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報道ステーション

2025年7月17日 07:23

遠藤航×内田篤人 プレミアリーグ優勝に貢献した「守備の極意」を徹底検証

2025年7月17日 07:23

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 クラブワールドカップを制したチェルシーを上回り、プレミアリーグで優勝したのがリバプールです。日本代表・遠藤航選手(32)が優勝に貢献しました。特に際立ったのが遠藤選手の守備です。今回、ピッチでその守備のすごさを分析してきました。

遠藤航の守備を検証

 昨シーズン、イングランドの名門リバプールで、クラブ20度目のプレミアリーグ制覇に貢献。遠藤選手の持ち味は守備。途中出場から試合を勝利でしめるクローザーとしてチームの信頼を勝ち取りました。

 なぜ、守れるのか?なぜ、相手からボールを奪えるのか?過去日本のトッププレーヤーの技術を解明してきた「ウチダスタジアム」で遠藤選手の守備を、15台のカメラを用意して紐解きます。

内田篤人さん
「きょうはプレーの解説をしてもらいながら、何を考えて守備、もしくはボールを奪いにいっているのか、細かく遠藤選手を丸裸にして教えてもらいたいと思います」

 今回も実際にあったプレーを再現し分析していきます。検証するのは昨シーズン、優勝を引き寄せたマンチェスターシティ戦。遠藤選手は2−0とリードする場面で、後半29分に途中出場。反撃を受ける後半41分、遠藤選手の動きに注目すると、中央から相手の左サイドへ流れて、ペナルティーエリアへの侵入を阻止。やむなく相手選手が中央にボールを戻したところで、遠藤選手がボールを奪いました。

 この場面で遠藤選手は一体、何を考えていたのでしょうか?

 まず検証するのは、プレミアリーグ屈指のドリブラー、ベルギー代表のドク選手(23)に対応する場面。

ベルギー代表のドク選手に対応する場面
ベルギー代表のドク選手に対応する場面
内田さん
「最初、ここの対戦相手の選手とサイドバックが対面しています。その時、遠藤選手そこにいるじゃないですか。でも、こっち来ますよね。ドリブルしてる間にヘルプに来るというよりか、ヘルプどころじゃないですね」
遠藤選手
「ボール奪いにいきますね、こういう時は」
内田さん
「これ、なぜですか?ここで1対1してるからいいじゃんって思う選手もいると思う」

 実は遠藤選手のポジションは左の守備的ミットフィルダー。ここから自分のポジションを離れてボールを奪いにいきます。この時、考えていたこととは?

自分のポジションを離れてボールを奪いに
自分のポジションを離れてボールを奪いに
遠藤選手
「勝っている状況で途中交代で入った時とか、あと、ドク選手はドリブルがすごい得意で、サイドバックが消耗してるみたいなのもあるじゃないですか。サイドバックを助けようと思った時に、自分がボールを奪いにいく判断がチームにとって一番いいと思っている。ここまで来たら、サイドバックがボールを奪いにいくと、縦行かれたら僕がカバーできない。僕が寄せて、仮にドク選手が縦へドリブルしたら、サイドバックが対応できる」
内田篤人さん
内田篤人さん
内田さん
「リバプールはマンツーマン気味なところはあると思うんですが」
※マンツーマンディフェンス:各選手が特定の人をマークする守備
遠藤航選手
遠藤航選手
遠藤選手
「マンツーマン全部やってもいけないと思っているので、そこはチーム戦術がある中で、最終的には僕が判断しなきゃいけないと思っている。それの積み重ねです、このシーンとかも」

 遠藤選手は自分のマークではなく、ドリブルを得意とするドク選手につくと判断。相手ドリブラーを2人で対応し、遠藤選手が奪いにいき、サイドバックはカバーへ。ドリブルでの侵入を許しませんでした。

「人を助けて自分のところは自分で全部処理する」

 続いては、クロアチア代表コバチッチ選手(31)からボールを奪った場面。ここで内田さんには気になることがあるといいます。

遠藤選手がわざわざ中央まで潰しにいくのはなぜ?
遠藤選手がわざわざ中央まで潰しにいくのはなぜ?
内田さん
「ここの味方が結構フワフワしてる。本来なら危ないなと思って、この選手がついていけばいいところを、ドク選手と1対1やってた遠藤選手がわざわざ中央まで潰しにいく。これはなんで?」

 通常であれば、この選手がマークに行くのがセオリーなのですが、遠藤選手は広い範囲を一人で守ります。

遠藤選手
「自分が守るために何ができるかしか考えてない。ドク選手にサイドバックと2対1で対応すると、どこかで数的不利な状況が起こっている。自分が行ったので、自分の空けたスペースは自分が戻らなきゃいけないという感じで、ここに帰ってるって感じですね」
「人を助けて自分のところは自分で全部処理する」
「人を助けて自分のところは自分で全部処理する」
内田さん
「『人を助けて、自分のところは自分で全部処理する』と」
遠藤選手
「意識としてはそんな感じです」
内田さん
「すごいね」
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遠藤選手の守備の極意とは?

 仲間の分まで守備をして、自分が空けたスペースは自分で埋める。さらに、このボール奪取の前にも重要なポイントがありました。コバチッチ選手がパスを出しスピードを上げた瞬間、遠藤選手もダッシュしているのが分かります。

内田さん
「どのタイミングでワンツー(パス交換)入りそうって思いますか?」
遠藤選手
「結構ギリギリだと思います。コバチッチ選手が半身気味にボールを出して走り始めたぐらいで入ってくるなと思いました」
内田さん
「そこからパチンって奪う準備というか」
「出してくれって思っているくらい」
「出してくれって思っているくらい」
遠藤選手
「そうですね。でも正直ここに出してくれるのは、ボールを奪えるチャンスだと思っている。だから出してくれって思っているくらいです。そしたらボールを奪えるし、カウンターできると思っている」

 このパス交換が通れば失点のピンチ。ただ遠藤選手にとってはボールを奪えるチャンスになるというのです。そこには守備の極意がありました。

「相手が勝負するタイミングで自分も勝負する」
「相手が勝負するタイミングで自分も勝負する」
遠藤選手
「相手が勝負球っていうか、チャンスと思ってパスをした瞬間が一番リスクがあるパス。『勝負球が一番相手に隙が生まれる』というのが自分の考え方としてあって。『相手が勝負するタイミングで自分も勝負する』という感じです」
内田さん
「じゃあ、その空気の読み合い?」
遠藤選手
「そうですね。いつ仕掛けてくるか、いつ縦パス入れようとしてくるか、そういうことは常に頭に入れながら、それに対応できるだけの動きをしておく」
内田さん
「(実演を手伝った高校生へ)分かった?これであしたから、いっぱいボール奪えるね」
遠藤選手
「まあまあ、そうっすね」

内田篤人「来シーズンも期待したい」

内田篤人「来シーズンも期待したい」
内田篤人「来シーズンも期待したい」
内田さん
「昨シーズンは途中出場が多かった遠藤選手なので、こういう守備のやり方ができたということですね。これだけ守備していたということです。安藤さん、いかがでしょう」
安藤萌々アナウンサー
「鮮やかに奪う瞬間というイメージが強かったですけど、こんなに走って動いているんですね」
内田さん
「後半疲れている時間帯、周りの選手たちが。遠藤選手が出てくると安心します。遠藤選手がグラウンドの横でアップを始める、立つだけでもファンは沸きますので来シーズンもそういったプレーを期待したいなと思います。遠藤選手、雨の中ありがとうございました」

(「報道ステーション」2025年7月14日放送分より)

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