習慣化は「意志」や「根性」だけで決まるものなのか。それとも、誰でも試せる“あるコツ”があるのか…。街の声を手掛かりに、続かない悩みの正体に迫ります。
習慣化を左右する“コツ”とは?
「習慣化っていうと、強い意志とか根性とか努力みたいなものが必要だと思われるじゃないですか。でも実は、ちょっとした原理とコツさえ掴めば誰でも簡単にスムーズに身に付けられるものなんですよ」
そう話すのは、言語学者で明治大学教授の堀田秀吾さん。“続かない”の代表格と言えば…。
「親子でダイエットです!15キロ痩せたいです!ジムみたいなやつ通っています。本当は、1カ月10日間行く約束が、1月は3回しか行けなくてコーチに怒られました」
そう、ダイエット。こちらの男性は…。
「間食はやめられなかったですね。今食べてきちゃった…3日前くらいにそこでワッフル食べようと思ったんですけど、友達に『やめときなよ』と言われて、『じゃあやめる』と言って、今日食べました。いや〜マジで痩せたいというのがでかいですね」
「分かりますねこれ。私も、キックボクシングに、よし通うぞ!と思って、2回でやめて、家だったらできるだろうと思って、ストレッチ始めてそれも2日しか続かなくて。ダイエットとか、食事制限となると、なかなか…」
“脳内食事”で量が減る?
「ここで一つ面白いやつをお教えしたいんですけど、“脳内食事をする”。カーネギーメロン大学のモアウェッジという人の研究で、被験者たちを対象に、頭の中で自分がおいしいものを食べている姿を想像させたわけですよ。そうしたら結局最終的に食べていた量が減っていたというんですよね」
「けっこうそういう研究って色々あって、筋トレをしているイメージだけで、筋肉がつくとか」
これは、アメリカ・オハイオ大学で29人を対象に行われた研究で…手首をギプスで固定した被験者の半数に、毎日約10分、週5日のペースで手首を曲げようとするイメージトレーニングをさせるというもの。
これを1カ月続けたところ、イメージトレーニングをしていたグループは、何もしていなかったグループより、筋肉の弱りがおよそ半分に。さらに、カナダのビショップス大学では、週に3回“筋トレを行っている” とイメージすることで、筋肉増加が見られたという研究報告も出ているんだそう。
実は今、国内外の研究者によって発表された習慣化のテクニック、112個をまとめた堀田さんの著書、「科学的に証明された すごい習慣大百科」が発売から約半年で発行部数56万部を突破し、話題の1冊となっています。
「脳ってすごくだまされやすいんですね。私たちがそういう情報を脳に与えてあげると、脳は本当に体験したと勘違いしてしまうんですよ。また他にもいろいろありまして、例えばお皿のサイズを変えるとかあります。お皿を大きくすると、普通より20%近く多く食べてしまうそうなんですよ。これは結局、余白がどのくらいあるかというのがけっこうポイントで、小さいお皿にたくさん乗っていると、それだけで満腹感得られそうな気がしません?」
「いっぱい取ったな、みたいなことですか?」
「逆に、大きなお皿だと余白がいっぱいあるから、もっと食べられるなって思っちゃうわけですよ。お皿のサイズを調節すると、ちょうどいいわけですね。あと、スプーンを小さくしても食事の量が8%くらい減るなんて研究もありますね」
実は人は、1回の食事における、食べる時間や料理を口に運ぶ回数は、それほど変化がないのだそう。
「だから、小さいスプーンだと1回で取る量が少なくなるので、最終的に少なくなる、という仕組みになっています」
「大きな口を開けて食べ過ぎない!」
「それ大事です!」
続けるための3原理
「今、一個一個具体的な例をお話しましたけど、実は、大きな原理が3つありまして、1つ目“まず、体を動かす”。行動を始めるということですね」
「それが、大変なんですよ!」
「そうなんですよね!人間の脳って、エンジンみたいなもので、例えばやりたくなかった勉強も、始めるとやっちゃったとか、あとは掃除とかやりたくなくても、始めちゃったらこんなところも汚い、こんなところも汚いってね」
「あります、あります!」
「何かやり始めると、人間はそれを続けたくなるという習性があるので、まず動き始めることが大切。ですが、始めることが難しいんですよね。そのために残り2つの原理があるんですよ」
その2つというのが、ハビット・スタッキングと、ナッジを利用。まず、ハビット・スタッキングとは?
