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21日まで行われていた陸上の世界選手権。村竹ラシッド選手(23)と三浦龍司選手(23)。 メダルには届かなかったものの、心が熱くなる名場面に日本中が盛り上がりました。そんな2人に22日、松岡修造さんが話を聞きました。
メダルを奪えなかった最大の原因は“水濠での失敗”
9日間の来場者は、およそ62万人。歓声とともに大記録を生んだ世界の超人たち。そんななか、2人の日本人選手がみせた名勝負。その裏には何があったのでしょうか。
3000メートル障害、三浦龍司選手。今シーズンはパリオリンピックの優勝タイムを上回るなど、日本史上初のメダルが懸かっていました。
ラスト1周、8位からグイッと順位を上げて、メダル圏内へ。
最後の障害に差し掛かると、衝撃のできごとが…ハードルを越えたところで、後ろの選手と接触。バランスを崩した三浦選手は失速しメダルに届かず。日本チームは妨害を抗議したものの、認められませんでした。
三浦選手
「僕はもうつかまれたというより、その手がなかなか抜けなかった感覚。接触の影響は確かに最後の足のもつれには影響はあったと思いますけど、正直、僕の中ではどうでもいいと思っています」
「僕はもうつかまれたというより、その手がなかなか抜けなかった感覚。接触の影響は確かに最後の足のもつれには影響はあったと思いますけど、正直、僕の中ではどうでもいいと思っています」
松岡さん
「『どうでもいい』って、なぜ出るんですか?」
「『どうでもいい』って、なぜ出るんですか?」
三浦選手
「普段の自分の水濠の越え方では全然なかった。僕はそこが海外の選手にリードをとれる長所だと思っている。それができなかったのが最大の最後のミスだったなと思っています」
「普段の自分の水濠の越え方では全然なかった。僕はそこが海外の選手にリードをとれる長所だと思っている。それができなかったのが最大の最後のミスだったなと思っています」
メダルを奪えなかった最大の原因。それは、接触があった直前、三浦選手が得意とする水濠での失敗でした。
三浦選手
「スピードに乗っていて足も限界だったのもあって、もう全然合わせることができなくて、スパートをかけているのにスピードを殺してしまって、それがなければ、もう少し着地から走り出しまでスムーズでもっといいスパートができていたのかなと思います」
「スピードに乗っていて足も限界だったのもあって、もう全然合わせることができなくて、スパートをかけているのにスピードを殺してしまって、それがなければ、もう少し着地から走り出しまでスムーズでもっといいスパートができていたのかなと思います」
松岡さん
「今回の世界選手権で何をつかむことができましたか?」
「今回の世界選手権で何をつかむことができましたか?」
三浦選手
「海外選手と真正面から勝負できたのが僕の中で一番の手応えと収穫。それができたっていう自分自身に対して自信がつきました」
「海外選手と真正面から勝負できたのが僕の中で一番の手応えと収穫。それができたっていう自分自身に対して自信がつきました」
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村竹選手「メダルへの欲が強すぎた」
そして、もう一人は110メートルハードル、村竹ラシッド選手。大会前からメダル候補とされていましたが、100分6秒差で、メダルには届きませんでした。
レース後のインタビューでは、「何が足りなかったんだろうなって、何が今まで間違っていたんだろうなって。パリ五輪が終わってからの1年間、本気でメダルを取りに、必死に練習して、本当に何が足りなかったんだろうなって。すみません」と語りました。
村竹選手
「パリ五輪が終わってからずっとメダルを取ると言い続けてきた分、それを達成できなかったのがあまりにも悔しすぎて。自分の今までの陸上キャリアの中でも、揺るぎない自信を持って臨めたつもりではあったが、終わった後はもうかなり打ち砕かれたみたいな感じでした」
「パリ五輪が終わってからずっとメダルを取ると言い続けてきた分、それを達成できなかったのがあまりにも悔しすぎて。自分の今までの陸上キャリアの中でも、揺るぎない自信を持って臨めたつもりではあったが、終わった後はもうかなり打ち砕かれたみたいな感じでした」
松岡さん
「“揺るぎない”というのは、どういったもので自分の中で自信として形になったのでしょうか?」
「“揺るぎない”というのは、どういったもので自分の中で自信として形になったのでしょうか?」
村竹選手
「世界選手権や五輪でメダルを取るための大体のタイムも自分の中で分かっていて、メダルを取れるだけの根拠は、パリ五輪後の1年間はできる限りは積み重ねてきたつもり。それが自分の中の揺るぎない自信になったと思います」
「世界選手権や五輪でメダルを取るための大体のタイムも自分の中で分かっていて、メダルを取れるだけの根拠は、パリ五輪後の1年間はできる限りは積み重ねてきたつもり。それが自分の中の揺るぎない自信になったと思います」
