中国でLGBT心情代弁 理解進まぬ社会に挑むゲーム[2019/01/31 16:00]

 厳しい社会環境のなか、ある中国のゲーム会社はLGBT(性的少数者)の心情を代弁するゲームの制作に挑んでいます。

 中国では依然としてLGBTに対する世間の理解が進まないなか、北京で異例の制作が進むのは「ガイー(Gyee)」という名のスマホゲームです。生まれつき「異質だ」として差別されている「ガイー」と呼ばれる人々が平等を求め戦うストーリーです。
 同性愛の「ゲイ」を連想させるネーミングとストーリー。発案した2人はゲーム制作のきっかけについて「社会的弱者、マイノリティ向けのゲームを作るべきだと思った」と話します。
 プロデューサーのマイクさん自身も小さいころ、性格が「女々しい」と言われることでいじめられた経験があるといいます。「制作メンバーにLGBTが多く、いじめを受けていた人もいる。自分たちが好きなゲームを作って、キャラクターの見た目以外にも、自分たちの価値観を表現したい」。
 「ガイー」では、30人のメインキャラクターのなかに男性が26人と大半を占めています。ラブラブの恋愛シーンも男性同士。ゲイのなかでは人気の「熊系」と呼ばれるずんぐりした体型、可愛い少年、男性が派手な女装をしたドラッグクイーンのキャラクターも。
 そんななか、侍風や剣道をしている蘭丸といった日本風キャラクターも多くいます。日本人のイラストレーターと契約、キャラクターを提供してもらい、ゲームの目玉になっています。

 LGBTの気持ちを代弁するゲームのなかで怪物呼ばわりされたキャラクターはこう叫びました。
 「みんな同じ人間だ!どうして“あなたたち”と“わたしたち”を切り離す?」「おまえたちみたいないわゆる人間こそ、怪物だ!」
 「違い」があっても皆に正々堂々と生きる権利はあると訴えたのです。

 2016年に発表された国連の調査報告によると、中国でカミングアウトしているLGBTはわずか5%にとどまります。一方、年齢が若い人ほどLGBTへの理解が高くなっています。
 約2年の制作期間を経た「ガイー」は去年2回のテストプレーを行い、特に若いユーザーたちから支持を集めています。

 北京の外資医療機器メーカーで働くKenさんも「テスト期間中から大きな話題になり、LGBTのユーザーをひきつけたのはすごいと思う」と話します。
周りにゲイであることをカミングアウトしていますが、まだ両親には言えずにいるというKenさん。「ゲームに隠されている、“ガイー”たちの心のこもったストーリーに共鳴した」といいます。

 しかし、ゲームを販売するには中国政府の審査に合格しなくてはなりません。
 マイクさんは「私たちのテーマはLGBTではなく、平等・多様化・反差別を訴えること。もちろん、審査を待つ必要がある」と話し、「進む道を照らしてくれたのは勇気、そしてプレーヤーたちの助けだった」と期待感をにじませました。
 「ガイー」は今年春の販売を目指しています。