住みたい街ランキングに異変　“都心”億ション好調も　子育て世代は「東京脱出」

　最新の『住みたい街ランキング』が発表され、1位が横浜、2位が大宮となり、初めて1位と2位を東京以外の町が占めました。都心の1億円を超えるマンションの売れ行きが好調な一方で、東京から転出する子育て世帯が増加しています。

■「住みたい街ランキング」に異変

　首都圏版の2024年の住みたい街ランキングです。1位 横浜、2位 大宮、3位 吉祥寺、4位 恵比寿、5位 新宿と、東京勢が初めて3位以下になりました。

東京勢が1位2位逃す

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　横浜の人気が高い理由です。企業や企業の研究施設、文化娯楽施設、大型商業施設が充実していることも理由です。

横浜人気 施設が充実

　続いて、2位の大宮です。新幹線の停車駅で、交通アクセスがよく、大型商業施設も充実していることが理由の1つです。

大宮も人気

　住宅情報サイト『SUUMO』の池本編集長によると、「横浜と大宮は、商業施設や飲食街、公園、ライブスポットなど、東京都心の魅力が直径2キロ圏内に凝縮された『コンパクト東京』。一方で、東京都心よりも家賃が低いので多くの支持を集めている」ということです。

家賃が安く支持

■新築マンション 東京23区で平均1億円超

　東京23区の2023年の新築分譲マンションの価格です。平均価格は1億1483万円、前の年と比べて39.4％アップで、初めて1億円を超えました。

新築分譲マンション価格

　中古マンションは、2024年1月時点、70平方メートルで、東京23区の平均価格が7185万円、前の年の同じ月と比べて3.5％アップです。千代田区・中央区・港区・新宿区・文京区・渋谷区の都心6区では、平均価格が1億1138万円、前の年の同じ月と比べて、11.8％アップです。

中古マンション価格

　賃貸物件は、2023年12月時点、東京23区で2DK以上のファミリー向けの部屋で、平均月19万2662円、前の年の同じ月と比べて、16.6％のアップです。1ルームなどシングル向けの部屋も平均で月9万4694円と、前の年の同じ月と比べて、5.6％アップです。

賃貸物件の家賃

■“億ション” 売れ行き好調　背景は

　価格が上がっているなかでも、マンションの売れ行きは好調ということです。

　2025年完成予定の新築マンションです。東京・新宿区の『オープンレジデンシア神楽坂プレイス』、2025年8月下旬に完成予定です。地上5階地下1階、総戸数64戸。東京メトロ東西線の『神楽坂』駅から徒歩7分、有楽町線の『江戸川橋』駅から徒歩3分です。

完成予定の新築マンション

　価格は、約65平方メートル〜75平方メートルの3LDKで、約1億2500万円〜1億4500万円ですが、半分以上がすでに成約済みということです。

半分以上が成約済み

　販売会社の担当者によると、「購入者の多くは、都心に勤務する共働き家庭で、世帯年収が1500万円から3000万円くらいの“パワーカップル”」ということです。

購入者の多くはパワーカップル

　“億ション”を買う人は、他にもいます。外国人資産家です。

　都内の高級マンションを扱う不動産会社の社長は、「海外から毎日マンション購入の相談がきていて、コロナ前と比べると2、3倍くらい。その8割が投資目的。最近ではアジア圏だけでなく、欧米やインド・ドバイからも問い合わせがきている」と話しています。

外国人資産家が購入

　なかにはこんな買い方をする人がいます。この不動産会社では、1棟あたり10億円から20億円の物件を1棟丸ごと購入する顧客がいるということです。

1棟丸ごと購入

　他にも、半数が実際に現地で内見せずに購入、なかには1棟50億円の物件を日本に来ないで買った顧客もいるということです。

内見せずに購入

　なぜ外国人の資産家に人気なのでしょうか。円安の影響、そして海外の主要都市と比べて不動産価格が割安という理由です。

人気の理由

　例えば、同じタイプ3LDKの部屋で、東京・港区で約2億1000万円が、香港の中心部では約9億円するということです。

同じタイプの部屋でも

　この不動産会社の社長は、「円安や価格以外にも、新型コロナの感染拡大が落ち着いて、観光業などの回復も見えてきたので、日本への期待感が投資を呼び込んでいる。あと数年は、日本の不動産人気が続くのではないか」と話しています。

