3ヤクルトの村上宗隆選手(25)のメジャー入りがついに決まりました。球団はシカゴ・ホワイトソックス。契約内容は2年総額およそ53億7200万円です。
ホワイトソックスでどんな活躍を見せてくれるのでしょうか?メジャーリーガーとしてカージナルスとフィリーズの2つの球団でワールドシリーズの制覇の経験もしている田口壮さんに聞きます。
本拠地シカゴ 移動や気候は?
元メジャーリーガーの田口壮さん
村上選手は契約期限ギリギリということでハラハラしましたが、無事決まりました。
「良かったです。期限ギリギリで決まって本当に良かったと思います。この期間で心がかなり揺れたと思う。いろんな契約がある中で、どこに行くんだろう、どこに行こうかという人生を自分で決める瞬間です。相当な覚悟を持ってホワイトソックスに決めたとなったと思います。その勇気にまず拍手です。この早い段階で球団を決められたということは、早い段階からトレーニングできるので。メリットばっかりだなと。これですっきりしてトレーニングに励めます」
日本人は年をまたぐのに特殊な感情があるので、12月中の遅い時期ですが、新たな気持ちで新年を迎えられるというのは?
「いいクリスマスになるでしょうし、いいお正月になるかなと思います」
1901年に球団創設のホワイトソックス
ホワイトソックスの球団創設は1901年。アメリカン・リーグ発足時と同じ年で、かなり歴史のある球団です。その中で過去3度、ワールドシリーズ制覇しています。
本拠地はシカゴです。緯度が北海道の函館とほぼ同じということで、寒い街ということです。
田口さんはメジャーの気候の違いだったり、移動距離が大きかったり、大変だということを経験されています。このシカゴが本拠地というのはどうなんでしょうか?
「移動に関しては中地区、比較的楽なんです。中地区だけだと移動距離、1時間半ぐらい。東に行くのに大体2時間、西に行くのに3時間ぐらい。5〜6時間の大移動というのは年間通して本当に少ない。そういう意味では、移動に関しては中地区は意外と楽なので、他の地区よりも体力的にはまず消耗しなくて済むかなと思います。気候に関しては春先、秋口は寒いです。シカゴは『ウィンディーシティー』と言われる街で、ミシガン湖からの風が吹いてくる。本当に強い風が吹くので、フォローの時は外野フライを高く上げたらスタンドまで行く。村上選手のパワーだとポンポン入っていくということはありますが、逆に風で届かないってこともあるかと。ただ、高く上がったホームランがいっぱい見られるんじゃないかなと思います」
2年53億円契約 どう見る?
では、ホワイトソックスの最近の成績を見ていきます。今シーズンは地区最下位、2年連続で地区最下位となりました。
さらには3年連続で100敗超えだったという数字もあります。ただ、メジャー登録40人の中でのチームの平均年齢が25.6歳。村上選手は25歳ですから、これから強くなっていく可能性を秘めているチームともいえます。
村上宗隆の契約内容
村上選手の契約内容を見ると、2年およそ53億7200万円ということで、これを単純に単年で見ると、チームで2番目の高さなんです。チームからのメッセージとも考えられます。
大金の契約ではあるのは間違いないですが、契約期間が2年になってます。そこも併せて契約内容について、どう見ていますか?
「ホワイトソックス自体がドジャースのように資金が潤沢にあるわけではない。そういう中で、複数年契約は出しづらいと思います。大型契約は提示しづらいと思う。そういうところで見ると、2年で53億円は結構なレギュラークラスの額なので、ホワイトソックスとしては今出せるギリギリぐらいを出してきたのではないか。チームとしては再建中なので、村上選手を中心としてやっていきたいという意思の表れではないかと思います」
一方で、村上選手にとってのメリットは?
「短期契約でもこれだけの契約をもらっているので、ある程度保証された、守られた立場でプレーができる。そうするとプレータイムが多くなってきますので、そういうメリットは必ずあると思います。ただ、2年契約というのが正直ちょっと短いかなと」
自身の経験からは?
「僕は最初3年契約で行ったんですけど、やっぱりアジャストするのが遅かったので。アジャストするのに2年かかって、3年目でメジャー定着してるんです。人それぞれにはなると思いますが、2年というのはちょっと短いかなと。ただ、この契約の額で保証されているプレータイムが保証されているので、そこはカバーできるかなと思います。楽しみに見たいです」
村上宗隆の三振率
心配な点はないのかというところで聞きたいのが、メジャーリーグの平均を上回る三振率。これが高いと言われていますが、メジャーに行って気にしたほうがいいのでしょうか?
「全く気にする必要はないですし、プレースタイルを変える必要は全くないと僕は思ってます。実は、大谷選手も三振が結構多い。ナショナル・リーグのホームラン王、シュワバーも三振かホームランかというバッターです。そういう選手たちがすごいバッター、スラッガーと言われていますので、村上選手もそういう形で僕は行けると思ってます。三振を気にする必要はないし、スタイルを変える必要もないです」
首位打者のタイトルを取ったこともあり、バットに当てる技術も本来持っている選手です。
「その中でやりながら何を感じて、ちょっとずつ変えていくことができるバッターだと思います。全く心配する必要はないと」
ポジションと打順は?助言も
村上宗隆の起用方法は?
現地メディアではポジションはファーストかという話も出ているようですが、起用方法はどうなると思いますか?
「若い選手が多くて、ホワイトソックスの戦い方を見ていると、ファーストとサードといろんなポジションで回している。現地ではファーストと言われていますが、おそらくチームを作りながら、みんなでポジションをファースト、サード、DHと回しながら、誰がどこに一番フィットするのかというパズルの組み合わせのようなことをやりながら、ポジションが決まっていくのではないかと。ただ、チームの中心であることは間違いないと思います」
打順は?
「おそらく、2番最強説で行くなら、2番に入ると思います。チームの方針ですが、2番から4番までのどこかな?という感じです」
若く今のところ勝率は低いが、伸びていくチーム。いろんな関係性を築きながら作っていくチームだとすれば、村上選手にとって悪い選択ではなかった?
「僕はいいチームだと思います。仲良くなって、今年のブルージェイズみたいなすごく仲の良い、結束力の強いチームに。年代が近いので、そうなっていく可能性のあるチームだと思うので、楽しみな球団です」
村上宗隆にアドバイスは?
メジャーリーガーの打者の先輩として、これから一歩を踏み出す村上選手にアドバイスをするとしたら、どういうところですか?
「僕はそんなにアドバイスできるようなことはしてないですけど…。1つ言えるのは、とにかく意思表示をしてほしいなと思います。自分はこうですとか、俺を使えとか俺を出せということをガンガン言っていくことが、許される世界なので。言わないと、むしろこの人は満足していますとみられるので、そこはしっかりと意思表示をして、意見があるなら言う、戦わせる。戦ったことによって別に相手は何も思わない。そういう部分は絶対必要になってくるので、そこぐらいじゃないですか。最初言われると、尻込みしちゃったりとか、黙ったりすることがあるんですけど」
田口さんもそうだったんですか?
「僕は行けなかったです、最初は。マイナーに落とされて、行けなくて。自分でコツコツと点取りをやってたら、監督は打率上げろって言うんですけど、そこで1回話をして。そんな考えがあるなら早く言えよとか、出してもらえないのに出してくれって言ったら、そんなことも早く言えって、お前の意思が分からないってよく言われて。それが1年目でした」
慎み深さは日本人の美徳であったりしますが、アメリカで活躍するには、かなぐり捨てて新しい村上選手を見せてほしい。
「ガンガン行ってほしいです」
(「報道ステーション」2025年12月22日放送分より)