繊細な味に挑戦!初の障がい者バリスタ大会開催[2021/05/19 23:04]

豆の挽き方やお湯の温度、淹れ方一つでコーヒーの味わいが繊細に変わるハンドドリップ。
先週、障害者が腕を競う“世界初”のバリスタ大会が都内で開催され、各地でカフェなどを営む8チームが出場しました。
少し緊張した面持ちで会場に入ったのは「dl.cafe」のチームです。5人の中、4人は障がいがあります。
メンバーたちは、「優勝を目指してみんなで力を合わせて頑張ります」などと意気込みを語りました。

日比谷などに3店舗を構えるdl.Cafe、多くの障がい者が働いています。
新型コロナウイルスの感染拡大で一時休業や時短営業を余儀なくされました。
思い通りの営業ができない中、社員のモチベーションアップにつながると期待して、バリスタ大会への参加を決めました。
お店では機械抽出のコーヒーを提供していますが、大会では自らブレンドした豆を、ハンドドリップで淹れなければなりません。
ボランティアの指導を受けながら練習に励む時間も、仕事のやりがいにつながったといいます。

そして迎えた本番。大会最大の見せ場、技術審査です。
豆の計量やお湯の温度管理など、役割を分担して、渾身の一杯を入れます。
しっかり声を掛け合いながら、作業を進めていたその時…
なんと、お湯の温度が上がりきらないトラブルが発生!
会場スタッフが急遽代わりの電気ケトルをもってきます。すると、チームで相談を始めました。
トラブルの間に鮮度が落ち、コーヒーの味に影響すると判断してすぐさま2回目に着手するファインプレーです。

結果は…
トラブルを乗り越え、見事に優勝!
チームワークの良さ、そして何より、おいしい味が評価されました。
チームメンバーは涙を流して喜びました。
大会で身に着けた技術は新たな世界を見せてくれたといいます。
抽出を担当した石倉安七さんは「ハンドドリップの技術を磨いたので、仕事でもプライベートでもやっていきたい」と将来に生かしたいと話しました。

無事に幕を閉じた障がい者バリスタ大会。開催には、コロナ禍で自身も苦しい状況に置かれる航空やホテル業界からの特別協賛がありました。
日本航空ESG推進部の亀山和哉さんは「いま生き残っていくこも大切だが、先を見て、持続可能な社会の実現のために役に立てることを手伝いたい」と話しました。
また、会場を提供した品川プリンスホテルの佐々木潤総支配人は「コロナ禍の時期だからこそ、今回の大会を通じて、多くの方が相互理解を深め、認め合うという大会が目指す社会に近づくことができれば良いのではないか」と語りました。
大会を主催した日本サステイナブルコーヒー協会の川島良彰理事長は障がい者バリスタの可能性を実感したといいます。「障害のある人が作ったかわいそうなコーヒーだから飲んであげるのではなくて、おいしいから飲みたいというようなコーヒーになれば、ちゃんとビジネスとして成り立つ」「ハンドドリップを身に着けることで就労の機会がもっと増えるのではないか」と話しました。

主催者側は、来年秋に第2回大会を開催し、イベントを毎年続くものにしたいと期待を寄せています。

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