国際

2022年5月20日 13:39

集団移送と「分配センター」の実態 避難家族が証言

2022年5月20日 13:39

広告

 マリウポリ近郊からロシア国内に集団で移送された家族がANNの取材に応じ、ロシア各地にウクライナ人が移住させられている実態について語りました。

 マリウポリ市内のアパートで暮らしていたロマンさん一家は、ロシア軍による侵攻開始直後の2月25日にマリウポリ近郊の村に避難しました。

 ロシア軍は3月にはこの村も実効支配し、ロマンさん一家は4月21日、ロシア側が手配したバスに集団で乗せられ、国境まで移送されました。

 そこで裸にされて身体検査を受けたり携帯電話をチェックされたりなど、ウクライナ軍に関係していないか「選別」が行われたといいます。

 その後、再びバスに乗せられ、ロシア南部の街タガンログへ連れて行かれました。

 市内のスポーツセンターには「分配センター」が設けられていて、到着したウクライナ人を難民としてロシア各地に振り分ける作業が行われていたといいます。

 ロマン・チェルケズさん:「『分配センター』では、難民認定を受けることを提案されました。難民認定を希望すればロシアのどこかの地方に移送され、そこに居住し、仕事もあっせんされると言われました。たいていその場所はロシアの遠い地方、シベリアのような場所だと聞いています」

 ロマンさん一家は難民認定を拒否して自力で運転手を手配し、およそ40時間かけてリトアニアに避難しました。

 今は親戚が暮らすアメリカで生活しています。

 ロマンさんによりますと、多くのウクライナ人が着の身着のままでロシアに連れて来られたため、そこから別の国に移動することができず、難民認定を受けざるを得ないということです。

 難民として各地に移送された人は、仕事を与えられたうえで、2年間は移動の自由が禁じられるということです。

 ロマンさんの知人も難民認定を受けざるを得ず、その後、ロシア中部のペンザやアルタイなどに送られた可能性があるとしています。

 ロシアは3月に、国内に移送されてきたウクライナ人およそ10万人を85の地域に配置する計画を公表しています。

 極東のカムチャツカの地元メディアなどは、ウクライナ人が地元政府が用意した施設で新たな生活を始めている様子を伝えています。

(テレビ朝日社会部・小林里咲記者取材)

広告