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女子サッカーのプロWEリーグで活躍している笹井一愛選手(20)は、生まれた時から耳がほとんど聞こえません。ハンデを全く感じさせない強さには、ある理由がありました。
「先天性難聴」左耳に補聴器
トレードマークは、赤いヘアバンド。ノジマステラ神奈川相模原、笹井一愛選手。
右サイドを主戦場とし持ち味のスピードで駆け上がり、ゴールを奪うと、今度はドリブルで突破し味方へアシスト。
去年、20歳以下のワールドカップにフォワードとして出場。3得点を上げヤングなでしこ準優勝に貢献しました。
そんな彼女は「先天性難聴」。右耳は全く聞こえず、わずかに聞こえる左耳に補聴器をつけています。
内田篤人さん
「これは聞こえてる?」
「これは聞こえてる?」
笹井選手
「ちょっとは。ほぼ口の動きで」
「ちょっとは。ほぼ口の動きで」
内田さん
「ここ(口の動き)で分かるということですか?」
「ここ(口の動き)で分かるということですか?」
笹井選手
「はい」
「はい」
内田さん
「声が大きかったら分かる?」
「声が大きかったら分かる?」
笹井選手
「口と声を両方見ないと自分は分からないので、練習中に逆サイドくらいから言われてることはほぼ聞こえていない」
「口と声を両方見ないと自分は分からないので、練習中に逆サイドくらいから言われてることはほぼ聞こえていない」
そのため練習では…会話。会話。プレーが止まっている時、積極的にコミュニケーションをとります。
内田さん
「疲れると思うけどな、聞こえないって。首振って、人の倍くらい自分がどこにいてって確認しないといけない」
「疲れると思うけどな、聞こえないって。首振って、人の倍くらい自分がどこにいてって確認しないといけない」
内田さん
「困ることはある?守備の時が一番困る?」
「困ることはある?守備の時が一番困る?」
笹井選手
「FWの時は後ろからの声を聞くので。でももう声が全く入らないので」
「FWの時は後ろからの声を聞くので。でももう声が全く入らないので」
内田さん
「後ろ見なきゃいけないもんね。今行っていいのか、守備のスイッチを入れていいのか、どっちから追い込むのかとか。難しい」
「後ろ見なきゃいけないもんね。今行っていいのか、守備のスイッチを入れていいのか、どっちから追い込むのかとか。難しい」
笹井選手
「全部見て判断する」
「全部見て判断する」
内田さん
「疲れる?」
「疲れる?」
笹井選手
「まあ…きついです」
「まあ…きついです」
内田さん
「疲れやすいよね。すげーな」
「疲れやすいよね。すげーな」
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妹の優愛選手との「姉妹の絆」
サッカーを始めたのは、小学2年生の時。難聴というハンデがありながらも、とにかく練習量をこなしました。
毎日のように自主練習を共にしたのが、妹の優愛選手(18)と弟の吾夢さん。それは今でも…。
オフの日は、よく家族で集まりボールを蹴っています。
切磋琢磨してきた妹の優愛選手。実は現在、同じチームでプレーするチームメート。頭には同じ赤いヘアバンド。これが姉妹の絆なんです。
笹井選手
「中学の時に全国大会があって、『補聴器をして試合に出れない』と言われた」
「中学の時に全国大会があって、『補聴器をして試合に出れない』と言われた」
内田さん
「ぶつかったりしたら危ないということかな」
「ぶつかったりしたら危ないということかな」
笹井選手
「当時の監督がサッカー協会に言ってくれて、“太いバンドで補聴器を隠せれば試合に出れる”というルールになって、中学生だったのもあって、『目立つから嫌だな』と思ってたら、(妹が)『じゃあ私もつけるよ』と言ってくれて」
「当時の監督がサッカー協会に言ってくれて、“太いバンドで補聴器を隠せれば試合に出れる”というルールになって、中学生だったのもあって、『目立つから嫌だな』と思ってたら、(妹が)『じゃあ私もつけるよ』と言ってくれて」
優愛選手
「その時はあまり太いバンドをしている子が周りにもいなくて、『1人でするのはちょっと』と言っていたから、自分も一緒にして、そしたら1人じゃないから嫌じゃないなと思って」
「その時はあまり太いバンドをしている子が周りにもいなくて、『1人でするのはちょっと』と言っていたから、自分も一緒にして、そしたら1人じゃないから嫌じゃないなと思って」
妹・優愛選手とともに、プロサッカー選手という夢をかなえた一愛選手。自分が活躍することで、届けたい思いがあります。
笹井選手
「自分は耳が聞こえないからスポーツは無理だとか、諦めかけてる人もいるかもしれないですけど、自分がこれからもっと成長して、なでしこジャパンになるという夢をかなえるように頑張るので、『できるんだな』という勇気を与えられるような存在になりたい」
「自分は耳が聞こえないからスポーツは無理だとか、諦めかけてる人もいるかもしれないですけど、自分がこれからもっと成長して、なでしこジャパンになるという夢をかなえるように頑張るので、『できるんだな』という勇気を与えられるような存在になりたい」
ハンデに捉われずサッカーで強さを持つ
内田さん
「笹井さんはサッカーが好き。とにかくサッカーに夢中だったからこそ、この自分のハンデに捉われずにプロになって活躍しているんだなと非常に感じました。サッカーで強さを持つというのは、同じサッカーをしてきた人間としては非常にうれしく思いました。話を聞いていても非常に明るくて輝いて見えました。本当にすてきなインタビューだったなと思います」
「笹井さんはサッカーが好き。とにかくサッカーに夢中だったからこそ、この自分のハンデに捉われずにプロになって活躍しているんだなと非常に感じました。サッカーで強さを持つというのは、同じサッカーをしてきた人間としては非常にうれしく思いました。話を聞いていても非常に明るくて輝いて見えました。本当にすてきなインタビューだったなと思います」
大越健介キャスター
「聴力が必ずしも十分でない分、一生懸命コミュニケーションを取ろうとして一生懸命物を見るとか、チームメートも笹井選手に何か情報を伝えようという努力が生まれれば、そこは相互作用でより良いコミュニケーションになるでしょうね」
「聴力が必ずしも十分でない分、一生懸命コミュニケーションを取ろうとして一生懸命物を見るとか、チームメートも笹井選手に何か情報を伝えようという努力が生まれれば、そこは相互作用でより良いコミュニケーションになるでしょうね」
内田さん
「聞こえづらいというのがたまに孤独を感じることもあるかもしれませんが、やっぱり家族だったり妹、チームメートの支え、そういったつながり、関係性が彼女の成長につながっているんだろうなと思いました。さらなる活躍を期待しています」
「聞こえづらいというのがたまに孤独を感じることもあるかもしれませんが、やっぱり家族だったり妹、チームメートの支え、そういったつながり、関係性が彼女の成長につながっているんだろうなと思いました。さらなる活躍を期待しています」
(「報道ステーション」2025年9月24日放送分より)
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