5 日本の「ミスター・ラグビー」。最前線に立ち続ける男・リーチ マイケル選手。ニュージーランドから15歳で単身来日。まだ細身だった少年は、この地で大きな成長を遂げました。
日本代表キャプテンとして挑んだ、2015年のワールドカップでは、「ブライトンの奇跡」を起こし、2019年大会では、史上初のベスト8へと牽引(けんいん)しました。
数々の激闘を乗り越えたリーチ マイケル率いるブレイブブロッサムズ。日本ラグビーの救世主は、今、何を見据えているのでしょうか。
(聞き手:矢野武アナウンサー)
37歳でも最前線のワケ
王者・ブレイブルーパス東京にとっては開幕は、ワイルドナイツに大敗に驚きました。チームはどうだったのでしょうか。
「日本ラグビーの救世主」リーチ マイケル
「もう完全にパナソニックの強いディフェンスにやられて、一旦やばい、まずいなと思い。と思ったらその次の週からどんどん調子が戻ってきて」
そういうゲームがあったかと思うと、スピアーズに勝利したりと、すごいですよね。今シーズン。
「そうですね。はい。もう本当にもう上がったり下がってて。もうそういうシーズンかなと思います」
何が大切ですか?こういう時って。
「変にブレないことが大事ですね。自分たちの自信をもう一回取り戻すのもそうだし、あとはそこの接点のところ。その強さを取り戻して、あんまりネガティブに考えずに、こういう経験をプラスにしていきたいなと思います」
37歳でこれだけ最前線でやってるってすごいですね。
「やっぱ府中、東芝文化でもあるかもしれないですね。継続的にハードな練習したり、代表もずっとハードな練習してきてるから」
後ろにパネルがあるんですけど、リーチ選手改めて見てどうですか?
過去の試合は…
「懐かしいっすね、本当に。2011年。まだ社会人1年2年目ぐらいでの大会」
緊張のワールドカップ初出場
大学を卒業してそのままワールドカップ2011年大会に初出場しました。そのころは?
ワールドカップは「すごく緊張」
「すごく緊張した記憶があります。その時にはワーナー・ディアンズがまだ9歳だったんですよね」
「9歳のワーナー・ディアンズが今一緒にラグビーやってるって考えると本当にラグビーすごいなと思いました」
例えば田中史朗さんとか、堀江翔太さんとかがこのままじゃだめだと言って、スーパーラグビー出てきましたよね。どう見てましたか。
「本当に日本ラグビーにめちゃくちゃ良い影響を与えたかなと思います。そこを見てた子どもたち学生たちは、同じ道を行きたいという選手が増えたと思います」
あのスクラム判断は
「ブライトンの奇跡」と言われてる戦いは、「Beat The Boks」とボックス一発目で倒すぞって始めたんですよね。
「そうです」
まさに初戦でいきなり南アフリカを下し、ペナルティを相手が犯してペナルティゴールを狙えとエディー・ジョーンズさんは言いましたが、リーチさんが、「いやスクラムだ」と。どういう経緯でそうなったんですか?
「フォワード陣としゃべって。ルーク・トンプソンもいて真壁選手もいて、木津選手もいてやっぱスクラム狙って。バックスは『えっ?』てなってたけど」
「五郎丸さんがえ?スクラム?って」
誰かがこう決めたのではなく、フォワードは皆そういう気持ちだった?
「そうですね。もうショットじゃないでしょ、みたいな雰囲気ありました」
本当に日本ラグビーがこれ変わりました。
「やっぱ世界からリスペクトもだいぶ変わってるし、あとは今まで負けるイメージの日本が、やれば勝てるんだっていうマインドに変わりました」
「注目度が上がった」
2019年の日本大会リーチ選手が一番覚えてる瞬間は?
史上初ベスト8に進出
「台風もあったし、19年のスコットランドに勝って。ファンの声だったり顔とか。自分たちのチームメイトが喜んでる姿。それが一番記憶に残ってます」
スコットランド戦はできるかどうか、ギリギリまで分からなかったですね。
「ジェイミーのリーダーシップがものすごく良くて。試合をやるかやらないか、スコットランド側がもう中止しろとか言っても、ジェイミーは当時、1週間一貫性持ってもう月曜日から試合までの流れを変えずにやりますとか、そういうリーダーシップをすごく感じましたね」
史上初ベスト8に進みました。ワンチームも流行語大賞になったりとか。丸の内でのパレードで5万人のお客さんが集まりました。
「だんだんラグビーの注目度が上がったのを感じました」
2大会連続で強豪を撃破 そして迎えた4大会目・フランス大会
決勝トーナメント行けなかったですが、ジャパンのベースが上がりましたよね。
「日本が甘く見られなくなってきた」
「ベースは上がってますし、あとはやっぱ周りから日本が甘く見られなくなってきたっていうのも感じましたね」
4大会15年間でリーチ選手のラグビーに対する考えは変わりましたか。
「いや変わってないですね。もちろん15年の南アフリカに勝ったのが大きいし、それを見て日本代表になりたいという選手もいたし、19年もそう。だから日本代表やっぱり常に憧れのチームにしたいなと思ってます」
「シーズンもリーグワンもやりながら、代表。間にキャンプ入ったり。またキャンプが長い」
ご家族は大丈夫ですか?
