“QRコードで出来た都市”深セン 「中国の夢」の今[2018/10/24 17:22]

 安倍総理大臣は25日から中国を公式訪問します。首脳会談では、今や世界第2位の経済大国にまで成長した中国との経済問題が最大のテーマです。中国経済は今どうなっているのか。「中国のシリコンバレー」とも呼ばれる深センを取材しました。

 中国南部の深セン。秋葉原をまねて作られた巨大な電気街やIT企業などの高層ビルが乱立し、「中国のシリコンバレー」と呼ばれています。街なかの小さな屋台でさえ、ハイテクが進んでいます。現金を使う人はほとんどいません。「世界最先端都市」とまで呼ばれるこの深センを象徴する企業があります。今年1月には、時価総額でFacebookなど名だたる企業を抑え、世界5位に登りつめた「テンセント」です。この会社が手がける中国版LINE「wechat」のユーザーは10億人。電子決済機能が付き、爆発的に普及しました。昨年できたばかりの新社屋を訪ねると…。眺めの良い社員食堂。最先端のIT技術が使われています。テーブルにはQRコードが貼られ、社員は会計を自社の電子決済で行います。部屋の入り口には、独自開発された顔認証システムが導入されていました。社内には、社員が無料で利用できるジムやボルダリング施設まで。平均年齢29歳という、若い人のアイデアが会社を支えているといいます。さらに製造業でも…。「空の産業革命」といわれるドローンで世界シェア1位の「DJI」。2006年に3人から始めた会社は、わずか10年余りで社員数1万1000人に急成長しました。なぜ、深センで世界的な企業がどんどん生まれるのでしょうか。2011年に自ら電子機器受託製造を手がける工場を創業した藤岡淳一さん。15年以上にわたって深センの変化を見続けてきました。
 ジェネシスホールディングス・藤岡淳一社長:「(深センは)若い人しかいないような街なので新しいサービスや特にITのサービスが普及するのが早い。中央政府とかなり離れていて、中国のなかでも自由な風土のなかで会社が経営されているので、距離感、土地勘が多くのIT企業を育てた1つの原因かなと思います」
 確かに街には、中国全土から夢を抱いた若者たちが集まっています。取材中、4年前に起業したという若者に出会いました。
 男性:「起業のために来た。深センは起業するための環境が良い。夢の実現まではまだ遠いですが、かなえる道を歩んでいます」
 江蘇省出身の楊さんが、友人ら4人と起業した会社。世界各国の商品をスマートフォンのアプリを使って販売し、会社は4年間で100人規模に成長しました。国内だけでなく日本やオーストラリアでもビジネスを展開させるといいます。
 天行クラウドサプライチェーン・陳華副社長:「深センは良いアイデアがあり、根性があれば援助も受けられ、起業するのにとても良い環境です。だからこそ深センは今、急速に発展しています」

こちらも読まれています