6日に世界ラリーの日本大会「ラリージャパン」が開幕します。注目は日本人唯一の世界ラリードライバー・勝田貴元選手(32)。今回、絶対に優勝したい理由がありました。
子どもの体に“30歳ぐらいの人間”
日本のトヨタ所属の勝田選手。今シーズンは2度の表彰台。地元・愛知のラリージャパンでも期待されています。
隣には同じトヨタ所属・フィンランド出身のカッレ・ロバンペラ選手(25)。年間チャンピオンをすでに2回獲得している若きスーパースターです。年は7つ違いますが、とても仲良し。大会の合間には写真を撮り合うなど、勝田選手にとってロバンペラ選手は特別な存在です。
というのも、ロバンペラ選手は幼いころから天才でした。何と、8歳にして普通車を運転(※私有地)。世界ラリードライバーだった父からの英才教育もあり、テクニックを磨いてきました。
世界ラリー初参戦は16歳。その後も最年少優勝記録を塗り替えるなど、輝かしい実績を残してきました。
一方で勝田選手はロバンペラ選手とは全く異なるキャリア。ラリーを始めたのは、遅めの22歳。最初は散々でした。
当時の勝田選手にとって、ロバンペラ選手はどんな存在だったのでしょうか。
「初めてカッレを知って、『こんな子がいるんだ!?』。冷静さ、落ち着き、速い。人生のなかでも、唯一、天才と思えるドライバーはカッレだけ。子どもの体に“30歳ぐらいの人間”が入っている」
引退は「すごく無謀な挑戦」 でも…
勝田選手にとって、ロバンペラ選手は年下ですが“憧れの先輩”です。
その大きな背中を追い続けるなかで、昨シーズンは苦しい一年を送っていました。成績はどん底。チームのレギュラードライバーからも外されてしまいました。そんな時、すぐに連絡をくれたのがロバンペラ選手だったのです。
「どうしたら調子が良くなるか、いろいろな話をしました。タカが苦手なスキルの話や、メンタルの話もしました。タカのモチベーション向上につながればという思いでした」
「“自分にできることをとにかくやる”。彼は屈強なメンタルを持っていて、自分の支えになった」
ロバンペラ選手のアドバイスを受けた勝田選手は、今年のフィンランド大会で持ち味のスピードを前面に押し出しガンガン攻めると、自身最高の2位。ロバンペラ選手とのワンツーフィニッシュで復活した姿を見せました。
そんなタイミングで入ってきた衝撃的なニュース。
ロバンペラ選手は、今シーズン限りでラリー競技からの引退を決めたのです。今後はF1などで知られるサーキットレースへの転向を表明。この前代未聞の挑戦に、勝田選手はこのように話します。
6日開幕するラリージャパン。勝田選手とロバンペラ選手が日本で戦うのはこれが最後。だからこそ、2人でかなえたい夢があります。
「タカとはいつも一緒に表彰台に上がれることを目標にしています。もちろん、また一緒に表彰台に上がりたい」
「ラリージャパンは簡単じゃないけど、お互い全部出し切ったうえで、最後ワンツーで終われたら最高」
ラリージャパンはいよいよ6日、愛知と岐阜を舞台に開幕します。
(「報道ステーション」2025年11月5日放送分より)







