「魔法のマシン」外国人が殺到…“レトロ自販機のテーマパーク” 世界の自販機事情も
スーパーJチャンネル
[2024/03/02 11:00]
外国人観光客を魅了する、ニッポンの自動販売機。昭和に製造された100台以上のレトロな自販機がずらりと並ぶ名物スポットにも今、外国人観光客が殺到しています。さらに追跡すると、世界には日本にない驚きの自販機が次々と…。日本も海外もすごい!古くて新しい、世にも不思議な自動販売機の世界を追跡しました。
■外国人が殺到“レトロ自販機のテーマパーク”
神奈川県の相模原市にある、昭和に製造された貴重な自販機が並ぶ“レトロ自販機のテーマパーク”。アクセスがちょっと不便な場所にもかかわらず、今や世界中から観光客が押し寄せています。
「(Q.どこから来たのですか?)ブラジルからだよ。どの自販機にしようか、どれを食べようか迷っている。選択肢が多すぎるからね」
この場所の魅力は、なんといっても圧巻の品ぞろえ。全長は、およそ100メートルです。変わり種の自販機も並び、その数なんと112台もありました。
ブラジルからやってきた男性がチョイスしたのは、懐かしの瓶入りコーラです。
「ベリーグッド。今は、ほとんどがペットボトル。ガラスの瓶の方が、味もおいしく感じる」
その感覚は、日本人も同じように感じる人が多いかもしれません。
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■「読めない」けど…買える? 戸惑う人も■「読めない」けど…買える? 戸惑う人も
「インターネットでこの場所を知った。こんなにたくさんの自販機、世界のどこにもない。3年前からずっと来たかったんだけど、なかなか来られなくて、念願かなってようやく来られた」
インターネットで知り、ぜひ食べてみたかったというのが、この自販機のハムチーズトースト。自販機の中で250℃に加熱され、わずか40秒でアツアツのトーストが完成します。念願のトーストのお味はいかがでしょう?
「おいしいわ!でも…チーズじゃないボタンを押したみたい。これはツナ」
まさかのミスタッチ。ツナトーストのボタンを押していました。
「でも悪くない」
結果オーライ。でも、古い自販機のため、英語の表記がないものがほとんどで、戸惑う外国人もいます。
「どうやったら買える飲み物が分かる?」
「じゃあこれは売り切れ?もう覚えたよ」
さらに、つり銭切れランプの説明に苦労します。
「つり銭切れランプ難しい、なんて言うんだろう。つり銭がないからちょうど入れたらいける。180ジャスト、オーケーでも200…」
「多いんだね」
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■熱々のハンバーガーに驚き「魔法のマシン」■熱々のハンバーガーに驚き「魔法のマシン」
アメリカからやって来たデビッドさんとジェイミーさんカップル。
「(Q.この場所はどうやって知った?)友人のチャールズが、動画を送ってくれた」
「ありがとう、チャールズ」
「ありがとうチャールズ。動画を見て『ワォ!これは見に行かないと』って。古そうなマシンがちゃんと動くのか…」
日本の古い自販機に興味津々の2人が目を付けたのは、52年前に製造されたハンバーガーの自販機です。
「これを見てくれ!カウントダウンしているぞ」
「私たちのバーガーよ!カワイイ」
「温かいの?」
「えぇ、さわってみて」
「おぉ、熱いね」
熱々のハンバーガーが、信じられない様子です。
「アメリカには温かいモノが買える自販機はない。ホットコーヒーも買えない」
「こんなに古いマシンが今も動いているなんてスゴい」
「まさに魔法だ。しかも、屋内じゃなくて外に置いてある」
さらに、30年以上前に製造された2分ほどで熱々ポップコーンが出来上がる自販機には…。
「音楽までかかるのね」
「ベイビーほらどうぞ、これはかなり超熱いぞ」
「ポップコーンができたわ」
「ここはスゴい場所で、歩いて見て回れる博物館みたい。本当に素晴らしい」
そんな2人が最後に興味を持ったのは、ちょっと意外な自販機でした。
「(ジャパニーズおみくじ)オミクジ?」
そう、1回100円でできるおみくじもあるのです。
「びっしり書いてあるぞ」
果たして、運勢は…?
