スポーツ

報道ステーション

2025年11月23日 07:00

那須川天心vs井上拓真 WBC世界バンタム級王者決定戦へ どん底からの復活かけ「拓真はスイッチ入ったらすごい」家族の絆

那須川天心vs井上拓真 WBC世界バンタム級王者決定戦へ どん底からの復活かけ「拓真はスイッチ入ったらすごい」家族の絆
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 24日に迫った世界タイトルマッチの会見が行われました。WBC世界バンタム級世界ランキング1位・那須川天心選手(27)と、2位・井上拓真選手(29)との試合。井上尚弥選手(32)を兄に持つ拓真選手にとって、今回の一戦はまさに人生をかけた戦いとなります。

どん底からの復活かけて

 井上拓真選手。29歳にしてボクシング歴は25年。4歳の時、後にモンスターと呼ばれる兄を追いかけ、父のもとでボクシングを始めました。

4歳の時、父のもとでボクシングを始めた
4歳の時、父のもとでボクシングを始めた

 以来、一家で臨んだボクシング漬けの毎日。尚弥選手という偉大な存在の影を歩みながらも、2年前、4団体統一王者の兄が去ったバンタム級で世界を制しチャンピオンになった。

兄・井上尚弥選手
兄・井上尚弥選手

 そこで掲げた新たな夢は“兄弟でのバンタム級統一”でした。

 去年、3度目の防衛戦。勝てば統一戦への期待が高まるなかで同い年のライバル、堤聖也選手との試合を迎えます。

同い年のライバル、堤聖也選手と試合
同い年のライバル、堤聖也選手と試合

 戦前の予想は、拓真選手の圧倒的有利。

 しかし…ベルトを失った拓真選手の心は、どん底へと陥ります。

「このままだったらやめたほうがいいかな」
「このままだったらやめたほうがいいかな」
「正直すごいショックでした。気持ちが一番足りてなかった。相手以外のところに目を向けていた。『このままだったらやめたほうがいいかな』とか、負けた年内は進退についてずっと考えていた」

 敗因となった心の弱さ。その葛藤は、自身の進退を考えるまでに及んでいました。

 兄の尚弥選手は、そんな弟の姿をどのように見ていたのでしょうか?

「最後にしていいのか」
「最後にしていいのか」
「心のとこかで(拓真自身)やりたい気持ちもあるけど、限界を感じていた部分も伝わってきた。頑なに『もうやらない』みたいな感じだった。幼稚園から始めたボクシングを、ここでやめていいのか、最後にしていいのかという思いが自分はすごくありました」

 兄弟でそろってボクシングを始めた尚弥選手と拓真選手。25年の歳月に訪れた分岐点。

兄弟でそろって始めたボクシング
兄弟でそろって始めたボクシング

 敗戦から2カ月、拓真選手が出した答えは…。

「ここでやめたら後悔するなっていうのがやっぱり一番あったんで、しっかりやりきって、終わるならやりきって終わりたいっていうのは一番ですかね」
尚弥選手
「率直に嬉しかったですよ。自分たちの声が届いていた。バンタム級は自分が束ねていた階級ではあるし、それを手放した時に拓真がチャンピオンで統一してほしいって気持ちもありましたし、それはこれからでも遅くない」
那須川天心選手
那須川天心選手

 世界タイトルマッチでの復帰戦。さらに相手は那須川選手。デビュー7戦で世界へと駆け上がった超新星です。

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兄と父「家族の絆」

 大きな注目が集まるなかで、2年8カ月ぶりに兄弟での野外合宿を敢行しました。

2年8カ月ぶり兄弟での野外合宿
2年8カ月ぶり兄弟での野外合宿
拓真選手
「追い込みですね、最後までやり切る」
父 井上真吾トレーナー
父 井上真吾トレーナー
父 井上真吾トレーナー
「結局、色々な後悔もある。自分も実際に見てきて感じるものがある。後悔はしたくない。拓真がスイッチ入ったら、すごいんで」

 今回の合宿で取り組んだのは“心の鍛錬”。

真吾トレーナー
「一歩一歩気合入れるよ、気持ち入れるよ」
「気持ちよ、気持ち入れて」
「歩くな、歩くな。ここからよ、ここ大事、ここ大事」

 家族が結束し、何度も駆け上がった急階段。決して折れない心の強さを手に入れるために。

「なくてはならない存在」
「なくてはならない存在」
拓真選手
「本当にいるだけで心強い。家族で小さい時からやってきているので、なくてはならない存在。ボクシングやるうえで」
尚弥選手
「何が何でも勝ってもらいたいし、自分も12月に試合が決まってますけど、それはそっちのけで。井上家が一丸となって必ず勝ちを手にしなきゃいけない。チームとして勝ちに、そこにかけたい」

 どん底からの復活かけて。

「世界チャンピオンに戻りたい」
「世界チャンピオンに戻りたい」
拓真選手
「天心戦しか見ていない。その先は何も考えてない。ここで復帰してまた世界チャンピオンに戻りたいです」

WBC世界バンタム級世界王座決定戦へ

WBC世界バンタム級世界王座決定戦へ
WBC世界バンタム級世界王座決定戦へ
ヒロド歩美キャスター
「拓真選手にとって、前回の負けというのはかなり大きかったということで、それを経験できたことで今、自分は一番強いです言っていたとのことです。トレーナーも言っていましたが、『スイッチが入ったら拓真はすごい』と」
板倉朋希アナウンサー
「スイッチプラス井上家が完全バックアップしているという」
ヒロドキャスター
「兄弟の絆、家族の絆を感じました」
大越健介キャスター
「両方の選手に物語、ストーリーがありましたよね。やっぱり、あの偉大な兄と切磋琢磨する拓真選手とキックボクシングから転向してきた無敵の那須川選手ですから」
徳永有美アナウンサー
「人間、ずっと強く居続けるのは難しいですから、2カ月があったからこそ、今こうして頑張れるということなんでしょうね」

(「報道ステーション」2025年11月21日放送分より)

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