数年は日本の不動産人気か

■止まらない高騰…子育て世代は「東京脱出」

　都内のマンション価格高騰を受け、東京を出て、首都圏近郊に移る子育て世代が増えています。2月、内閣府が発表した報告書です。
「都内のファミリー向けの住宅価格が高くなり、子育て世代が住宅価格や賃料の低い首都圏近郊に向かっている」ということです。

内閣府の報告書

　実際に、東京と神奈川、埼玉、千葉、の首都圏3県との間で、東京に転入した人と東京から転出した人を年代別に見てみると、25〜44歳の親世代と、その子どもに当たる0〜14歳の東京からの転出が多くなっています。

首都圏3県への流出増

　実際に、東京を離れた方の例です。育休中の40代女性。都内で働く夫と1歳の子どもの3人で暮らしています。以前の住まいは渋谷区にある1LDKの賃貸マンションで、家賃は約15万円でしたが、出産をきっかけに広い部屋に引っ越すことを検討しました。

東京を離れた女性

　都内の物件を検討しましたが、条件に合う物件見つからず、2023年、都心に近い埼玉県川口市のマンションを購入しました。現在の住まいは、川口駅近くの築3年3LDKマンションで、購入価格は約6000万円です。

都心に近いマンションを購入

　40代の女性は、「都内で同様の物件なら、1億円はすると思う。今は周囲に公園も多く、子どもの遊び場に困らない。都心へのアクセスも非常によく、東京駅まで30分ぐらい。引っ越して満足している」と話しています。

引っ越しに満足

　他にもこんな声もあります。20代女性、夫と子どもの3人で、都内の賃貸マンションに住んでいます。
「都心のマンションは高すぎて購入できない。1億円出すお金があったら、子どもの学費など別のことに使う。もしマンション買うなら、23区は（金銭的に）きついので、神奈川や千葉にする」

夫と子どもの3人で都内に住む女性

　ネットの声です。
「住居費など生活費の高い東京では、2人目3人目は難しい」
「都心は家賃が高いから、広さは諦めた。（子どもも）2人目はあきらめた」

ネットの声

　内閣府の報告書でも、「希望よりも狭い都心の住宅を取得せざるを得なかった世帯は、2人目3人目の子どもを諦める可能性もある。結果、中長期的に出生率の低下につながる可能性がある」と指摘されています。

内閣府の報告書

■都内にはまだ穴場も！コスパ良く支援充実の街は

　都内で、穴場だと言われている街です。首都圏内の穴場な街ランキング、1位は北千住です。

穴場な街1位に「北千住」

　理由1つ目は、交通の利便性です。

　北千住駅は、JR常磐線、東京メトロ、つくばエクスプレスなど5路線が通っていて、上野に9分、東京に19分で、乗り換えなしで行けます。

交通の利便性

　理由2つ目は、住居費の安さです。

　シングル向けの賃貸では、北千住は7万8000円。一方で、新宿12万1000円、渋谷12万9000円です。カップル・ファミリー向けの賃貸では、北千住は14万7000円ですが、新宿24万6000円、渋谷28万9000円です。

住居費の安さ

　理由3つ目は、駅近に便利なお店や飲食店が多いことです。北千住駅の近くには、大型商業施設や商店街、飲食店街があります。

駅近のお店・飲食店

　駅の近くには、唐揚げ弁当が330円、シュウマイ1個40円の惣菜店、ロールケーキの切れ端詰め合わせが250円からなどの訳ありスイーツを特別価格で安く販売しているお店があります。

駅の近くには

街の声です。

北千住に住む、2人の子どもを持つお母さんです。
「スーパーや商店街で、安く惣菜やスイーツが売られていて、コスパが良い」

北千住で物件を探す20代女性です。
「北千住駅は、勤務地まで乗り換えなしで行けるし、始発駅なので座って行ける」

街の声

　さらに、北千住がある足立区では、2023年度から子育て世帯向けの支援を拡充しています。具体的には、区内の保育園に通う2歳児への保育料の補助額を月額上限3500円から3万3000円に増額したり、区立の小中学校の給食費を無償化したりしています。

足立区の子育て支援

（「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年3月6日放送分より）