「まったく読めないよ」
ちなみに「末吉」でした。取材班が、その意味を説明しました。
「小さなラッキー、ほとんどアンラッキーみたいだな」
「オーノー!」
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■世界の自販機事情 各国ならではの事情■世界の自販機事情 各国ならではの事情
外国人を魅了するのは、昭和のレトロな自販機だけではありません。
「ニッポンの自販機は、間違いなく世界の最先端」
「ホットとコールド、どちらも買える自販機を見つけて『えっ!マジかよ!』って思った。温かい飲み物が買えるなんて、珍しい」
「僕らの国も日本の自販機がほしい。超便利だし、安いし、どこにでもあるから」
そういわれると気になるのは、海外にはどんな自販機があるのか。追跡すると、それぞれの国ならではの事情が見えてきました。
「ドイツでは自販機でソーセージを売っているよ」
ドイツの住宅街の路上にある自販機。そこには、確かにソーセージだけでなくタマゴ、さらにソースなど、ちょっとした売店のようなラインナップです。これには、ドイツならではのワケがあるそうです。
「ドイツにはコンビニがないです。ドイツで夜働くことは法律的に難しい。だから店員さんがいなくて自販機だけ」
午後8時から翌朝6時までの労働が原則禁止されているドイツにはコンビニがなく、それを補う品ぞろえの自販機が増えているといいます。
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■アメリカではカップケーキや自動車も!?■アメリカではカップケーキや自動車も!?
こちらは、アメリカからやってきたカップル。
「アメリカには、カップケーキの自販機」
アメリカのカップケーキ専門店が設置しているという、タッチパネル式で電子決済に対応したハイテクな自販機。撮影者によると、ニューヨークでは、夜食にカップケーキを食べる人も多く、24時間購入できる自販機は人気なんだとか。
さらに、なんともアメリカらしいスケールの大きな自販機があるとの情報がありました。
「自動車の自販機がある」
なんと車の自販機!?中古車販売会社が設置した、8階建ての巨大な“自販機”。専用サイトで車を選び、代金を事前に決済するともらえるコイン。それを“自販機”に入れると、車が自動的に取り出し口へ。そのまま乗って帰ることができるといいます。
「実際にこの“自販機”で車を買った人は周りにはいない」
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■値段が変化する自販機 カナダ■値段が変化する自販機 カナダ
突然ですが、「海外自販機クイズ」。
「僕の国には、日によって値段が変わる自販機がある」
カナダに売っている値段が変化するという自販機。一体、何を売っているか分かりますか?
「平日は75セントか1ドル、週末は1ドル50セントか2ドルくらいかな」
週末は、“分厚く”なるから高くなるもの。皆さん、もうお分かりですか?
正解は、新聞の自販機です。
「週末版はページ数が多いから高くなる」
日本にもありますが、値段は毎日同じです。
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■始まりは客へのサービス精神 新商品開発も■始まりは客へのサービス精神 新商品開発も
海外からも大勢のお客さんでにぎわう、“レトロ自販機のテーマパーク”。
「(Q.海外からのお客さんが増えて心境は?)やっぱりうれしいですよね。年配の方から子どもまで楽しめるようにしているので、さらに海外の方がびっくりしながら買っているのをみると楽しい」
仕掛け人の齋藤さんの本業は、隣にある中古タイヤ店の社長です。
「本業でタイヤ交換している間お客さんを待たせちゃう。その時に食べ物とか楽しめればと数台設置した。思いのほか、みんな喜んでくれて、調子に乗って増やしたらこんなに…」
始まりは、お客さんへのサービス精神。齋藤さんは、ネットオークションなどでレトロ自販機を購入しては、技術屋の腕を生かして自ら修理。その数をどんどん増やし、いまや世界にまでその名がとどろくほど評判になりました。
大量の自販機グルメも、自ら手作りしています。
「忙しくて考えている暇もないから、とにかくやるしかない」
お客さんが増えすぎ、売り切れたら申し訳ないと、今やタイヤ店のスタッフや知り合いに声を掛け、仕込みに総動員しています。
「(Q.お兄さんタイヤ屋さん…?)なんでも屋さんです」
急増する外国人客をもっと喜ばせたいと、齋藤さんは新商品開発も進めていました。
「手作りのお弁当なんですけど、買うと温かい状態で出てくる。古い機械からお弁当出てきたら『えっ!?』…」
それは、齋藤さんが初めて挑戦する、手作りのお弁当。メイン食材は、沖縄から取り寄せたブランドの豚肉にこだわります。
「最初フライパンでやったけど、どうもうまくいかないので、ちゃんとした鉄板で焼いた方がいいんじゃないかと…」
「(Q.急きょ新調したもの?おいくら?)8万円ですね」
「(Q.本職って?)タイヤ屋さんですよ」
試作はおよそ100回、30万円以上を費やして完成させた、昭和をイメージしたハンバーグ弁当。
「海外の方も楽しめるようにしたい」
進化が止まらないニッポンの自販機が、きょうも世界に笑顔と驚きを届けています。