自信が打ち砕かれたレース、一体何が足りていなかったのか。涙から6日経った22日、少しずつ見えてきていました。
村竹選手
「どこかで無意識のうちに“攻めよう”と思っちゃったのがよくなくて、ごめんなさい、全然その考えがまとまってなくて」
「どこかで無意識のうちに“攻めよう”と思っちゃったのがよくなくて、ごめんなさい、全然その考えがまとまってなくて」
松岡さん
「いや、今すごくいいです。攻めに行ったことによって何が起きたんですか?」
「いや、今すごくいいです。攻めに行ったことによって何が起きたんですか?」
村竹選手
「同じことをやれば良かったのに、何か“変わったことをしよう”って無意識に思っていた部分はあったかもしれないです。メダルへの欲が強すぎたかもしれないですね」
「同じことをやれば良かったのに、何か“変わったことをしよう”って無意識に思っていた部分はあったかもしれないです。メダルへの欲が強すぎたかもしれないですね」
松岡さん
「勝てると。攻めるって悪いことじゃないと普通はそう受け取りますよ。何が来るんですか?」
「勝てると。攻めるって悪いことじゃないと普通はそう受け取りますよ。何が来るんですか?」
村竹選手
「いつも通りのレースに加えて、前に進もうという意志が現れる。100メートル走だったら良い方向に働くかもしれないですけど、ハードルは速く走ろうと思ってしまうとハードルとハードルの間で、どんどんハードルを走る時のストライドが広がって詰まっちゃうんですよ、次のハードルを越えるまで。遠くから踏み切らないといけないのに、(ハードルの)近くで踏み切ったら、その分上に浮くのでタイムロスになる。ハードルがあと8台も9台もあると、タイムロスが8倍、9倍になる」
「いつも通りのレースに加えて、前に進もうという意志が現れる。100メートル走だったら良い方向に働くかもしれないですけど、ハードルは速く走ろうと思ってしまうとハードルとハードルの間で、どんどんハードルを走る時のストライドが広がって詰まっちゃうんですよ、次のハードルを越えるまで。遠くから踏み切らないといけないのに、(ハードルの)近くで踏み切ったら、その分上に浮くのでタイムロスになる。ハードルがあと8台も9台もあると、タイムロスが8倍、9倍になる」
松岡さん
「何でそれだけ分かっているのに一番大事な試合でそれをしちゃった?」
「何でそれだけ分かっているのに一番大事な試合でそれをしちゃった?」
村竹選手
「今まで積み重ねてきた練習だったり技術だったりに頼ればいいのに、メダルへの欲っていう感情的な部分に任せちゃった。“メダルへの欲”に頼るべきじゃない」
「今まで積み重ねてきた練習だったり技術だったりに頼ればいいのに、メダルへの欲っていう感情的な部分に任せちゃった。“メダルへの欲”に頼るべきじゃない」
松岡さん
「これは、ある意味、むちゃくちゃ経験じゃないですか?大きな、これ以上ない経験。だって世界陸上じゃないと、決勝じゃないと、つかめないものですよ」
「これは、ある意味、むちゃくちゃ経験じゃないですか?大きな、これ以上ない経験。だって世界陸上じゃないと、決勝じゃないと、つかめないものですよ」
村竹選手
「それはそうですね」
「それはそうですね」
松岡さん
「それを間違えていたものを正しくする、大きな力になったんじゃないですか?」
「それを間違えていたものを正しくする、大きな力になったんじゃないですか?」
村竹選手
「修造さんのおかげで考えがだいぶまとまってきた」
「修造さんのおかげで考えがだいぶまとまってきた」
松岡さん
「まとまってよかった!」
「まとまってよかった!」
23歳の同学年 これからの活躍に期待
ヒロド歩美キャスター
「きょうのインタビューだったんですけど、大会直後にもかかわらず、2人とも今まとまったとお話にありました。しっかりとレースに臨まれていて、前を見据えているなと感じました」
「きょうのインタビューだったんですけど、大会直後にもかかわらず、2人とも今まとまったとお話にありました。しっかりとレースに臨まれていて、前を見据えているなと感じました」
大越健介キャスター
「2人とも哲学者みたいでしたね。自分の意識じゃないところ、無意識であるとか感情であるとか、そういったところを制御して、そのためにはどうしたらいいかってレベルで考えている。言葉が深いですよね」
「2人とも哲学者みたいでしたね。自分の意識じゃないところ、無意識であるとか感情であるとか、そういったところを制御して、そのためにはどうしたらいいかってレベルで考えている。言葉が深いですよね」
小木逸平アナウンサー
「あの興奮の中でいつもどおりのことをしなければいけない。すごい世界ですね」
「あの興奮の中でいつもどおりのことをしなければいけない。すごい世界ですね」
ヒロドキャスター
「2人とも23歳、同学年。これからの活躍に本当に期待しています」
「2人とも23歳、同学年。これからの活躍に本当に期待しています」
(「報道ステーション」2025年9月22日放送分より)
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