サッカー日本代表は9月、10月と強豪国との戦いが続きます。ここまでアジアを相手に攻めのサッカーを続けてきましたが、相手が強くなれば守りの時間も増えてきます。そこで鍵になるのが守護神の鈴木彩艶選手(23)。内田篤人さんも知らなかったゴールキーパーの極意を教えてもらいました。
■守護神の極意
「(肩)パンパンじゃないですか」
「まだまだデカくなりますよ」
「今、どのぐらい?」
「190センチ、100キロ」
「キーパーの良さを僕がお伝えできればいいんですが、キーパーとフィールドって別職業」
「何をやっているか知りません。僕はいつも」
「知ってほしいです」
日本代表ゴールキーパー・鈴木彩艶選手。初めて臨んだワールドカップ・アジア最終予選では、8試合にフル出場し、許した失点はわずか「2」。
現在、イタリアの名門・パルマのレギュラーとして2シーズン目を迎え、世界的ゴールキーパーを数多く輩出してきたリーグで存在感を放っています。
そんな若き日本の守護神に12台のカメラを用意し、実際に起きたプレーを再現。その技術に迫りました。
内田篤人が徹底検証
今回検証するのは、アウェイのインドネシア戦、序盤に起きた大ピンチのシーン。相手が抜け出してきて、1対1となった場面を再現しました。彩艶選手の極意をこのセーブから紐解いていきます。
まず、内田さんが気になったのは攻守が切り替わった瞬間。
「攻守が切り替わった瞬間、考えることは?」
「ゴールキーパーは真ん中にいるイメージだと思うんですけど」
「いつもそう思っていました」
「まず、相手が背後を狙おうとしているので、この選手が抜けてきた時のことを考えて、ポジションをちょっと横にずらす」
相手フォワードの位置を見て、横に移動していた彩艶選手、ある理由がありました。
「真ん中にいると相手がディフェンスの背後に抜けた時、相手までの距離が長くなる。なので相手選手側に寄って」
相手が背後に抜けてきた時、相手との距離が遠いと、出る出ないの判断が難しくなります。
一方、距離が近いと、より的確な判断ができるといいます。
「ゴールキーパーは1試合でどのぐらい動く?」
「僕は6キロ後半。意外と動いているんですよ」
「じゃあ、メッシより動いているよね」
「かな?分からないけど」
実際の試合を見てみると、彩艶選手は相手選手の位置やボールの位置など、状況に応じて動き続けています。
彩艶選手ならではの極意「止まる」
そして、検証はピンチとなった1対1の場面へ。「動く」とは正反対の彩艶選手ならではの極意がありました。
「相手がボールに触ろうとした瞬間に止まること」
相手がボールに触ろうとした時に「止まる」。その狙いとは?
「相手のボールが、どこに来ても対応できるように“止まる”」
「“止まる”じゃないと思っていた。“寄せる”と思ってた」
「止まりますね」
相手の次の動きに対応するために、あえてピタッと止まる。実際、止まった彩艶選手は相手の動きに、すぐ反応できています。
「ちょっとでも本当に先に動いて、こっちに流れたら(彩艶選手の左)に流れたら、こっちのボール(右)って行けなくなっちゃうんですよ。ここで(相手に対して)横に行っていたら、こっちにも空くし、こっちも空いちゃう。なので、止まることが大事だなって」
止まることで、相手が左右、どちらのコースにシュートを打ってきたとしても、ドリブルを仕掛けてきたとしても、すべてのプレーに対応することができるのです。
あえてピタッと止まる。これぞ鈴木彩艶選手、ゴールキーパーの極意。
「自分がしっかりとイメージを持って、どういう対応をして、どこで次待つのかを考えながら」
「相手のボールタッチのなかで判断して行動していく?」
「そうです」
「すげーな。深っ!!ゴールキーパー」
「深いんですよね」
ディフェンダーとは違ったゴールキーパーの感覚
「サッカーの試合をテレビで見ていると見えない部分、映らない部分でゴールキーパーの大事な動き、準備が映っているんですね。そういうところに隠されているので、今回特集させていただいたんです」
「面白かったですね。相手が触る時には『止まる』っていうのが極意なのは内田さんも結構、驚かれていましたね」
「それはまたディフェンダーとは違った感覚で、ゴールキーパーはシュートがあるので浮かされたら下がらないといけない。ああいうところの判断っていうのを日ごろから準備していて、ゲーム中にも準備している。彼の性格というのが、今の日本代表を支えているんだなと思いました」
(「報道ステーション」2025年9月4日放送分より)