ロシアのウクライナ侵攻について話し合う国連安保理の緊急会合はアメリカとロシアの非難合戦の様相になっています。取材したANNニューヨーク支局・猪ノ口克司朗記者の報告です。
ロシア、ネベンジャ国連大使:「彼らは我々の言うことに耳を傾けてくれない。プロパガンダではなく、事実を提示しているのに受け入れてくれない」
ロシアの国連大使の口から飛び出した恨み節。18日、安全保障理事会の緊急会合を終えた後の発言です。一体、何があったのでしょうか。18日の動きを振り返ります。
今回はロシアの要請で緊急会合が開かれます。ウクライナの危機を巡って欧米が批判を強めていますが、ロシアも負けじと反発しています。
この日、ロシアはアメリカの支援でウクライナが生物兵器の計画をしていると主張し、アメリカに回答を迫りました。
疑惑を向けられたアメリカの国連大使は…。
アメリカ、トーマスグリーンフィールド国連大使:「ロシアがウクライナの人々に化学兵器や生物兵器の使用を計画していると思います。ロシアはここ数週間にわたり、安保理会合で世界に向けて繰り返し繰り返し、嘘をつき続けてきました」
ロシアこそが生物兵器を使う恐れがあると反発し、安保理で嘘をつき続けていると断じました。
そもそも、この日の会合では、ロシアが独自に作成したウクライナの人道支援決議案の採決が取られる予定でした。
しかし、侵攻の責任や軍の撤退には一切触れておらず、欧米の批判を受けて取り下げていました。
会合の主旨を「生物兵器」に切り替えたロシアに対し、欧米が反発します。
アメリカ、トーマスグリーンフィールド国連大使:「私たちはきょう、ロシアの責任を追及します。真実を話すことです。そして、ロシアの嘘や偽情報と事実を突き合わせます。ロシアは安保理の常任理事国としての責任と特権を乱用している。安保理としての使命は、外交を通じて平和を達成する場として機能することです」
アメリカやイギリスなど6カ国が共同で声明を出し、「ロシアの嘘と偽情報」だと痛烈に批判しました。
嘘つきだという批判を浴び続けたロシア。冒頭の会見に戻ります。
ロシア、ネベンジャ国連大使:「安保理メンバーは完全否定だ。彼らは我々の言うことに耳を傾けてくれない。プロパガンダではなく、事実を提示しているのに受け入れてもらえない」
事実を提示しても耳を傾けてくれないと訴えました。
さらに…。
ロシア、ネベンジャ国連大使:「特別な発表のために次席大使に発言の機会を与えたい」
ロシア、ポリャンスキー次席大使:「皆さん、私のツイッターがきょうブロックされたことを発表します。ツイッターのルールを侵害したというメッセージを受け取りました」
問題視されたのは、こちらのツイートです。
ウクライナで妊婦や子どもが入院する病院が空爆され、無意味な攻撃はやめるべきだと呼び掛けたグテーレス事務総長の投稿に対し、「過激派によって病院は軍事施設に変えられた。国連は検証なしに偽情報を広めている」と反論していたのです。
あくまで事実を伝えているとして、不満を示したロシア。こうした姿勢にイギリスの国連大使は…。
イギリス、ウッドワード国連大使:「ロシアが要請した会合は先週も今回もナンセンスです。率直に言ってロシアの絶望により出された偽情報だと思います。ロシアは孤立していて絶望的でしょう。安保理ではなく侵略による人道状況を真に理解している国連総会で、よりバランスの取れた議論を楽しみにしています」
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