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カタールで行われていた卓球の世界選手権。男子ダブルス日本勢で64年ぶりに金メダルを獲得したのが、パリオリンピックでもペアを組んでいた戸上隼輔選手(23)と篠塚大登選手(21)です。歴史的快挙の裏には何があったのか?それは、2人が見せた「攻撃の変化」でした。
■世界で「勝つために攻撃を変える」
26日に帰国した戸上・篠塚の「トガシノペア」。快挙で終えた大会を振り返りました。
篠塚選手
「まさか金メダルが取れるとは思っていなかったので、本当に夢のようです」
「まさか金メダルが取れるとは思っていなかったので、本当に夢のようです」
戸上選手
「どんな苦しい状況になっても、お互い諦めず戦い抜けたということが、今回の大会を通して良かったことだと思います」
「どんな苦しい状況になっても、お互い諦めず戦い抜けたということが、今回の大会を通して良かったことだと思います」
今回のトガシノペア歴史的快挙の要因について、ロンドンオリンピック銀メダリストの平野早矢香さんはこう話します。
「世界で金メダルを取るために、攻撃を変えなければいけない。2人はそれを徹底的に挑戦できている。試合中でも『勝つために攻撃を変える』ことを意識してトライしていた」
「試合中に攻撃を変える」。それが最も表れていたのが25日の決勝。相手は台湾ペア。中国勢を2組破って勝ち上がってきた強豪です。
強打が持ち味のトガシノペア。第1ゲームから果敢に強打を打ち込んでいきます。しかし、対する台湾ペアも強打が持ち味。強打の押収は台湾ペアが制し、トノガシペアは第1ゲームを落とします。
それでも続く第2ゲーム、最後は篠塚選手のバックハンドでポイント。ここから攻撃の変化を見せます。
「ネット際の短いボールで先手を取った。ここがすごく大きかったと思います」
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■強打だけでなく「短いボール」も■強打だけでなく「短いボール」も
平野さんの言う「短いボール」とは、例えば相手のサーブに対し、バウンド直後を強打でなく、「短いボール」でボトリと落とす。一体、このボールのどこが脅威なのでしょうか?
「相手は強く打ちたくても打てない。短いボールを強く打つことは難しい」
まず、相手は強打をしようと構えていたところを短いボールが返ってくることで、甘いレシーブに。そこをすかさず、仕留めます。
得意な強打だけでなく、「短いボール」をあえて織り交ぜる。試合中に攻撃を変えることでチャンスを生み出していたのです。
「攻撃的なボールを打つだけではなく、しっかりと相手の位置を見たり、駆け引きの中でどういう攻めをしたらいいかというところが大きく変わった。短いボールを制した。この形で金メダルを取れることを示してくれたので、2人にとってもすごく自信になったと思いますし、日本チームにとっても大きな金メダルだったと思います」
(「報道ステーション」2025年5月26日放送分より)