24日に迫った世界タイトルマッチの会見が行われました。WBC世界バンタム級世界ランキング1位・那須川天心選手(27)と、2位・井上拓真選手(29)との試合。井上尚弥選手(32)を兄に持つ拓真選手にとって、今回の一戦はまさに人生をかけた戦いとなります。
どん底からの復活かけて
井上拓真選手。29歳にしてボクシング歴は25年。4歳の時、後にモンスターと呼ばれる兄を追いかけ、父のもとでボクシングを始めました。
以来、一家で臨んだボクシング漬けの毎日。尚弥選手という偉大な存在の影を歩みながらも、2年前、4団体統一王者の兄が去ったバンタム級で世界を制しチャンピオンになった。
そこで掲げた新たな夢は“兄弟でのバンタム級統一”でした。
去年、3度目の防衛戦。勝てば統一戦への期待が高まるなかで同い年のライバル、堤聖也選手との試合を迎えます。
戦前の予想は、拓真選手の圧倒的有利。
しかし…ベルトを失った拓真選手の心は、どん底へと陥ります。
敗因となった心の弱さ。その葛藤は、自身の進退を考えるまでに及んでいました。
兄の尚弥選手は、そんな弟の姿をどのように見ていたのでしょうか?
兄弟でそろってボクシングを始めた尚弥選手と拓真選手。25年の歳月に訪れた分岐点。
敗戦から2カ月、拓真選手が出した答えは…。
「率直に嬉しかったですよ。自分たちの声が届いていた。バンタム級は自分が束ねていた階級ではあるし、それを手放した時に拓真がチャンピオンで統一してほしいって気持ちもありましたし、それはこれからでも遅くない」
世界タイトルマッチでの復帰戦。さらに相手は那須川選手。デビュー7戦で世界へと駆け上がった超新星です。
兄と父「家族の絆」
大きな注目が集まるなかで、2年8カ月ぶりに兄弟での野外合宿を敢行しました。
「追い込みですね、最後までやり切る」
「結局、色々な後悔もある。自分も実際に見てきて感じるものがある。後悔はしたくない。拓真がスイッチ入ったら、すごいんで」
今回の合宿で取り組んだのは“心の鍛錬”。
「一歩一歩気合入れるよ、気持ち入れるよ」
「気持ちよ、気持ち入れて」
「歩くな、歩くな。ここからよ、ここ大事、ここ大事」
家族が結束し、何度も駆け上がった急階段。決して折れない心の強さを手に入れるために。
「本当にいるだけで心強い。家族で小さい時からやってきているので、なくてはならない存在。ボクシングやるうえで」
「何が何でも勝ってもらいたいし、自分も12月に試合が決まってますけど、それはそっちのけで。井上家が一丸となって必ず勝ちを手にしなきゃいけない。チームとして勝ちに、そこにかけたい」
どん底からの復活かけて。
「天心戦しか見ていない。その先は何も考えてない。ここで復帰してまた世界チャンピオンに戻りたいです」
WBC世界バンタム級世界王座決定戦へ
「拓真選手にとって、前回の負けというのはかなり大きかったということで、それを経験できたことで今、自分は一番強いです言っていたとのことです。トレーナーも言っていましたが、『スイッチが入ったら拓真はすごい』と」
「スイッチプラス井上家が完全バックアップしているという」
「兄弟の絆、家族の絆を感じました」
「両方の選手に物語、ストーリーがありましたよね。やっぱり、あの偉大な兄と切磋琢磨する拓真選手とキックボクシングから転向してきた無敵の那須川選手ですから」
「人間、ずっと強く居続けるのは難しいですから、2カ月があったからこそ、今こうして頑張れるということなんでしょうね」
(「報道ステーション」2025年11月21日放送分より)













