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2024年12月6日 13:27

山下リオ 14歳の時にスカウト、15歳で「三井のリハウス」12代目リハウスガールに抜擢されてデビュー!

2024年12月6日 13:27

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2007年、「三井のリハウス」のリハウスガールに抜擢され、ファッション雑誌の専属モデル、2008年には映画「魔法遣いに大切なこと」(中原俊監督)に主演して注目を集めた山下リオさん。映画「書道ガールズ!!わたしたちの甲子園」(猪股隆一監督)、」連続テレビ小説「あまちゃん」(NHK)などに出演。「ウェールズ国際子ども映画祭2024」で最優秀主演女優賞を受賞した映画「雪子 a.k.a.」(草場尚也監督)が2025年1月下旬に公開される山下リオさんにインタビュー。

■中学・高校時代は仕事の度に徳島から東京に通っていた

徳島県で三姉妹の末っ子として生まれた山下さんは、一番やんちゃで、野山を駆け回るお転婆な少女だったという。一番上の姉は、俳優の大塚千弘さん。姉妹揃って地元の劇団に入り、山下さんは小学校2年生の時に初めて舞台に立ったという。

「姉の真似をしたかっただけで、自分には向いてないなってすぐに気づきました。当時から姉はキラキラしていて、主人公を演じていましたが、私は名前さえない役で。いつしか周りから『大塚千弘の妹』って呼ばれるようなり、『私にだって名前があるのに…』という、ちょっと反骨心のようなものが芽生えていくのは感じていました。

それまで、家がわりと厳しくてテレビドラマをあまり見てこなかったんですが、初めてちゃんと見たのが『オレンジデイズ』(TBS系)で、柴咲コウさんのお芝居に衝撃を受けて。『女優さんってこうゆうことだ』とも思いましたし、初めてテレビの中にいる自分を想像した瞬間がありました」

山下さんは、14歳の時に「オレンジデイズ」の柴咲コウさんが所属していた事務所にスカウトされ、翌年「三井のリハウス」の12代目リハウスガールに選ばれ芸能界デビューを飾る。

――わりとすぐに三井のリハウスガールに決まって、ドラマや映画にも出演されるように

「そうですね。早かったと思います」

――三井のリハウスガールに決まったお披露目の記者会見で司会をさせていただいたのですが、まだ15歳。記者のリクエストで、阿波踊りのポーズをされたのが初々しくて、可愛らしかったです

「記憶も曖昧(あいまい)ではあるのですが、いざ芸能界に入らせていただくと、実際に何をしたらいいのか分からないことが多くて、本当にあの当時は流れ流され…みたいな感じで、言われるがまま阿波踊りポーズもしますし(笑)。とにかく笑顔でいることをがんばる!みたいな心意気であの場にいたなとは思います」

――まだ中学生でしたが、大きな仕事が次々に決まって。芸能界の先輩でもあるお姉さまに相談されたりは?

「相談はしませんでした。大好きで頼りになる姉でしたが、別の事務所で別々に出るということは、自分の名前が世に出るまでというか、活躍するまでは隠したいっていう、どこか負けず嫌いな精神があったんですよね。だから私は名前も『山下リオ』という芸名に変えて。

それでも18歳で上京するまでは、仕事のたびにずっと徳島から通いでやっていて、その間三姉妹で住んでいたりしていましたけど、やっぱり家族ですから。妹として、仕事よりもっとふざけた会話をしていたと思います(笑)」

――大塚千弘さんがお姉さまだということは、3、4年前まで知りませんでした

「そういう方が多いです。公表してから10年も経ってないので」

――お二人ともご活躍されていていいですね。三井のリハウスのキャンペーンガールをされていた時には、いずれお芝居の方へということは考えていたのですか

「お芝居をしたいとは思っていましたが、職業としてずっと続けることは考えてなかったです。俳優としての未来より、思春期だったこともあり、自分自身と戦っている時間の方が長かったです。

お仕事をいただけているから頑張ってやっているという感じで。それも当時の私なりに一生懸命頑張っていたけど、今の私から見れば、頑張りが足りない。頑張り方さえ知らない幼い子どもだったなとは思います」

■いじめもあった暗黒時代だった中学生の頃と東京のキラキラした世界のギャップに

2008年、映画「魔法遣いに大切なこと」に主演。この作品は、“魔法遣い”が当たり前に存在する日本を舞台に、魔法士になるための魔法士研修で出会ったソラ(山下リオ)と豪太(岡田将生)の恋と成長する姿を描いたもの。山下さんは、限られた命をひたむきに生きるヒロインを演じた。

「初出演の映画で初主演を経験させていただきました。この作品を演じきれれば、自分自身が変われるきっかけになると期待している自分もいましたが、急激な環境変化について行けず、芸能界に入ったら、みんなこうやって仕事が来て決まっていく感じなんだ…みたいに俯瞰(ふかん)しているフワフワした自分もいて。

未熟だったとはいえ、当然お芝居も上手くできなくて、何か言い訳を作っては、試練から逃げ出そうとしていましたね。

私はその当時、自分の中では暗黒期というか、小学校高学年の頃からいじめがあったりして、学校にもあまり行けなくなり、自宅では引きこもり状態でした。

でも、仕事で東京に行くとすごいキラキラした世界で、みんなが『可愛い』とか『綺麗』と言ってくれて、現実とのギャップがかなりありました。『何でこんな醜い私に可愛いって言ってくれるんだろう?』って全部否定的な感じだったんです。

誰かのために誰かが作った『山下リオ』という別の人間がいて、それは私だけど私ではない気がして…徳島でも東京でも、息苦しかった時期だったかなとは思います」

――いじめのきっかけはお姉さんが芸能界に入ったことですか?

