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2025年6月19日 14:28

独学で力士目指すイスラエル人(27) 部屋入門できない事情 相撲と祖国への想いは

2025年6月19日 14:28

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 中東情勢が緊迫するなか、独学で日本の相撲界入りを目指す27歳のイスラエル人男性がいます。相撲にかける熱い思いがありました。

■力士を目指すイスラエル人

ヤルデン・ヤトコブスキさん
「僕は相撲取りになるために日本に来て、大相撲を目指しているんです」

 イスラエル人のヤルデン・ヤトコブスキさん(27)。3年前に来日し、公園やジムなどで1日およそ6時間、四股や鉄砲などの相撲の基礎練習や筋力トレーニングに励んでいる。

「相撲はただのスポーツじゃなくて、生き方だと思います。強さや礼儀、我慢、すべてがそこにあります」

 「他の競技にはない魅力が相撲にはある」と語るヤトコブスキさん。だが、彼は相撲部屋に入門できない。一体なぜ?

■部屋に入門できない事情とは

 3年前に来日し、力士を目指して日々トレーニングに励むヤトコブスキさん。6時間のトレーニングの後は毎日楽しみにしている食事の時間だ。

 この日は、久しぶりの焼肉。カルビとタン塩を注文。もちろんライスは大盛りだ。

「(日本は)肉のレベルが高くておいしいと思います」
力士に憧れたのは4歳の時
力士に憧れたのは4歳の時

 ヤトコブスキさんが力士に憧れたのは4歳の時。テレビで大相撲を見たのがきっかけだったという。

「初めて相撲を見て一目ぼれでした。それを見て、すぐお相撲さんになりたいと思いました」

 ただ、イスラエルには相撲道場がなかった。代わりに柔術と柔道を始め、いつの日か日本へ行くことも考え、日本語や日本の文化を学んだ。

3年間はイスラエルで義務となっている兵役に
3年間はイスラエルで義務となっている兵役に

 そして、18歳からの3年間はイスラエルで義務となっている兵役に就き、退役後に日本へと渡ろうと考えていた。しかし、新型コロナで日本に渡航ができなくなった。

「兵役が終わったらコロナが始まって、6年間日本に来ることができなくて、年齢制限の問題が生まれました」

 ただ、少しでも相撲のために前へ進もうと、コロナ禍でも渡ることができたモンゴルでモンゴル相撲を学んだ。

身長171センチ、体重140キロ
身長171センチ、体重140キロ

 そして、2022年10月、24歳の時にようやく来日。身長171センチ、体重は140キロのヤトコブスキさんは、相撲部屋に稽古に行く機会もあったという。

 しかし、相撲部屋に入門するための新弟子検査の受験資格は満23歳未満という年齢制限があり、スタートラインに立つことができなかった。

 現在27歳。イスラエルで蓄えていた貯金はすでに底をつき、親からの仕送りで切りつめながら生活している。

 そんなヤトコブスキさんの夢を応援するのは、実際に力士の体のケアをしている足立スポーツリハビリ専門往診センターの村松瞭さん(31)だ。

足立スポーツリハビリ専門往診センター 村松瞭さん
足立スポーツリハビリ専門往診センター 村松瞭さん
村松さん
「年齢制限があって入れないというのは、かわいそうだというのが正直な気持ちだったんですけど。そういうのも頑張って努力して、角界に入る人がいたら希望になるなというのは率直に思いました」

 師匠がいないため、動画サイトなどで四股をはじめとした「相撲の稽古」を学び、これまで練習に励んできた。

 年齢制限を超えている今、なぜ、チャレンジを続けるのか?

「あきらめたくありません」
「あきらめたくありません」
ヤトコブスキさん
「この夢は本当に大切だからです。軍隊やコロナで時間を失いましたが、あきらめたくありません。自分に負けないように、毎回しっかり集中して(トレーニングを)やっています」
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■続く戦闘 家族や祖国への想い

 ヤトコブスキさんの家族は、最大都市テルアビブから近い地域に暮らしているといいます。家族、そして戦争への想いを聞きました。

「残念ながら戦争に慣れている」
「残念ながら戦争に慣れている」
「最近は実家の近くにミサイルが落ちてきて、家族をすごく心配しています。今は危険な状況なので、みんなずっとシェルターにいます。祖父母の時代から、イスラエルができてからずっと戦争を行っていて、皆さんは残念ながら戦争に慣れている。兄は35歳なので、家族もできて子どももいるのに戦争に行くしかないですね。できるだけ早く戦争が終わって平和になってほしいです」
ヤトコブスキさんの想い
ヤトコブスキさんの想い

 ヤトコブスキさんは「相撲から『礼に始まり、礼に終わる』土俵の上で『技と人間性を学んだ』。その相手を尊重する心を世界の人たちに伝えていきたい」と話しています。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年6月19日放送分より)

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