「ハビットというのは習慣、スタッキングというのは積んでいく、ということなんですよね。元々行っている習慣に、何か付け加えてあげる。例えば歯を磨きながらスクワットをする。0から1を始めるのが、人間はとにかく苦手なので。既存の習慣に新しい習慣を乗せてあげる。これが、実行のコツの1つですね」
そして、3つ目のポイント「ナッジを活用」とは?
「簡単に言うと、そうしたくなる、あるいはそうせざるを得ない仕組みを作るということです」
このナッジというのは、2017年にノーベル経済学賞を受賞した、リチャード・セイラー教授らが提唱したもので、実は私たちの身近なところに活用されているんです。
「このあいだ面白い例があって、子どもたちがレストランにいて、4人くらいの子どもがいたんですね。でまぁ、自由に走り回っていたわけですよ。ところが、足跡マークがあったんですね、そこに。そしたら、誰にも何も言われていないのに、みんなその足跡のマークの上に4人きっちり並んだんですよ。これが、ナッジのシステムです。それって多分コロナのころに作られたシステムだと思うんですけど、足跡があることによって、みんな無意識にその上に立つようになるんですよね。そういう、自然にやってしまう仕組みというのをどれだけ自分の中に用意するか、生活の中に用意するか、それで実行の可能性が高まっていくわけです」
このナッジの利用は、人生の課題とも言える、あのテーマにも…。
「先取りして勉強しようとはするんですけど、締め切りがあることじゃないとなかなか…追われないとやらないことが多いので、そこを習慣化できている人はすごいなと思います」
「自己成長のために、自己啓発系の本とか買っているんですけど、まぁ進まないですね。まぁ進まない」
自身のキャリアを積むための、勉強や仕事。堀田さんが実際に行っているという“ナッジの利用”が。
「いつもソファに座っているんですよ、自宅にいる時は。だから、ソファの横に小さいテーブルが置いてあって、そこにパソコンと大きなモニターが置いてあるので、(ソファに)座ったら気になりますよね。だから、ついやり出しちゃうんですよね。この、目に見えるという事がけっこう大事で」
「これでも、家族の協力も大事ですね、家の中でやることだったら。せっかく自分で出しておいたのに、片付けられちゃったら習慣化にできないですよね。」
「そうなんです。結局、それは当然家族も環境の一部ですからね、話し合いの上ですね、きっちり仕組みを組んでいく、これが大事になってきます」
さらに、もう一つ。
「ツァイガルニク効果、というものなんですけれども、あえて、切りの悪いところでやめてしまう。モヤモヤするので、またやりたいなという気持ちになりますよね」
このツァイガルニク効果は、1920年代に、現在のロシアの研究者によって提唱された、「未完の出来事のほうが記憶に残りやすい」という現象です。
「これは作家の村上春樹さん、その日1日、4時間なら4時間、5時間なら5時間と決めて、そこまでいったらどんなに書きたくてもやめてしまうそうです。そうすると、やりたい!書きたい!という気持ちがずっと残るので、次の日始める時に、意欲を持って臨める。しかも、考えている時間も長いので、熟成されて新しいアイデアも浮かんできたりするそうです」
他にも、アイデアがわきやすくなるテクニックには、「ボーッとする」というワシントン大学の研究や…。「あえて乱雑な場所で仕事をする」というミネソタ大学の研究など様々。
「簡単に実践できるというのを意識して、色んなテクニックを集めたんですよ。どれか自分に合うものが見つけやすいわけですよね」
簡単に実践できるテクニックは、挫折しがちなこのテーマでも。
「貯金…はできない!貯まったらもう『使っちゃえ!』と思って、すぐ使っちゃうという感じです」
「後ろから開けられるタイプの貯金箱で貯金しようと思ったら、開けちゃうんですよすぐ。なので、割らないと開かない豚を買ったら、2週間くらいで割っちゃって…」
「貯金に関して役立つのが、貯金の残高を記録するというやつですね。デューク大学の研究なんですけど、目に見える形で記録に残しておく、そうすると、貯金をするということを常に思い出させてくれる状態になるじゃないですか。実行しやすくなってくるわけですね」
(2026年2月10日放送分より)










