未来のスターたちが誕生する年に一度のプロ野球ドラフト会議。今年は4度の抽選が行われましたが、そのなかの1人がアメリカ留学中の佐々木麟太郎選手(20)。名前が呼ばれた瞬間、その日一番のどよめきが起こりました。
会場どよめく“サプライズ指名”
指名を待つ選手にとって運命の一日。それは、指名する側も同じです。
26日から日本シリーズを戦うチーム、来シーズン巻き返しを狙うチーム。12球団が一堂に会します。
「第1巡選択希望選手・東京ヤクルト、松下歩叶。千葉ロッテ、石垣元気。広島東洋、立石正広。(埼玉西武ライオンズ)小島大河。(中日ドラゴンズ)中西聖輝。(東北楽天イーグルス)藤原聡大。(読売ジャイアンツ)竹丸和幸(オリックス・バファローズ)石垣元気」
「石垣投手をオリックスが1位指名。2球団競合です」
ここで驚きの指名が起こりました。
「横浜DeNA、佐々木麟太郎」
スタンフォード大学在学でアメリカでプレーする佐々木選手の指名に会場がどよめきます。
「北海道日本ハム、立石正広。阪神、立石正広。福岡ソフトバンク、佐々木麟太郎」
12球団の1位指名が出そろい、5球団が単独指名に成功しました。
高校生で唯一名前が呼ばれた石垣投手は、オリックスとロッテの2球団が競合。創価大学の内野手・立石選手はセ・リーグ王者の阪神など最多3球団が競合です。
そして、DeNAに続きソフトバンクも佐々木選手を指名しました。
24日、最も驚きだったのがスタンフォード大学2年、佐々木選手の指名。アメリカ留学中の20歳に2球団が競合するサプライズでした。
佐々木選手といえば、花巻東高校時代。歴代最多となる高校通算140ホーマー。卒業後はメジャーリーグ入りも視野に、アメリカのスタンフォード大学に進学。その長打力に磨きをかけています。
DeNAか、ソフトバンクか。交渉権はソフトバンク。くじを引いたチーフベースボールオフィサー・城島健司さん(49)も満面の笑顔です。
「佐々木選手の場合はちょっと特殊で、来季の頭からすぐというわけにはいかないんですけども、リスクを背負ってでも魅力のある選手。ぜひうちのチームで縁があれば活躍してもらいたい。日本とアメリカとどちらを選ぶかは尊重していますが、縁があれば九州の豪快な野球にあなたの力が必要です。一緒にやりましょう」
その城島さんが語ったリスクとは何なのか?実は日本の大学生とは違い、すぐに交渉できるわけではないのです。来年7月に予定されているアメリカ・メジャーリーグのドラフト会議の対象になるからです。
ソフトバンクが交渉できるのは、現地で所属するリーグ戦終了後の来年5月から7月末までが契約期限となっています。ソフトバンクはメジャーのドラフトの結果を踏まえながら、交渉を進めていかなければなりません。
メジャーのドラフトで指名されれば、メジャーの球団とソフトバンクが争うということになり、この2つが競合になります。
交渉権獲得後に王貞治会長(85)は佐々木選手と電話で直接話をしたといいます。
「すごく喜んでくれてこっちもうれしかったね。本人も『ありがとうございます』と言ってくれてね。『ホークスに来ることになったら一緒に高い目標を持って頑張ろう』と伝えました」
「相当な覚悟を持ってスタンフォードに行ったわけでしょう。メジャーに行きたいという気持ちもありつつ。だけど、やっぱりソフトバンクが1位指名してくれて、王さんと話ができてリスク取ってでもと言われる。どういう心境なんでしょうね」
佐々木選手と同じでオリックス6位指名の石川ケニー選手(21)も明秀日立高校を卒業してアメリカのジョージア大学に在籍なので、同じ条件になるかというところも注目です。
高校2年で手術を経験 苦難乗り越え“涙の指名”
広島、日本ハム、阪神が競合した創価大学・立石正広選手(21)。去年の全国大会では2ホーマー。さらに歴代最多の10安打。パワーと技術を兼ね備えた強打の内野手です。
交渉権を引き当てたのは阪神。藤川球児監督(45)はガッツポーズ!
