中東情勢が緊迫するなか、独学で日本の相撲界入りを目指す27歳のイスラエル人男性がいます。相撲にかける熱い思いがありました。
■力士を目指すイスラエル人
「僕は相撲取りになるために日本に来て、大相撲を目指しているんです」
イスラエル人のヤルデン・ヤトコブスキさん(27)。3年前に来日し、公園やジムなどで1日およそ6時間、四股や鉄砲などの相撲の基礎練習や筋力トレーニングに励んでいる。
「他の競技にはない魅力が相撲にはある」と語るヤトコブスキさん。だが、彼は相撲部屋に入門できない。一体なぜ?
■部屋に入門できない事情とは
3年前に来日し、力士を目指して日々トレーニングに励むヤトコブスキさん。6時間のトレーニングの後は毎日楽しみにしている食事の時間だ。
この日は、久しぶりの焼肉。カルビとタン塩を注文。もちろんライスは大盛りだ。
ヤトコブスキさんが力士に憧れたのは4歳の時。テレビで大相撲を見たのがきっかけだったという。
ただ、イスラエルには相撲道場がなかった。代わりに柔術と柔道を始め、いつの日か日本へ行くことも考え、日本語や日本の文化を学んだ。
そして、18歳からの3年間はイスラエルで義務となっている兵役に就き、退役後に日本へと渡ろうと考えていた。しかし、新型コロナで日本に渡航ができなくなった。
ただ、少しでも相撲のために前へ進もうと、コロナ禍でも渡ることができたモンゴルでモンゴル相撲を学んだ。
そして、2022年10月、24歳の時にようやく来日。身長171センチ、体重は140キロのヤトコブスキさんは、相撲部屋に稽古に行く機会もあったという。
しかし、相撲部屋に入門するための新弟子検査の受験資格は満23歳未満という年齢制限があり、スタートラインに立つことができなかった。
現在27歳。イスラエルで蓄えていた貯金はすでに底をつき、親からの仕送りで切りつめながら生活している。
そんなヤトコブスキさんの夢を応援するのは、実際に力士の体のケアをしている足立スポーツリハビリ専門往診センターの村松瞭さん(31)だ。
「年齢制限があって入れないというのは、かわいそうだというのが正直な気持ちだったんですけど。そういうのも頑張って努力して、角界に入る人がいたら希望になるなというのは率直に思いました」
師匠がいないため、動画サイトなどで四股をはじめとした「相撲の稽古」を学び、これまで練習に励んできた。
年齢制限を超えている今、なぜ、チャレンジを続けるのか?
「この夢は本当に大切だからです。軍隊やコロナで時間を失いましたが、あきらめたくありません。自分に負けないように、毎回しっかり集中して(トレーニングを)やっています」
■続く戦闘 家族や祖国への想い
ヤトコブスキさんの家族は、最大都市テルアビブから近い地域に暮らしているといいます。家族、そして戦争への想いを聞きました。
ヤトコブスキさんは「相撲から『礼に始まり、礼に終わる』土俵の上で『技と人間性を学んだ』。その相手を尊重する心を世界の人たちに伝えていきたい」と話しています。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年6月19日放送分より)