「それもあると思います。先輩方から『目立ってんじゃねえよ』みたいなことを言われたり。うーん、同級生に黒板に『死ね』って書かれたこともありましたけど。なぜいじめられたかは明確には分からないです。

そもそも学校ではずっと居心地の悪さを感じていました。単純に、ノリを合わせたり悪口に同調したり、嫌われないように努力することが苦しかった。

いつも周りの目を気にして、給食も食べられなくなっていましたね。自分の心の奥には、優しい自分、美しい世界観があるのに、それを誰かに見せるのが怖かった。真っ暗な世界をひとりで生きていた感覚でした」

――そういう意味では、“山下リオ”さんになれたというのはいいタイミングでもあったのでは?

「あれが、いいタイミングだったと思えるのは、今もこうして俳優業をやれているからこその結果論だとは思いますが、あれほど苦手だったお芝居に、救われていたんだなとは思います。

思っていることや感情を表に出せなかったからこそ、誰か別の人になること、演じることで自分を昇華していったというか。自分の中に溜まった膿みたいなもの、美しい感情も汚い感情も含めて、この仕事でしかそのエネルギーを還元できなかったと思いますし。何より、お芝居させてくれた方々とのご縁のお陰で救われたなと思います。」

――結構難しい役が最初から来ていましたね。「魔法遣いに大切なこと」では限られた命の魔法遣いで

「そうですね。デビュー当時から、どちらかといえば闇を抱えた難しい役を演じることは多かったと思います。当時の暗い経験が雰囲気から滲み出ていた可能性はありますけど(笑)。

今の自分はめちゃくちゃポジティブで、ハッピー人間なんです。陰陽どちらも自分の中にあるので、振り幅を今は楽しめるというか。それが私の強みになってきたというか。これからも枠にはまらず、もっといろんな役と出会えていけたらいいなと思っています」

■大好きな手塚治虫作品に出演

2009年、映画「RISE UP」(中島良監督)に出演。1年前の突然の轢き逃げ事故により失明した少女という難役に挑んだ。パラグライダーに夢中な少年・航(林遣都)は、目が不自由な少女・ルイ(山下リオ)に出会う。初めは心を閉ざしていたルイも、パラグライダーに情熱を注ぐ航に次第に惹かれていく。しかし、2人の間には残酷な過去が隠されていた…という展開。

「この作品ぐらいから、一つの役にどこまで向き合ってのめり込んでいけるのか、自分の中で挑戦し始めた感じがあります。

なので、クランクインまでの間に、白杖を持って目を瞑って生活してみたりしていました。そういうことは今でも続けるようになったんですけど、演じる人物の人生を自分なりに全て文字に書き起こすことや、好きな食べ物、初恋の人?とか、どうでも良いことさえも把握しておく。シーンとシーンの間に何があるのかということなど全て、いつでも引き出せる記憶を作っておくようになりました」

――「RISE UP」の撮影は、17、8歳の頃ですか

「はい。高校を卒業する直前ぐらいです。オール石川県ロケだったこともあり、合宿のような感じで撮影していて、主演の林遣都さんや仲野太賀さんとは本当の幼馴染(おさななじみ)のような関係になりました。

これまでは人見知りで、誰かと現場で仲良くできるなんて思ってなかったので、本当に楽しかったです。自分らしくいることや自分のお芝居を信じてすることが、自分にもできるんだと確信できたすばらしい現場でした。

映画でもキーポイントになったカメラ。撮るのは好きですが、私はそもそも人に見られるのが好きじゃなくて、『カメラから逃げないで!』ってよく注意されていましたね(笑)。

今でもその気持ちはあるんですが、それも楽しめるようになってきました。未だに、たまに逃げたりしているけど、『カメラ嫌いの俳優がいてもいいんじゃないかな〜』って、気楽に!」

俳優デビュー早々、シリアスな難役が続いた山下さんだが、「RISE UP」の後は、「武士道シックスティーン」、そして同年、映画「書道ガールズ!!わたしたちの甲子園」(猪股隆一監督)と青春映画への出演が続く。次回はその撮影エピソードなども紹介。(津島令子)

※山下リオプロフィル

1992年10月10日生まれ。徳島県出身。「三井のリハウス」12代目リハウスガールに抜擢されて注目を集める。同年に「恋する日曜日 第3シリーズ」(BS-i)で本格的に俳優デビュー。映画「寝ても覚めても」(濱口竜介監督)、映画「零落」(竹中直人監督)、連続テレビ小説「ウェルかめ」(NHK)、「わたしの夫は―あの娘の恋人―」(テレビ大阪・BSテレビ東京)、「A−Studio」(TBS系)、「プレバト!!」(TBS系)などに出演。2025年1月下旬に最新主演映画「雪子a.k.a.」の公開が控えている。

スタイリスト:Izumi Machino / 町野泉美

ヘアメイク:北一騎(Permanent)