密集ダンスも…ワクチン接種最速 イスラエルの日常[2021/03/28 22:30]

世界最速のペースでワクチン接種が進むイスラエルでは人々の生活に大きな変化が起きています。現地を取材すると「ワクチン後の世界」が見えてきました。

▽国民の過半数がワクチン2回接種。徐々に戻る日常
日本時間、28日から始まったペサハと呼ばれるユダヤ教の伝統的なお祭り。旧約聖書を読み語らい、先祖が体験した苦難や喜びを子どもたちに伝えます。その当時を思い起こさせる食事を用意し、親せき一同で食卓を囲むのが習わしです。年に一度の大切な行事ですが、こうしてみんなで集まったのは2年ぶり。2020年は政府が集まりの自粛を要請。多くの国民が、オンラインで済ませることを余儀なくされました。

3月7日屋内で20人以内の集まりが許され、ようやく集まれたのです。
「ワクチンを接種してよかった。息苦しい生活から私たちを解放してくれた」

イギリスの統計データサイトによると日本で2回目のワクチン接種を受けた人はまだ人口の0.03%ですが、イスラエルは人口の半数以上54.3%に及びます。
新型コロナ前の日常を取り戻しつつあるイスラエルは、日本と同じように年末年始、第3波に見舞われました。しかし12月中旬からのワクチン接種と厳しいロックダウンを経て、新規感染者は1日518人まで減少しています。

▽日常を取り戻すカギ「接種証明書」
お祭りがあったテルアビブの街はこの人だかり。政府はマスク着用を義務づけていますが、ほとんどしていません。
密集して踊る若者たち。誕生パーティーでは高齢者たちもこれまでのうっぷんをはらすかのように歌い、踊っています。
日本と同じファイザー製のワクチンについて、イスラエルの研究所などの発表によれば発症を94%予防し重症化を92%予防する効果が確認されたといいます。

イスラエル在住 新田朝子さん
「こちらはエルサレムにあるスポーツジムです。入口には多くの人が集まっていまして、入口に入る際にワクチンを2回接種したことを証明するグリーンパスを提示しています」
日常を取り戻すために不可欠なのが「グリーンパス・接種証明書」です。

エルサレムに住むフリーアナウンサーの新田さんも3月2日に2回目の接種を終え、接種証明書を手に入れました。

Qこのパスを携帯すると行動範囲が違う?
イスラエル在住 新田朝子さん
「そうですね。一番大きいのはレストランの利用ができるようになったことだと思います。それがあると現在ですとイベントの参加、ホテルの宿泊など行動範囲がより広がる状況になっています」

このグリーンパスさえあればロックコンサートへの入場も可能になりました。
観客
「グリーンパス無しでも入れるイベントには行きたくありません。(グリーンパスを)持っていない人は信用できません」
こうしたグリーンパスの活用は、ワクチンを接種したくない人やアレルギー体質で接種できない人がレストランを利用できないなど“ワクチン差別”を招く懸念がありますが、イスラエルではまだ問題が表面化していないといいます。

イスラエル在住 新田朝子さん
「ワクチンの懐疑派だったり宗教上の理由であまり受けたくないと思う方もいらっしゃることはいらっしゃるが、周りを見るとようやくワクチンを打てたとか、日常を早く取り戻したいという思いですとか、感染のリスクを減らしたいという思いから、皆さんワクチンを積極的に接種しているんじゃないかと感じています」

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