日本時間5月18日、ドジャースタジアムで行われたエンゼルス戦に“レジェンド左腕”クレイトン・カーショー投手(37歳)が260日ぶりにメジャーのマウンドに立った。
通算212勝、サイ・ヤング賞を3度など将来のアメリカ野球殿堂入りを確実視されているが、昨シーズンは故障を繰り返し、オフには左足親指と左膝半月板の手術をしていた。
初回、カーショー投手がマウンドに向かうとスタンドのファンから大歓声が送られた。
注目の先頭打者をスライダーで空振り三振を奪い、大歓声に応えた。
しかし、ボールが抜けるシーンが多くヒットと2つの四球で1アウト満塁のピンチを迎える。
エンゼルスの5番・オハピー選手に2点タイムリーヒットを浴び、先制点を許した。
さらにタイムリー2ベースヒットを打たれ、いきなり3点を失った。
それでも、ドジャースは直後の1回裏に1アウト一二塁からパヘス選手のスリーランホームランで3対3の同点に追いつく。
2回は三者凡退に抑えたが、3回に先頭打者のウォード選手にカーショー投手の代名詞であるカーブをレフトスタンドに運ばれ、勝ち越し弾を許した。さらに4回にも犠牲フライで5点目を失った。
260日ぶりのメジャーのマウンドは、4回5安打3四球2奪三振5失点で降板となった。
試合は乱打戦になり、エンゼルスに打ち負け9対11でドジャースが敗れた。
カーショー投手の通算213勝目、18年連続の勝利投手は次回登板以降にお預けとなった。
また、カーショー投手は2015年にシーズン301奪三振を記録したことがあり、メジャー通算3000奪三振もあと30に迫っている。
これまでのカーショー投手が築いてきたキャリアを振り返る。
■「キャリアのすべてをドジャースで過ごすことは、間違いなく私の目標だ」
カーショー投手は2006年にMLBドラフト1巡目(全体7位)でドジャースから指名され入団し、以降ドジャース一筋でプレーしている。
今年2月にドジャースと再契約を結んだ際には、「スポーツ界全体を見渡しても、1つのチームでキャリアを全うできる選手は多くない。それは特別なことだ。キャリアのすべてをドジャースで過ごすことは、間違いなく私の目標だ」とコメントを残し、生涯ドジャースを宣言した。
2008年にメジャーデビューを果たすと22試合に登板し5勝5敗、防御率4.26、100奪三振を記録した。
2010年に初のシーズン二桁勝利を記録すると2017年まで8年連続の二桁勝利を記録。
特に2014年は27試合に登板し、21勝3敗、防御率1.77、239奪三振など圧倒的な成績を残し、最多勝、最優秀防御率、そして最多奪三振に輝き、ノーヒットノーランも達成した。
また、その年に最も優れた投手に贈られるサイ・ヤング賞とシーズンMVPも受賞。
現在は大谷翔平選手(30歳)や山本由伸投手(26歳)、佐々木朗希投手(23歳)と共闘しているが、過去にも黒田博樹氏(50歳)、前田健太投手(37歳)やダルビッシュ有投手(38歳)と共にドジャースの投手陣を支えた。
また、ダルビッシュ投手がドジャースを離れてからはカーショー投手と3度投げ合っており、ダルビッシュ投手が2勝をあげて勝ち越している。
昨シーズンまでのメジャー17年間で通算212勝、2968奪三振、防御率2.50、最優秀防御率を5度、サイ・ヤング賞を3度、投手三冠、MVPなど輝かしい実績を誇り、将来のアメリカ野球殿堂入りを確実視されている。
■「カーショーズ・チャレンジ」妻・エレンさんと一緒に社会貢献活動
カーショー投手は社会貢献活動に熱心に取り組んでいる選手としても知られている。
カーショー投手と妻のエレンさんは、アフリカのザンビア共和国で孤児のホープさん(当時9歳)と出会った。
当時、ホープさんは病気と栄養失調に苦しみ路上生活をしていた。
その姿を目のあたりにして彼女を支援するため、カーショー夫妻は2011年に慈善財団「カーショーズ・チャレンジ」を設立した。
そして、ザンビア共和国に孤児院「ホープス・ホーム」の建設し、病気と闘う子どもたちのために、様々な環境を整え、孤児たちのケアをする人々、また安全な家を提供するために募金活動を行っている。?
また、2011年からカーショー投手は三振を奪うごとに100ドルを「カーショーズ・チャレンジ」に寄付している。
この活動が評価され、カーショー投手は2012年にMLBで社会貢献活動を積極的に行っている選手を表彰する「ロベルト・クレメンテ賞」を受賞した。
この賞は、1972年にニカラグアの地震被災者に物資を届けようとしていた際に飛行機事故で亡くなったロベルト・クレメンテ選手にちなんで名付けられている。
現在、ドジャースは投手陣に負傷者が続出し、今シーズンからドジャースに入団した佐々木投手も右肩痛のため、日本時間の今月14日に負傷者リスト入りした。
ザンビアの子どもたちのヒーローとなっているカーショー投手が、負傷者続出のチームを救うヒーローとなることを期待したい。