世界で年間13億トン以上!“食品ロス問題”[2020/12/14 23:16]

 まだ食べられるのに捨てられる食品、いわゆる「食品ロス」。その量は世界中で年間13億トンを超えている一方で、世界ではいまだ11人に1人が飢餓に苦しんでいるのに…。
 そんな食品ロスは当然、日本でも。やってきたのは神奈川県のとある工場。見た目はごく普通の工場ですが、ここでは食品メーカーやスーパーなどから発生した食品廃棄物を受け入れています。
 廃棄物を一般的に処理する方法は焼却。そんな処理方法もまた、食品ロスが起こす社会問題とつながっているのです。食べ物の焼却処理で発生する二酸化炭素が地球温暖化を引き起こす要因の一つとされるなど、食品ロスは世界規模の異常気象をも巻き起こしているのです。
 こちらの工場には、お弁当のおかずや果物、麺などありとあらゆる食品が届きます。取材を行ったのは12月10日でしたが、よく見ると、消費期限内のものが。
 日本フードエコロジーセンター・高橋巧一代表取締役:「この辺の袋入りのパンなんかもあすまで消費期限がありますので本当に今すぐ食べても問題ないようなパンですね」「(Q.なぜ期限前のものが届くのですか?)お店の方で賞味期限切れのものを置いておくことで消費者からクレームが入ってしまうわけですね。ペナルティーになってしまいますので、(期限が)切れる前に(廃棄に)出してしまう」
 賞味期限とはおいしく食べることができる期間。消費期限は安全に食べられる期間を示すもの。期限が近付くと売れにくくなり、店としては廃棄せざるを得ないのだそう。そこで、工場では受け入れた廃棄食品のすべてを豚の餌(えさ)に加工。その餌で育てたものを「ブランド豚」に認証し、また加工して店に戻す、という循環を行っています。
 まだ食べられるのに捨てられる食品ロス。その量は日本では1年間に600万トン以上にも。この工場のような有効利用は、ごく一部なのです。
 東京・日本橋にあるパン屋「BOUL’ANGE」。シェフの矢澤さんも長年、パンの売れ残りに頭を抱えていました。
 BOUL’ANGE日本橋・矢澤央シェフ:「生地のタネから作るので(パンを)作るのに3日間かかります。コロナ禍になってからは前日の感染者数などによって来店客数もかなり大きく変動していくので、(パンの)数を決めていくというのは非常に難しくなってきました」
 さらに、新型コロナの影響で販売数がより一層読みづらくなり、食品ロスが増加。売れ残りを加工し、翌日に販売できる商品もありますが、それでも、ひと月に30キロほどの廃棄が出る毎日。
 原料である小麦粉を作る農家や加工メーカー、大勢の人の思いが詰まったパンを捨てたくない。そこで矢澤さんが利用したのが「TABETE」というサービス。廃棄が予想される商品を値引きしてアプリに出品。ユーザーは定価よりも安く商品を購入でき、お店も商品を廃棄することなく、売り上げアップにもつながる一石三鳥な取り組みです。この日は、通常1680円するパンの詰め合わせを680円にしてアプリ内で出品。購入者は、会社帰りなどで品物をピックアップするというのです。
 この日は廃棄が見込まれていたパン50個すべてを売り切ることができました。平均30キロほどあった廃棄も、アプリ利用後は10キロほどに減ったといいます。

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