メジャーリーグのシーズンが終わり、騒がしくなっている移籍市場。FA注目選手ランキング1位にいるのが、オールスター出場4回とシルバースラッガー賞2回、カブスのカイル・タッカー選手(28)です。
MLB公式サイトの記事によると、6球団が獲得へ興味を示しているそうで、外野手が手薄のドジャースも候補の1つに入っています。
そして、このランキング上位30選手の中には日本人が4選手入っているんです。
野手では、いずれも日本からメジャー移籍を目指すヤクルトの村上宗隆選手(25)が8位、巨人の岡本和真選手(29)が16位にランクイン。そして、ピッチャーではメジャー3年目を迎えるカブスの今永昇太投手(32)が21位にいます。
そして、その今永投手を上回る11位にいるのが、西武の今井達也投手(27)です。10日、ポスティングシステムでのメジャー移籍に関して、球団が正式に容認しました。
メジャー挑戦表明の意外な理由
今井投手は、実は1カ月前からメジャー挑戦に向け球団と交渉を重ね、10日ついに容認されました。
今井投手といえば、2016年夏の甲子園。栃木の名門・作新学院のエースとして54年ぶりの全国制覇を成し遂げました。
その年、ドラフト1位で西武に入団。そして、昨シーズンは自身初タイトルとなる最多奪三振(187奪三振)。プロ9年目の今シーズン、6月には1試合17奪三振をマークし、松坂大輔さんの球団記録を塗り替えます。
今井投手はチームの柱として、キャリア初の防御率1点台(1.92)、3年連続2桁勝利(10勝5敗)をマーク。闘志むき出しで圧倒的なピッチングを見せました。
シーズン最終登板直後の10月2日、カメラの前でメジャー挑戦への意外な理由を明かしてくれました。
メジャー挑戦を決意させたのは、周囲の声でした。
譲渡金こそ球団への感謝の証し
プロ野球からメジャーに移籍する方法は2つあります。
まずは海外フリーエージェント権、通称「海外FA権」の行使。定められた1軍登録の期間をクリアすることで選手は自由にメジャーに挑戦することができます。
もう1つは、ポスティングシステム。所属する球団の承認さえあれば利用することができます。
今回、今井投手はポスティングシステムによるメジャー挑戦。早ければ2年後には海外FA権も取得できますが、あえてポスティングシステムにこだわりたい理由がありました。
海外FA権とポスティングシステムの大きな違い。それは、所属球団に譲渡金が支払われるか否か。
かつて松坂大輔さんがレッドソックスへの移籍が決まった時は西武に60億円。最近では山本由伸投手がドジャースへの移籍が決まると、オリックスに72億円が支払われました。
今井投手にとって、譲渡金こそチームへの感謝の証しなのです。
そして、10日に球団との最後の交渉が行われ、ポスティングシステムの承認が下りました。
「チーム・本人・ファンの思いもある。全部考えたうえで、きょう承認の判断をした。チームの強化を預かる者としては難しい判断」
「後はどれだけライオンズに恩を返せるか。(メジャーへ)行くからには、ワールドチャンピオンを目指してやるだけ」
意識するのは、2025年ワールドシリーズMVPの山本投手。実は、高卒でプロ入りを果たした同い年なんです。
「力感がない」球界屈指の好投手
そして、ここからメジャー球団との交渉が始まっていくわけですが、今井投手はプロ入りから9年経って、大きなけがもなく手術もしていないんです。
さらに、今シーズン12球団の先発投手の中でストレートの平均球速が最も速いんです。
ヒロド歩美キャスターも高校時代、作新学院時代から甲子園の初戦から決勝まで見ていましたが、そこからかなりフォームも変わって、力感がないフォームに変わった印象があります。
「何かつかんだんでしょうね、力感がないということは。フォアボールもすごく減っていますし。メジャーへ行くと登板間隔も短いので、力感がなく疲れが残らない体というのはメジャー向きかもしれません」
さらに今年は完投も増えていて、タフさもあるということで、今井投手は今月中にも渡米する予定で、獲得を希望するすべての球団と交渉を開始していくということです。
(「報道ステーション」2025年11月10日放送分より)









