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報道ステーション

2025年7月29日 07:04

競泳・松下知之 初めての世界水泳 「世界で一番強い」自由形に自信 伸び盛りの19歳

2025年7月29日 07:04

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 27日から始まった、世界水泳シンガポール2025の競泳。松下知之選手(19)、楽しみですが、その松下選手について現地シンガポールにいる松岡修造さんに聞いてみましょう。

松岡さん
「かつて日本の競泳もシンガポールの夜景ぐらい輝いていたんですが、今はメダルが減少し、苦しい状況です。今回の世界水泳、僕も危機感を持っています。そんななかで、日本に光明が見えてきました。日本の新エース、松下さん。日本を照らしてくれます!」

競泳日本の希望 伸び盛りの19歳

 去年のパリオリンピック・400メートル個人メドレー。オリンピック初出場でいきなり銀メダルを獲得した松下知之選手。大舞台で自己ベストを1秒以上も更新し、当時18歳という若さながら、競泳陣唯一のメダリストとなりました。

 さらに勢いはとどまらず、3月の世界水泳代表選考会でも再び自己ベストを更新。今、伸び盛りの現役大学生です。

 9年前のリオオリンピックで個人メドレー初の金メダリストとなった萩野公介さんは、この逸材について次のように話します。

松下選手について…
松下選手について…
「実力はあるのに(メダルを)取れない選手はいっぱい今まで見てきた。そのなかでメダルを取れたので、競泳界としての希望も、本人の未来の希望も、パリ五輪で大きく変わった。名実ともにエースと言ってもいい」

 バタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形の順で泳ぐ個人メドレー。松下選手が特に自信を持っているのが…。

松下知之選手
松下知之選手
松下選手
「ラストの自由形。世界で一番強い」
松岡さん
「一番苦しいところが一番強いんですか?」
松下選手
「一番強いです」

 銀メダルを獲得したレース。残り100メートルを松下選手は5位で折り返しましたが、ラストの自由形で追い上げます。

実況
「そして2位争い、大接戦です」
解説
「ここから松下選手は自由形が強い。あがってきますよ」
実況
「松下があがってきました」

 一番疲れがたまる終盤に力を爆発させ、2位争いを制したのです。

 ただ、その松下選手を大きく突き放していたのが、フランスのマルシャン選手(23)。このマルシャン選手は水泳界の超スーパースター。地元開催のパリオリンピックでは400メートル個人メドレーだけでなく、200メートル個人メドレーでも金メダル。さらにバタフライ、平泳ぎの単発種目と合わせて、なんと4冠を達成した絶対王者なんです。

 400メートル個人メドレーの世界記録保持者でもあるマルシャン選手に、5秒以上も差をつけられていた松下選手。しかし大会後、松下選手はこの怪物相手に大きく意識を変えていました。

「マルシャン選手に勝ちたい気持ちが芽生えた」
「マルシャン選手に勝ちたい気持ちが芽生えた」
松下選手
「8人の中で下の6人に勝てた喜び。上の1人に負けてしまった感覚はなかった。銀メダル取れたらすごくうれしかったけど、なんかちょっと情けない。パリ五輪が終わってからマルシャン選手に勝ちたい気持ちがすぐに芽生えて。世界で一番速くて、世界記録も出している。その人に勝ったら正真正銘自分が世界一になれる。この世界水泳をきっかけに、マルシャン選手に『なんかヤベエ奴来たな』って意識させる」
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松下選手の泳ぎの“伸びしろ”

 この世界水泳でマルシャン選手に意識させる。それが根拠のない自信ではないと話すのは、指導する平井伯昌コーチです。

 これまで北島康介さんをはじめ、個人メドレーにおいては萩野公介さんや大橋悠依さんといった金メダリストを育て上げた名将です。

 松下選手のある泳ぎに伸びしろを感じていました。

平井伯昌コーチ
平井伯昌コーチ
平井コーチ
「2番目の背泳ぎ。守りに入っていてなかなか勝てない」
松岡さん
「どんな守りをする?」
「足をサボる」
「足をサボる」
平井コーチ
「足をサボる。後半へばるんじゃないか、得意の自由形が伸びないんじゃないか。そういうのがあると思うんですけど、だいぶ実力もついているし、自分でブレーキかけさえしなければ」
松岡さん
「マルシャン選手を追っかけていける?」
平井コーチ
「追っかけていける」
伸びしろの背泳ぎ
伸びしろの背泳ぎ
松岡さん
「先生が『〇〇してほしい』と言ったわけですよ。それは何だと思います?」
松下選手
「背泳ぎ」
松岡さん
「ドンピシャ!」
松下選手
「背泳ぎの足を止めちゃう、力を溜めるために。もちろん溜めることによってラスト自由形で足を使えているけど、背泳ぎで離されないようにする。背泳ぎでサボらないことが一つの挑戦」
もし背泳ぎサボっていたら…
もし背泳ぎサボっていたら…
松岡さん
「もし背泳ぎサボっていたら、僕どうしたら?」
松下選手
「そしたらインタビューゾーンでゲンコツ」

 3月の代表選考会では、背泳ぎのある前半から守りに入らず、前半のラップタイムを2秒以上縮めることができました。

 大舞台に強い松下選手。自身初めての世界水泳で、どこまでタイムを伸ばしてくるかも注目です。

目指すタイムは
目指すタイムは
松下選手
「最低でも4分05秒」
松岡さん
「じゃあ、萩野公介さんの日本新を?」
松下選手
「超えます。そのくらい手応えを今感じているので。“ここで絶対結果出してくるよな”みたいな、本当に“勝負強い”光を、若いけど頼れる光は放っていきたい」
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日本の頼れる光、松下選手に注目

小さいマーライオンが…
小さいマーライオンが…
松岡さん
「シンガポールの象徴といえばマーライオンです。実はこのエリアには大きさの違うマーライオンが2ついます。1年前のパリでの決勝、僕はその場でマルシャン選手を見ていました。大越さん、本当に強かったんですよ。マルシャン選手にとっては、パリでは、松下さんのことを小さいマーライオンのような感じでいたと思うんですよ。でも彼はパリから成長していきましたよ。19歳にもかかわらず日本を引っ張っていくという、強い強い覚悟というのを僕は感じます。そして日本の頼れる光、若大将になっていきたいんだと。力強いです。そしてもう一つは、そばで見ている平井コーチと萩野さんとが言っていることがあるんです。『松下は勝負強い』『世界で強いんだ』と。必ずやり遂げてくれるという信じる力を持っているんですね。僕はこのシンガポールで、松下さんが、日本にとっても、そしてマルシャンにとっても大きいマーライオンのような存在感を放ってくれると思います」
大きいマーライオンのような存在感に
大きいマーライオンのような存在感に
大越健介キャスター
「少なくとも小さなマーライオンからもうこの大きさに、だんだん近付いているのは間違いないですよね」
松岡さん
「まさにそうです。一つ大きいのは、まだ彼はパリオリンピック、国際大会一つしか出てないんです。ですから日本の大会に関してはどうしても勝たなきゃいけないということで、守りに出ていますけど」
徳永有美キャスター
「このマーライオンのように気を吐いてほしいですね」

(「報道ステーション」2025年7月25日放送分より)

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