23日、ミラノ・コルティナオリンピックに出場する、スキージャンプ女子代表4選手が会見を行いました。中でも注目は丸山希選手(27)。これまで優勝経験がなかった丸山選手は、今シーズン、ワールドカップで6勝を挙げている日本の新エースです。
「金メダルを取りたいと思って小さいころから練習を重ねてきたので、自分のパフォーマンスに集中することが結果につながるカギになると思っています」
そんな丸山選手が今シーズン大躍進を遂げた理由を松岡修造さんが取材しました。
空中姿勢に変化
「全員が思っていること言っていいですか。なんでオリンピックシーズンに急に強くなった?」
「私も不思議です」
「不思議ですか?その答えは?」
「4年前(けがで)歩けもしなかったので、4年後にこんなビッグプレゼントがもらえるとは思っていなかったです」
長野・野沢温泉村出身。小学4年生でジャンプを始めた丸山選手。前回の北京オリンピックを目指しますが、けがで代表にはなれませんでした。
そこから今シーズンどうやって強くなったのか。ナショナルトレーニングセンターで選手を分析する北翔大学・山本敬三教授は、丸山選手の空中姿勢に変化があったといいます。
山本教授
「これだけ劇的に変わるのはかなり珍しいです。一緒に見てみましょう」
昨シーズンと今シーズンを比較してみると…。
「頭の位置が全然違うのが分かります。これだけのことでも、大きく変わるんです」
「これは、風の抵抗を受けていないってことですか」
「頭が下がるほうが風の抵抗を受けにくいです。自転車に乗る時、風の強い時になるべく頭を下げていきますよね。ちょっと頭が上がるだけで風圧を受けます」
「足の裏3点」を意識
丸山選手はどうやって、この抵抗の少ない姿勢を身に付けたのか?きっかけになったのは、コーチの言葉でした。
「『足の裏を見直してみない?』ってコーチに(昨シーズン)言われて」
「この方を足の裏だと思ってください。今までの希さんはどこに乗せていました?」
「つま先。指をギュッとやりたい癖がある」
「意識が指先にいっていたんですね」
「(今は)足って言われて全体には乗っているんですけど、この母指球、小指球、かかとの3点を意識するようになった」
スキージャンプは、助走でスピードを生み出し、その勢いを落とさずに、踏み切る競技。時速はおよそ90キロ。踏み切り動作に使えるのは、およそ0.2秒。この一瞬でいかに力を伝えられるか。特に重要になるのが、足の裏のバランスだと言います。
丸山選手は、助走から踏み切りまで足の裏3点にバランスよく加重できるように春から夏にかけて、重点的にトレーニング。
丸山選手の足裏の変化を示すデータ。どの部分に力が入っているのか色で分かるようになっていますが、以前は踏み切りの際、つま先側に集中。今シーズンは、つま先からかかとまで全体的に力が入っています。このように足の裏の使い方が変わりました。
「氷の上で滑るので、つま先でキックしてしまうと何が起こるかというと、僕らの体は真上に立ち上がってしまいます。そうすると当然、風によってあおられて落ちてしまうということになります。ところが、足裏全体で押すことによって、前宙動作が生まれるんです。風に対してあおり返す力を作ることができるんです」
足の裏を使えるようになったことが、今の空中姿勢につながっていました。
“基本のキ”を学び「楽しくなった」
「ちょっと一ついいですか。僕もスキージャンプをずっと取材していて、足の裏全体を使うって初歩的なことなんじゃないですか?」
「『基本のキ』だと思います」
「希さんは基本をしていなかったので、今まで飛べていなかったんじゃないですか?」
「そうだと思います。『そんな簡単に結びついたのか』ってコーチにも夏に言われて」
「『基本のキ』が抜けていた時はどんな希さんだったんですか?」
「前までは、そんなにスキージャンプが楽しくなかった。足の裏への意識ができたから距離が出るようになったので楽しいってなった」
「基本のキのおかげじゃないですか?」
「そうですね(笑)」
丸山選手は、足の裏を意識することで、楽しいと感じるようになったと話しました。
「スローモーションに感じる」
もう一つ、「基本のキ」に集中することによって、驚くべき感覚を手に入れました。
「スローモーションに感じることは結構あります。90キロ出ているはずなのに、ゆっくりな世界に変わるというか。足の裏をずっと意識していられる感覚になる。ただただ飛んでいたのから、いろんなことを研ぎ澄ませられるようにはなったかなと思います」
「基本ってすごく大事だと思うんですけど、基本って10回早く言ってもらっていいですか」
「基本、基本、基本…」
「本気になるんですよ」
「そうですね。(笑)」
「やっと本気になれたっていう」
(2026年1月23日放送分より)