「うちの3番、4番、5番のドラフト1位コンビの…コンビじゃないね、トリオ?トリオに割って入る。切磋琢磨して。しばらく先までタイガースの未来が明るくなりました」
「たくさんの球団が指名してくださったことにすごく感謝しています。自分も右バッター。森下選手・大山選手のバッティングに魅力を感じる。少しでも吸収したい」
ロッテとオリックスが競合している石垣投手。持ち味は最速158キロのストレート。世代ナンバー1投手はロッテか、オリックスか。ロッテが交渉権を獲得です。
「(Q.縁起を担いだ?)AIに聞いてきました。AIに上と下、どっちかなって。何回かChatGPTに聞いてきました。(当たりくじひいて)いや〜よかった〜と思って」
「まさか2球団から指名されると思っていなかったので本当にうれしかったです」
「(Q.ヒロドキャスター:ロッテのイメージは?)お菓子のイメージが強かったんですけど、若い選手が活躍しているのを見て自分も1年目から活躍できればいいかなと思います」
「(Q.ヒロドキャスター:どんな選手になりたい?)日の丸を背負って、世界を代表するような投手になりたいです」
健大高崎でもう1人指名を受けたのが佐藤龍月投手(18)。去年の春のセンバツ、石垣投手とともに2年生2枚看板として優勝に貢献するも、その年の夏にトミー・ジョン手術を経験。苦しい時期を乗り越えて、迎えた24日。オリックスから指名。
「球団を代表するピッチャーになって、石垣と一緒に日本を代表するピッチャーになりたい」
注目の1位指名 夢を掴むのは
1位の単独指名に成功したのは5球団。ヤクルトは、右の強打者法政大学の松下歩叶選手(22)を指名。日本代表のキャプテンを務め、日米大学野球ではMVPに輝きました。
西武は明治大学キャッチャーの小島大河選手を1位指名。バッティングではミート力と勝負強さが魅力の、大学球界を代表する強打のキャッチャーです。
青山学院大学のエース・中西聖輝選手を指名した中日は、4年連続で大学生ピッチャーが1位。まっすぐに精度の高い変化球を使い分け、バッターに的を絞らせない総合力の高さが売りの大学ナンバー1投手です。
早速、井上一樹監督(54)があいさつに訪れました。
楽天の1位は京都の花園大学・藤原聡大投手。高校3年生の時にピッチャーへ転向すると、大学では1試合18奪三振、最速156キロをマークするなど急成長。花園大学から初のプロ野球選手が誕生します。
巨人は社会人ナンバー1サウスポー・鷺宮製作所の竹丸和幸投手(23)を単独指名。最速150キロのストレートにチェンジアップが武器の即戦力投手として期待されます。
「10年間、1軍で活躍できる選手になりたい」
1巡目、抽選を外した球団は4球団。オリックスは高校九州ナンバー1ピッチャーと呼ばれる延岡学園・藤川敦也投手(18)を指名。18歳の誕生日を迎えた特別な日に夢をつかみ取りました。
DeNAは青山学院大・小田康一郎選手(22)を指名。大学の先輩、吉田正尚選手をほうふつとさせるスイング。内野の即戦力として期待がかかります。
そして、広島と日本ハムは仙台大のスイッチヒッター・平川蓮選手(21)を指名し、再び抽選に。広島が交渉権を獲得しました。
2度抽選を外した日本ハムは明治大学のパワーピッチャー・大川慈英投手(21)を指名しました。
「ファイターズはものスゴイいい球団ですし、ご飯がとにかくおいしい。エスコンフィールドで暴れている姿を見させてください」
「ドラフト6位や5位の選手が活躍することも」
「育成指名、本指名を含めて116名が24日に運命の一日を迎えることになりましたけども、毎回、現場を取材していて、指名の瞬間はほっとした様子で、すぐに感謝の気持ちが出てくるなというところが印象的で、それだけいろいろな人の思いを背負っているんだなと」
「主に1位指名の選手が注目されますけれども、翌年のシーズンで実は去年ドラフト6位や5位、そういう選手たちががーっと活躍することもあるので」
「大学生だったり社会人選手はまだリーグ戦でそれぞれの試合が続いているので、そこでしっかりと締めくくっていただいて、来年春のキャンプでけがなく元気な姿を見せていただきたいと思います!」
(「報道ステーション」2025年10月23日放送分より)