「ノーコメント。やっぱ最初は大変でしたね。長くいないし、子どもを2人も置いて、ワンオペで。娘が12歳のお誕生日11月なんで家にいないことが多いです。」
「だから11月になると、そういう大変さは、いない分やっぱ感じますね。今となって子どもたちに聞くとやっぱ代表で頑張って欲しいっていう。お父さん見たいっていうものがあると、頑張りたいなと思います」
「いい相手」の3カ国
リーチ選手がまだ実は100キャップ(100試合出場)になっていないのが不思議です。これだけワールドカップに出てて。今年中ですよね?
「今年選ばれて、試合積んでいけば100いきます」
今年はワールドカップイヤーの前年です。どういうことが大切になりますか?
ワールドカップに向けて
「1年目と2年目の差がものすごくあって今新しい選手を入れたりして。新しいラグビーやろうとしてるところ。で、2年目になると大体形でできてあとは今シーズンは結果にこだわって、結果にどれだけこだわってやれるかが自信につながっていくと思います」
日本の選手で5大会出た人はいません。過去5度ワールドカップ出場したのがサモアのブライアン・リマ(1991年〜)。イタリアのマウロ・ベルガマスコ(1999年〜)とセルジョ・パリッセ(2003年〜)。3人だけだそうです。
「5大会は、長いですね。本当に。2019年で終わりだと思ってたんで」
「23年まで行けて23年がもう終わりだと思ったら今度24年からずっと代表やったりして、奥さんからしたらもう諦めてます」
順番も決まりました。10月3日が2027年のサモア戦、10月9日がフランス、10月15日がアメリカ戦。この3カ国についていかがですか?
「またサモアとやるし。フランスは僕は第1回目のワールドカップ11年の時に戦っている。日本代表にとってはもうすごくいい相手かなと思いますね」
改めて、2015年のエディー・ジョーンズさんと今のエディーさんは変わりました?
「変わってないですよ」
話を聞くと優しくなったと聞きますが…。
「元々優しい方。普通にしゃべってて。本質は変わってないです。やっぱりラグビーに対する熱は日本勝たせたいっていう熱意は変わってないんですよ。今以上にやっぱ若い選手どれだけ育てるかっていうのが変わったかなと思います。今総入れ替えの時。だいぶ変わったりしてて。新しい日本代表、すごく楽しみにしてます」
リーチ マイケルの未来
去年、おととしも含めて、面白い選手は?
「藤原忍選手と江良颯選手。藤原選手も早いしテンポも速くて、江良選手も体の強さ。勝ちたいっていう欲は感じる選手です。そういう選手を見ると、自信をたくさんもらいます。そういう立ち方とか振る舞いが」
若い選手は「わ!リーチさんだ」って物怖じしたりすることないですか?
「びびったりしないですね。でも最初のころはギャップがありすぎて近づくまでは時間は少しかかりますね」
例えば矢崎由高選手と何を話すんですか?
若い選手とも話す
「単位の話とか、授業とか。あと各選手の1週間の練習とかもスケジュールとか聞いたり。今の若い人が面白いと思う動画を見せられると全然面白さを感じない。何が面白いのこれっていう。つらいっすね。それが」
約14年前、リーチ選手は「あなたにとってラグビーとは?」という質問にこのように話していました。
「僕の場合だったら多分ラグビーって自分の命だと思いますね。ラグビーがなかったら多分何やってるか分からないですよね。ラグビーがあるから色々友達ができたり、あちこち海外行ったり、仕事にもなってるから。僕にとってはラグビーは自分の命みたいなものですね」
今はいかがですか。
今は「バランスを取りながら」
「長くやってきた仕事でもあるし、仕事からパッションのバランスが難しくて。パッションの方にすると、ものすごく良くなるんですよね。仕事として考えると、良さがあまりでてない、ナチュラルさが出ない。だからバランスを取りながらやってきてます」
ラグビーの未来、リーチ選手はどのように関わっていきたいですか。リーチ選手の役割は?
「ニュージーランド代表(オールブラックス)に勝ちたいっていうのは次の大会でもいいし、いつか日本代表がオールブラックスに勝つっていうのは僕の夢です。日本代表がいつか、オールブラックスに勝つのもそうだし、ワールドカップがもう一回日本にきて、優勝狙えるチームにしたいなと思います。日本ラグビーの強さを感じたのを経験しているので、ずっと継続的に上の方を目指して頑張ってほしいし、自分も頑張りたいなと思います」
リーチ選手を応援してくれていたファンにぜひメッセージをお願いします。
「トップ目指して頑張り続けたい」
「日本の選手も女子もコーチも海外のスーパースターでも、いろんな選手に取材して、一人ひとりのストーリーを、皆さんに届けられたことがすごくうれしいです。これから僕は37歳、38歳。そして来年大会にでれば39歳になります。僕は、トップ目指して頑張り続けたいと思っています。引き続き応援よろしくお願いします」
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