近く続いた伝統を撤廃しました。「ヒゲ」についてです。今まで「口ヒゲ」のみ許されていましたが、先月「あごヒゲ」も解禁したことを発表。これも選手獲得の障壁を減らすためでした。
「ヒゲについては過去数年、オーナーやフロント組織全体で議論を重ねてきた。今後、選手を獲得していくうえでも良かった」
早速今シーズンに2人のMVP経験者が入団に至りました。ヤンキース世界一奪還へ。南オーナーは日本人が活躍する未来を描いています。
「日本の選手にこれから選んでもらえるように、いつ来ても活躍できるように。ドジャースだけでなくヤンキースを応援していただきたいと思っています」
(「報道ステーション」2025年3月27日放送分より)