連日続く猛暑が家計にも影響を与えています。食費などが高騰する「猛暑インフレ」によって、月に2万5000円負担が増える試算も出ています。
酷暑で食料品など価格高騰
列島は19日も危険な暑さ。東京都心は2日連続で猛暑日に。全国で猛暑日は150地点を超えました。
その暑さが、じわじわと私たちの食卓に影を落としています。
柏村祐氏
「“猛暑インフレ”が起きている。猛暑が続く限り家計の負担に」
暑さによる値上がり“猛暑インフレ”。
「(夏野菜の)オールスターがダメになってる」
一体、何が起きているのでしょうか?向かったのは東京・立川市の農園。深刻な事態が起きていました。
「40℃以上になると作物も耐えられなくて、カピカピに…」
無残に変わり果てたキュウリ。さらに…。
「枯れてボロボロです」
ナスも猛暑の直撃を受けていました。
「地中の温度が50℃以上に。栄養が行きわたらなくなり、(実が)落ちたり木が枯れてしまったりする」
収穫量は例年より4割ほど落ち込み、わずかに収穫できた野菜を出荷しています。
「これだけ収穫ができないと2〜3割は値上がりするのでは」
実際に、夏野菜の卸売価格は高騰。今月上旬、トマトやピーマンは平年より2割から4割高くなっています。さらに卵も去年より4割近く値上がりしています。
「猛暑インフレ」月2.5万円増?
その影響が直撃しているのが飲食店です。この時期、食べたくなる冷やし中華。
「(冷やし中華の)トマトは大体1切れなのに3切れ入ってる」
冷たくしめた麺にたっぷりのキュウリ。分厚い串切りトマトは3個。仕上げのふんわり卵はオムレツ並みのボリュームです。そのどれもが高騰しています。
「(仕入れ額は)10万までいかないが、7〜8万円は高くなっている。1カ月」
仕入れ値はキュウリがおよそ3倍、トマトはおよそ2倍、そして卵はおよそ1.5倍に。
チャーハンには、惜しみなく卵を使っていますが、コストは倍近くに跳ね上がりました。
高騰の背景は鶏の夏バテ。卵を産む数が減り、小さいサイズも目立ちます。
この店に10年通う客は…。
「めっちゃおいしい。毎週火曜日はもうここ。オムチャーハンを頼む。卵ちょっと高くなった。(1品で)1週間分の卵を使っている」
それでも、店は値上げせず踏ん張っています。
「やりくりはなかなか大変。我慢するしかない」
「猛暑インフレ」は最大でどのくらい家計に影響するのでしょうか?
「月額1万3000円〜2万5000円上がる試算」
一般家庭で、食費は月8000円から1万5000円。電気・ガス代は5000円から1万円増えるとされています。最大で月に2万5000円負担が増えることになります。
「8月に入り40℃超の日が続いた。渇水や局地的な豪雨が発生。猛暑が続く限り家計の負担につながる」
日本の食卓に“トランプ効果”
しかしその一方で、安さで注目される野菜もあります。
「珍しい。パンっと下がった」
その背景には、この人の存在が…。トランプ効果が日本の食卓に思わぬ恩恵を与えていました。
「中国産ニンニク。6月くらいから(仕入れ値が)100円以上下がりました」
中国産のニンニクの仕入れ値は100円以上ダウン。財務省の統計でも、輸入価格はおよそ2割下がっています。
「(中国産)ニンニクは買います。理由は安いから。どんな料理にも入れやすい」
なぜ、そこまで安くなっているのでしょうか?
「恐らく中国とアメリカの貿易摩擦。“トランプ関税”の影響。今まで中国産のニンニクがアメリカに輸出されていたが、アメリカに行かなくなった分日本に入ってきている」
アメリカと中国の関税を巡る貿易摩擦。アメリカに輸出されるはずの中国産のニンニクが行き場を失い、日本に安く入ってきているといいます。
喜んでいるのは、中国産のニンニクをたっぷり使った麻婆豆腐が自慢の中華料理店。
「ニンニクに関しては遠慮なく使える。素直にうれしい。軒並み(値段が)上がっているので、何か1つでも下がってくれるのはありがたい」
多い時は、1日1キロ使うことも。
「(Q.高い時はいくら)1キロで、だいたい750円」
「(Q.今は)今650円くらい」
「今の中国産って本当にいい。粒も立派に大きくなって味も香りもしっかり強く出ている」
「お店の人が身を削って価格を維持しているよりは、お互いに利益が出て、おいしく食べられてただうれしいなと」