スマホ参入 体験と常識を疑うバルミューダ独自戦略[2021/12/10 23:30]

スタイリッシュなデザインで、急成長を続ける家電メーカー『バルミューダ』が先月、群雄割拠のスマホ事業への参入を発表しました。

寺尾玄社長:「今の世の中のスマートフォンが、あまりにも画一的になっている。誰もやってくれない、自分たちでやろう」

画面サイズは4.9インチと小さく、カメラやCPUなど、他社が性能でしのぎを削る部分は、敢えてスペックを抑えたものとなっています。発売後、賛否両方の声が上がっていますが、仕掛け人である寺尾玄社長は、こう話します。

寺尾玄社長:「(Q.この機能でこの値段っていう声が少なからずあります)スペック的な話から見ると(価格は)少し高めだと思いますが、スペックではなく、体験を販売する。体験を買って頂きたい。結局、画面の中で起きることが、スマホ体験の8〜9割を占める。普段使うアプリがとても重要で、スマホの使い心地に直結する」

力を入れたというオリジナルアプリ。メモやスケジュールなど、視覚的に得られる使い心地を重視したといいます。

寺尾玄社長:「(Q.勝機はある)むしろiPhoneの支配的な状態が、私にとってはチャンスだと思った。常識というのが、大嫌いなんです」

寺尾さんの経歴は、極めて異端です。17歳で高校を中退し、海外を放浪。帰国後、ミュージシャンとして活動した後、設計やデザインを独学。30歳でバルミューダを立ち上げました。

そんな寺尾さんが意識しているのが“常識を疑う”ことです。

寺尾玄社長:「一般的な常識から、どうやって違いをつくるか。悪く言うと“常識を利用”させてもらう。扇風機もそう。モーターが発明された瞬間に発明された。スクリューつけて『うぉ風が出る』と。一瞬で発明されたもので、100年以上あの形です。涼しさを提供するというふれ込みだが、今の扇風機は(涼しさを)提供していないのではと」

それまでの扇風機の常識は、羽が回り、直線的な風を送っていたのに対し、バルミューダの扇風機は、羽を二重にし、風と風がぶつかり、自然のそよ風のような柔らかな風を作り出しました。

他にも、ライトで影ができるという常識を疑い作られた、影ができない学習ライトなど、常識を疑い、体験を売りにする戦略で、一時倒産の危機に追い込まれながら、新進気鋭として注目を浴びる家電メーカーへとのし上がりました。

そして、先月、東京・青山に、初となる旗艦店をオープンさせました。オンラインストアでしか買えなかったものを含め、販売中の全商品に触れることができる世界唯一の場所だといいます。

常識を疑い“体験”という付加価値をつけることで成長してきたバルミューダ。今回、参入したスマホ事業の先に、どんな未来を描いているのでしょうか。

寺尾玄社長:「直ちにマンモスを撃ち倒せるとは全く思っていません。ただ、平原に立って走り出すことは、非常に重要だと思う。これは第1弾です。ここから恐らく、新モデル展開や全然違う画面サイズのデバイスもリリース。アプリも作り、ウェブサービスなども色々と企画している。それらも、ここ数年で我々が起こす行動というのも途中だと私は思っています」

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